更新日: 2024.10.10 働き方
48歳、私が若いころは「長時間働くのが偉い」とされていましたが、最近の若手社員は「定時帰り」が当たり前のようです。私も「タイパ」というのを意識すべきでしょうか?
今回は、毎日定時で帰宅する若手社員に対して、モヤモヤとした感情を抱いている上長の悩みを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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若手・就活生が希望する働き方
現在48歳のAさんは中間管理職で、10人ほどの人数をまとめています。「ざっくり言うと30歳以下の若手社員でしょうか。全員が残業せずに毎日定時で帰っています。私が同じくらいの年代の頃は毎日終電近くまで残業して仕事を覚えていたことを考えると、ギャップを感じますね」と語ります。
Aさんが若手社員のころは「仕事のやり方は先輩の仕事ぶりを見ながら学べ。できないなら残業して覚えろ」という価値観が横行していた時代。Aさんは「さすがに昔の価値観を今の若者に押し付ける気はありません。ただ、このような働き方で若手社員はキャリアに必要な経験やメンタルなどを鍛えられるのか、疑問に思います」と語っています。
「転職サイト比較Plus」を運営する東晶貿易株式会社が行ったアンケート調査によると、20代のうち「将来役職者になりたい」と考えている人の割合は22.4%でした。また、出世欲のない20代が出世したくない主な理由は「責任のある仕事をしたくない」で、僅差で「プライベートを大事にしたい」が続いています。
さらに、新卒向けダイレクトリクルーティングサービス「キミスカ」を展開する株式会社グローアップが行ったアンケート調査によると、「入社する企業を選ぶ際に重視すること」という質問に対して最も多かった回答は「勤務条件(給与、福利厚生、ワークライフバランス、勤務地など)」が1位でした。
「事業内容」「職種」「社風」をおさえて1位になっていることを考えると、「どんな環境でどんな仕事をするか」よりも「自分の時間をしっかりと確保できそうか」という点を重視している傾向が見てとれます。
中堅社員・管理職は「タイムパフォーマンス」「付加価値」に意識を向けることが大切
仕事を覚えたりコツをつかんだりするためには、ある程度時間をかける必要があるのは確かでしょう。しかし、所定労働時間内に成果物や付加価値を生み出しているのであれば、労働時間が短くても特段問題はありません。
昭和や平成初期では労働時間の長さがもてはやされていましたが、現代では効率性が求められています。そのため、中堅社員や管理職は「付加価値」「タイムパフォーマンス」を意識することが重要となるでしょう。
実際に、働き方のコンサルティングを行う株式会社ワーク・ライフバランスが行った調査によると、業績が向上した企業で実践していた取り組みとして多かったのは以下のとおりでした。
●部門間連携を強化する取り組み:45.1%
●残業削減に向けた数値目標の設置:26.6%
●不要な業務の削除:24.5%
●ノー残業デーや定時退社の促進:24.0%
以上のように、労働時間を増やすのではなく、長期的に減らすための取り組みが業績向上につながっていることがわかります。
8時間で100の成果物を生み出す従業員と6時間で100の成果物を生み出す従業員を比較した場合、後者のほうが高い能力を有しているのは明らかです。このように、労働時間の長さは正義ではありません。
また、近年は成果主義を導入する企業も増えつつあることから、労働時間ではなく「どのような付加価値を生み出したのか」という点に着目すべきでしょう。
チームに高い付加価値を生み出してくれる従業員がいれば、上司としても仕事を安心して任せられます。従業員がパフォーマンスを発揮できるように配慮すれば、チーム全体の成績や上司としてのマネジメント能力が評価されるきっかけにもなるかもしれません。
その結果、昇進や昇給という形で自分にもメリットをもたらしてくれる可能性が期待できます。労働に対する考え方や意識を変えることで、自身のキャリアにも良い影響を与えてくれるでしょう。
まとめ
「労働時間が長い社員は偉い」という旧態依然とした考え方だと、現代の働き方に適応できません。従業員が生み出している成果物や付加価値に意識を向け、能力を評価すべきでしょう。
短い労働時間で高い付加価値を生み出す従業員は、優れた能力を有していると考えられます。優れた従業員をマネジメントすることはチーム全体の成績にも良い影響を及ぼすため、現代の働き方に適合する姿勢を示すことが重要だといえるでしょう。
出典
東晶貿易株式会社 「出世欲」に関するアンケート
株式会社グローアップ Z世代就活生のキャリアや働き方に対する考え方調査
株式会社ワーク・ライフバランス 企業の働き方改革に関する実態調査(2023年版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー