退職時に消化しきれていない有給休暇。会社に買い取ってもらうことはできる?
配信日: 2024.06.07 更新日: 2024.10.10
また、会社によっては有給休暇の買い取り制度を実施している場合もありますが、正当性や現実的に可能かどうか気になる方は多いでしょう。
そこで、本記事では有給休暇の基本知識や買い取り制度について解説します。有給休暇の消化方法に悩んでいる方は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有給休暇とは
有休とも呼ばれる有給休暇ですが、正式名称は年次有給休暇といいます。労働基準法において、入社後6ヶ月間勤務して所定労働日の8割以上出勤した従業員に対し、有給休暇を10日与えることを会社に義務付けています。
つまり、フルタイム労働の従業員は入社から半年経過したタイミングで有給休暇が付与されるということです。有給休暇の付与対象は、正社員だけではなくアルバイトも含まれており、付与条件は変わりません。
また、有給休暇の付与日数は勤続年数により変化します。例えば、勤続年数が1年6ヶ月を超えた場合は11日付与されます。
有給休暇において注意すべき点は、時効が存在することです。有給休暇は、発生から2年が経過すると時効が適用されて消滅します。有給休暇は2年以内に使用することが望ましいのですが、現実的に難しい職場もあるようです。
また、有給休暇は退職と共に消滅するため、可能であれば退職前に使い切るように心掛けましょう。
有給休暇の買い取りは可能?
そもそも有給休暇制度とは、社員に休暇を取得させる義務があるものです。そのため、制度の趣旨に反する買い取りは基本的には違法であり、法的には認められていません。ただし、例外的に認められるケースはあります。
以下に、有給休暇の買い取りが認められるケースをまとめました。
・労働基準法により定められた日数を超えて付与された有給休暇
・時効により消滅した有給休暇
・退職日に未消化の有給休暇
例えば、法律上10日の有給休暇が与えられる勤続年数6ヶ月の従業員に対して、会社が就業規則によって12日の有給休暇を付与する場合、法定以上となる2日分に関しては買い取りが認められます。また、退職時に未消化の有給休暇を買い取ることも可能です。
しかし、上記に当てはまっても就業規則に記載がないかぎり、有給休暇の買い取りは義務ではありません。端的にいえば、買い取り金額も含めて会社の自由です。買い取りが必ずしも認められるわけではない点に、注意しておきましょう。
また、有給休暇の買い取りは多くの場合で労働者と会社との話し合いで決定します。買い取りを希望する場合は就業規則や過去の事例を確認したうえで、上司などに相談してみましょう。
有給休暇の消化は計画的に
有給休暇の買い取りは、基本的に会社と労働者による話し合いで決定します。しかし、労働者にとって会社との話し合いはハードルが高く、面倒に感じる方も少なくありません。退職時に煩雑な話し合いや手続きが発生することもあるため、有給休暇は計画的に消化しておきましょう。
また、退職日付近にまとまって有給休暇を取得することが難しい場合もあります。会社の繁忙期と退職日が重なってしまった場合は、なおさらです。転職活動に使うなど、有給休暇は繁忙期を避けて、日常的に使うように意識しておきましょう。
有給休暇を使い切るためには、最終出勤日も重要です。退職日から残りの有給休暇日数を逆算し、全ての有給休暇を消化できるように最終出勤日を調整しましょう。最終出勤日がずれないように、引き継ぎなどの必要業務を計画的に進めることも肝心です。
制度があれば、退職時なら有給休暇の買い取りは可能
退職時に未消化となっている有給休暇について、会社側が買い取りをしてもしなくても法的に問題ありません。
つまり、有給休暇の買い取りは必ず実施されるわけではなく、就業規則にないかぎり、消滅する有給消化の買い取りは会社側の義務ではないのです。また、退職後では有給休暇はすでに消滅しているため、買い取ってもらうことはできないでしょう。
基本的に、有給休暇の買い取りは労働者と会社による話し合いで決定するものです。煩雑な手続きや手間がかかることも少なくないため、有給休暇は計画的に消化しておくことが望ましいでしょう。
出典
デジタル庁 e-GOV法令検索 労働基準法 第三十九条
厚生労働省 東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 -有給休暇編-
厚生労働省 鹿児島労働局 Q8 年次有給休暇の買上げをしても法律違反にはなりませんか。
厚生労働省 長野労働局 年次有給休暇に関する相談
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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