更新日: 2024.05.30 働き方

夫が「部長」に昇進したのですが、残業が多くなかなか帰ってきません。昇進しない方がよかったのでしょうか…?

夫が「部長」に昇進したのですが、残業が多くなかなか帰ってきません。昇進しない方がよかったのでしょうか…?
部長への昇進はキャリアの大きな一歩であり、多くの人が憧れを抱くことでしょう。
 
しかし、部長になったことで夫の労働時間が増加し、家庭生活に影響を及ぼすことも、珍しくはありません。果たして、部長への昇進は幸せへのステップなのでしょうか。考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

残業面から考える

残業が多くなかなか帰ってこないとなると、家庭にとっては一大事でしょう。夫が家を不在にする時間が増えるとなると、家事の分担や家庭における悩みの相談ができないなど、コミュニケーション不足が家庭内のトラブルの原因になり得るからです。
 
こういった場合、まずは残業時間から考えてみてもよいかもしれません。「労働政策研究・研修機構」の管理職の働き方に関する調査によると、部長クラスの平均時間は、18.1時間とされています。
 
月に20日出勤したとすると、毎日1時間程度の残業時間となるようです。「なかなか帰ってこない」と悩んでいるのであれば、残業時間が平均の18.1時間を大きく超えていることも想定されます。
 
この時間を超えて20時間、そこをさらに超えて30時間40時間などと、平均を大きく超える残業時間を課せられているような場合は、働きすぎかもしれません。法律では、残業時間は原則として、1月当たり45時間までとされています。それを目安に考えていくのもよいでしょう。
 

給与面から考える

残業が多くなっても、それに見合った収入があれば、一概に「昇格しなかった方がよかった」というわけではないでしょう。子どもの進学や自身の老後への備えなど、考え方次第では「お金を確保するための方法」として、昇進は非常に有効です。
 
参考までに、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、部長級の賃金は月額59万6000円、課長級の賃金は49万800円であり、毎月10万円以上の賃金差が生じています。単純計算では年120万円以上の差です。
 
額面収入で120万円あれば、子どもの大学進学費用の約1年分を賄えることでしょう。老後資金も、NISAやiDeCoを通じて長期間運用すれば、目標としている額の達成に役立つことでしょう。
 
その点を考えると、多少残業が多くなり、帰宅しないことが増えたとしても、「家族のため、将来のため」と納得できるかもしれません。
 
もし、「残業時間が増えて帰ってこないことが増えた」と悩んでいるときは、いったん収入についても考えてみるとよいでしょう。
 

夫婦で話し合ってみる

残業時間や収入面を考慮しても納得できない場合は、昇格しない現在と将来のライフプランや家族との関係性など、諸般の状況を踏まえて、夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。それらを基に話し合うことで、一人で悩んでいるときよりも、何かしら解決策が生まれやすくなる可能性があります。
 
特に夫の昇進とあれば、自分だけの問題ではなく、今後について考えていくに当たっては、夫の意思も大切になってきます。早めに夫婦で話し合っておけば、すれ違いが起きることも防げるでしょう。
 

まとめ

夫が部長への昇進を機に残業が増え、帰ってこないことが増えたという場合、残業時間や給与の面から考えつつ、家庭への負担も含めた影響について、家族で話し合ってみるとよいかもしれません。
 
簡単に解決できる内容ではないかもしれませんが、これはある意味では、将来をどうするのか考え直す機会でもあります。昇進については、全ての例に当てはまる答えがあるわけではありません。
 
どうしても悩んでしまって仕方ないのであれば、一度、夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
 

出典

管理職の働き方に関する調査 労働政策研究・研修機構
令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況「役職別にみた賃金」
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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