月末に「ボーナス」が支給されますが、有休が「30日」残っています。すべて使って退職しても大丈夫でしょうか? ボーナスが“減額”になる可能性もありますか?

配信日: 2024.07.14 更新日: 2024.10.10

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月末に「ボーナス」が支給されますが、有休が「30日」残っています。すべて使って退職しても大丈夫でしょうか? ボーナスが“減額”になる可能性もありますか?
退職を考えている場合、ボーナスを受け取ってから辞めようと考える人もいるでしょう。有給休暇がたくさん残っている場合、全て使ってからボーナスをもらいたいと思う人もいるかもしれません。
 
ただし、場合によってはボーナスが減額されることがあるため注意が必要です。本記事では、有給休暇を使って退職する際のポイントや、ボーナスの取り扱いについて解説します。

有給休暇を全て使って退職することは可能?

年次有給休暇は、労働基準法で労働者に与えられた権利です。有給休暇の付与日数は継続勤務期間や週の労働日数によって異なります。通常の労働者であれば、6ヶ月間勤務していれば10日、6年6ヶ月勤務していれば20日の有給休暇が与えられます。
 
有給休暇は、付与されてから2年間は取得できることになっています。このため、人によっては1ヶ月分以上の有給休暇が残っているということもあるかもしれません。
 
有給休暇は労働者がいつでも自由に取得できるものなので、残っている有給休暇を全て消化して退職しても法律上の問題はないといえます。
 
ただし、会社は有給休暇の取得時期を変更する権利(時季変更権)を持っています。時季変更権とは、業務上の理由がある場合、労働者に有給休暇の取得日の変更を求める権利のことです。
 
時季変更を求めることができるのは「事業の正常な運営を妨げる場合」のみで、あくまで労働者の意見が尊重されます。有給取得日を別日にできないか交渉される可能性があることは覚えておきましょう。
 

場合によってはボーナスが減額される可能性も

ボーナスの支給条件は会社ごとに異なりますが、多くの会社では「在職中であること」を条件にしています。有給休暇を消化している間も、形式上は会社に在職していることになるため、ボーナスの支給対象になることが多いでしょう。
 
しかし、ボーナスの支給前に退職の意向を伝えることで、ボーナスが減額されることもあるため注意が必要です。
 
例えば、会社のボーナスの査定基準に「将来への期待値」が設けられていることがあります。退職の意向を伝えることで会社への貢献度が低いとみなされ、評価が下がる可能性も否定できないでしょう。過去に退職によるボーナス減額について争った裁判では、「2割程度の減額は妥当である」という旨の判決が下されています。
 
ボーナスを確実にもらいたい人は、退職を伝えるタイミングにも注意する必要があります。
 

有給休暇を使って退職する際の注意点

「もう出勤したくない」という理由でいきなり有給休暇を使って退職すると、周囲に迷惑をかける可能性があります。
 
退職の意向が固まったら、まずは早めにそのことを上司に伝えましょう。伝える時期によってはボーナスに響く可能性も否定できませんが、早めに伝えるほど会社も新しい人材の確保や業務分担の見直しなどのために動きやすくなります。
 
また、突然退職すると十分な引き継ぎができません。有給休暇の消化に入る前に担当業務の引き継ぎ書を作成し、後任者に必要な情報を伝えるようにしましょう。
 

まずは就業規則を確認! 引き継ぎは確実に

有給休暇を全て消化してから退職することは、労働者の権利として認められています。たとえボーナス支給日に有給休暇を使って休んでいても、多くの場合は支給条件に該当するでしょう。
 
ただし、会社によって対応は異なります。まずは会社の就業規則で、ボーナスの支給条件や有給休暇の取り扱いについてしっかりと確認しましょう。適切な手続きを踏んできちんと引き継ぎをすることで、有給休暇を消化しながら堂々とボーナスをもらうことができるのではないでしょうか。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
 
執筆者:山田麻耶
FP2級

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