更新日: 2024.10.10 働き方
現在「派遣」ですが、派遣先から「社員にならないか」と誘われました。時給は今とほぼ同じですが、社員になるべきですか?
契約違反にはならないにしても、労働者にとってのリスクはないのか、確認しておいたほうがよいでしょう。
本記事では、派遣先に誘われて社員になることの問題性について、社員になった場合に考えられるデメリットとともにご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
派遣先に誘われて社員になるのは契約違反?
労働者派遣法第33条では「派遣労働者に係る雇用制限の禁止」について定めており「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない」としています。
派遣会社は派遣社員との間に、例として「退職後6ヶ月は派遣先に雇用されてはならない」などの契約を締結することはできないということです。
派遣社員の雇用を制限することは日本国憲法第22条で保障されている「労働者の職業選択の自由」を制限するものであり、労働権を侵害することになるおそれがあります。
つまり、契約期間が終了してから派遣先企業に誘われて社員になることは、契約違反には該当しないと考えられます。
派遣契約期間中に社員になることは問題なのか?
法律で制限されているのは「派遣期間終了後に雇用されることを禁ずる旨の契約を締結すること」であり、派遣契約期間中の引き抜き行為については派遣元と派遣先との間で禁止する契約になっていることもあるようです。
もし、派遣先企業が派遣契約期間中の直接雇用を希望した場合は「紹介予定派遣」への切り替えが行われることもあります。
「紹介予定派遣」とは、派遣元事業主が労働者派遣の開始前または開始後に、派遣労働者および派遣先に対して職業紹介を行う、もしくは行うことを予定するものです。
派遣契約期間中に派遣先から社員になるよう打診された場合は、この点を確認しておくことをおすすめします。
社員になる場合のデメリットについても確認しておこう
今回の事例のように「社員になっても時給は今とほぼ変わらない」という条件だと、派遣社員から社員になることに迷われる方も多いかもしれません。
そのほかにもメリットだけでなく、社員になる場合のデメリットにはどのようなものがあるのか確認しておくことをおすすめします。
例えば、勤務時間帯や仕事内容などを選んで働けなくなる可能性があることや、いろいろな職場を体験できなくなることなどが気になる方もいるでしょう。また、社員になる際の契約にもよりますが、時給以外の待遇が今までより悪くなる可能性も否定できません。
派遣社員から社員になること自体に問題がなくても慎重に判断したほうがよい
法律では、雇用契約終了後に派遣社員が企業の社員になることは禁止されていません。
ただし、派遣契約期間中の社員への登用については、派遣会社と派遣先企業の間でどのような契約が交わされているのか確認する必要があるでしょう。
また、派遣社員から社員になること自体に法律上の問題がない場合であっても、社員になることでデメリットに感じる点があるかもしれないので、慎重に判断することをおすすめします。
出典
e-Govポータル 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号) 第三章 派遣労働者の保護等に関する措置 第二節 派遣元事業主の講ずべき措置等 第三十三条(派遣労働者に係る雇用制限の禁止)
e-Govポータル 日本国憲法(昭和二十一年憲法) 第三章 国民の権利及び義務 第二十二条
厚生労働省 労働者派遣事業・職業紹介事業等 労働者派遣事業関係業務取扱要領(令和6年4月1日以降) 第6 派遣元事業主の講ずべき措置等 12 派遣労働者に係る雇用制限の禁止(201ページ)
厚生労働省 労働者派遣事業・職業紹介事業等 労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル- 紹介予定派遣とは(84ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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