更新日: 2024.10.10 貯金

62歳で貯蓄は「1000万円」です。定年まであと3年ですが、独身でも老後の生活を心配すべきでしょうか

62歳で貯蓄は「1000万円」です。定年まであと3年ですが、独身でも老後の生活を心配すべきでしょうか
定年後の生活設計をするために、定年前から貯蓄や年金収入などについて計算する人もいるでしょう。「老後2000万円問題」など老後の人生プランについてさまざまな話題が取り上げられることがありますが、中には「お金が足りなくなるのではないか」と不安な人がいるかもしれません。
 
今回のケースのように一定の貯蓄がある場合でも、将来の収入・支出について前もって考えておくことは大切です。本記事では、定年後に1000万円の貯蓄で生活資金が足りるか解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

1000万円あれば老後の生活は安心?

1000万円は大きなお金であり、これだけの貯蓄があれば「老後の生活は安心できる」と考える人がいるかもしれません。しかし、どれくらいの貯蓄が老後必要になるかは、年金受給額や月々の出費、健康状態などさまざまな要素に影響される可能性があります。
 
そこで、単身世帯が定年後に受け取れる公的年金の予想額と、月々の平均支出額をご紹介し、1000万円で足りるかどうかをシミュレーションします。
 

単身世帯の予想年金受給額

厚生労働省年金局は、2024年5月13日に行われた第15回社会保障審議会年金部会の中で、単身世帯のモデルケースを提示し、年金水準のイメージを示しました。
 
提示された内容によると、現役期の報酬が男性の平均的な収入である43万9000円で、加入年数を40年とした場合の年金額のイメージは「16万2483円」でした。一方、女性の平均的な収入は30万円で、対する年金額のイメージは「13万2494円」です。
 
年金受給額は人によって異なりますが、今回のケースでは男性のモデル金額を適用して計算します。
 

老後の単身世帯における平均的な支出額

次に65歳以上の単身世帯の平均支出を見てみましょう。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における平均消費支出は1ヶ月あたり14万5430円でした。
 
前述の厚生年金受給額から差し引くと、「1万7053円の黒字」です。仮に同じような収支バランスが生涯にわたって続く場合、年金収入だけでも支出をカバーできる計算になります。
 
今回のケースでは62歳の時点で貯蓄が1000万円あり、かつ残り3年間の給与収入の一部を貯蓄に回せる可能性があります。さらに退職金が支払われる場合、貯蓄額の合計は1000万円を大きく上回ってくるかもしれません。
 
この場合、老後の生活資金で困窮する可能性は低いといえるでしょう。
 

予期せぬ出費や生活スタイルの変化も起こり得る

注意点として、上記のシミュレーションでは1000万円の貯蓄額で問題ないように見えますが、状況はそれぞれ異なります。現役期の収入が低ければ、年金受給額も低くなる場合があります。
 
例えば前述の年金モデルによると、現役期の収入が30万円の場合、受給額は13万2494円と予想されており、平均消費支出額を差し引くと「1万2936円の赤字」です。
 
また平均消費支出が14万5430円よりも高くなる可能性もあります。こちらの金額の内訳を見ると、住居費が「1万2564円」で計算されていますが、賃貸によっては支出がもっと高くなるかもしれません。
 
ほかにも、健康問題を抱えて多額の医療費が発生したり、結婚して支出が増えたりなど、現時点で予想できない負担を抱えるおそれもあります。
 

老後の生活設計のためにできること

安心感を少しでも増すには、定年前の今から、資産を増やす工夫や支出に備える工夫をするとよいかもしれません。例えば以下のような対策がとれます。

●定年までの期間に貯蓄額を増やす生活スタイルにする
●医療費や介護費をサポートする医療・介護保険に加入する
●投資信託など資産運用を検討する

現在の生活費の支出を洗い出して、将来の収支バランスをシミュレーションすることが重要です。
 

1000万円の貯蓄で十分かどうかは状況により異なる

定年後の収支バランスが黒字であれば、1000万円の貯蓄でも事足りる可能性はあります。しかし毎月赤字になる場合は、貯蓄を取り崩す生活になるかもしれません。
 
また黒字だとしても、予期せぬ出費や生活スタイルの変化によっては大きな金銭的負担を被るおそれもあります。そのため今から貯蓄や資産運用、保険の活用などを検討し、余裕のある老後の生活設計を考えることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 年金局 第15回社会保障審議会年金部会 資料1 これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点(2) 多様な世帯構成を踏まえた年金水準の示し方(検討例1)(4ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2023年-(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集