更新日: 2024.10.10 働き方
通勤中、毎日暑すぎて「熱中症」になりそうです。万が一のときは「労災」の対象になるのでしょうか…?
本記事では通勤中の労働災害が適用される条件と、熱中症が労災の対象となるのかについて解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
労働災害とその適用要件
通勤中に起こった労災は、「通勤災害」といいます。労働災害補償保険法によると労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡は保険給付の対象となります。またこの「通勤」として認められるのは次のケースです。
●住居と就業の場所との間の往復
●厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
●往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するもの)
つまり通勤災害が認められるには、就業のための移動でかつ正しい通勤手段を使用していることが大前提です。また単身赴任先から自宅へ帰る場合や異なる勤務先への移動も「就業のために移動」として認められます。
このように通勤災害が認められるのは、基本的には通勤や帰宅のための移動となります。しかし通勤の途中にある公衆トイレを使用する場合や、近くのコンビニなどの店で飲み物や弁当を購入するといった些細な行為であれば、通勤経路から外れたとは判断されにくいとされています。
しかし、通勤とまったく関係のない個人的な寄り道をして事故に巻き込まれたり、病気を発症したりした場合は、通勤災害に該当しないと判断される可能性が高いでしょう。
熱中症は労災の対象になる?
近年は朝から気温が高い日も多くあります。その暑さの中を長時間歩いて通勤したり、公共交通機関を待つ際に直射日光の屋外で立ちっぱなしだったりすることもあるでしょう。過酷な暑さの中で通勤することは体調不良を引き起こすことも十分考えられます。
このような状況で熱中症を発症した場合「通勤による疾病」に相当するでしょう。つまり通勤中に熱中症になった場合、通勤災害の要件を満たしていれば、労災保険の補償を受けられる可能性が高いといえます。
熱中症にならないために
熱中症になると体調が悪くなるだけでなく、症状によっては命にかかわることもあります。そのため通勤時にかかわらず、しっかりと熱中症対策をおこなうことが大切です。熱中症にならないため次のような対策をするといいでしょう。
まずは強い日差しから身を守るための日傘や帽子を使用したり、首元を冷やす冷却グッズを利用したりすることをおすすめします。会社の規定が許す範囲で通気性のいい衣服を着用するのも効果的でしょう。またこまめな水分補給や適度な塩分補給をすることもとても大切です。
もしも通勤の途中で体調不良を感じた場合は無理に動かず、近くのコンビニや公共施設などのクールスポットで体を休めることも必要です。
熱中症には注意をし、安全に通勤を
通勤途中で熱中症を発症した場合、基本的に通勤災害として労災が認められると考えられます。ただし、業務に関係のない個人的な寄り道をして熱中症を発症すると「通勤経路」ではないため、労災は認められなくなるケースもあるので注意しましょう。
まだまだ暑い日が続きます。熱中症にならないために個人での対策もしっかりして、暑い季節を乗り切りましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働災害補償保険法
厚生労働省 通勤災害について
厚生労働省 熱中症を防ぐために知っておきたいこと
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級