更新日: 2024.10.10 その他家計
実家暮らしの息子が”無職のまま”夫が定年を迎えることに…。「月20万円」の年金と「1000万円」の貯金だけで息子の面倒をみれるのでしょうか?
そこで今回は、親子3人で生活する際にかかる支出や受け取れる年金額などを提示しながら、年金と貯金で生活できるのかを解説します。収入が減った状態で息子の面倒をみられるのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
親子3人、1ヶ月に必要なお金はいくら?
総務省統計局の「家計調査 家計収支編 2023年」によると、無職の3人世帯における1ヶ月の平均支出額は表1の通りでした。
表1
無職の3人世帯 | |
---|---|
非消費支出 | 3万9158円 |
消費支出 | 27万8263円 |
合計 | 31万7421円 |
出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 2023年」を基に筆者作成
夫が定年を迎えて年金生活になることから無職の3人世帯を想定すると、表1より月の支出金額は31万7421円、年間380万9052円となります。ただし、表1の金額は世帯人員すべての年齢を指定できるわけではないため、あくまで目安金額である旨を理解しておきましょう。
仮に息子の面倒をみずに65歳以上無職の夫婦のみで生活した場合、同じく総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要」より、1ヶ月の支出金額は、非消費支出3万1538円と消費支出25万959円の合計28万2497円となります。
夫婦以外にもう1人世帯人数が増えると、夫婦だけに比べて月3万4924円、年間で41万9088円出費が増加する可能性があることが分かります。
この金額はあくまで平均値のため、家庭の状況によって金額に差が生じる可能性がありますが、夫婦だけの生活に比べてお金がかかることは頭に入れておきましょう。
定年後に受け取れる年金額は?
日本年金機構によると、国民年金保険料を満額納めた場合の老齢基礎年金(満額)は令和5年度で月額6万6250円です。
また、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は令和5年度で月額22万4482円、年間にすると269万3784円です。
厚生年金の金額は、平均的な収入(43.9万円)で40年間就業した場合の給付水準のため、収入や勤続年数によっては少なくなったり多くなったりする場合があります。
年金と貯金1000万円で親子3人は生活できる?
今回のケースにおける支出額が平均値と同程度と仮定した場合、親子3人の消費支出が年間380万9052円なのに対し、受け取れる年金額は月20万円、年間240万円です。この状態だと、年間140万9052円の赤字となります。
年間約141万円の赤字を貯金1000万円で補おうとしても、約7年で貯金が底をつきます。退職金をあてにしたり節約をしたりしても、年金と貯金で親子3人が長期的に生活していくのは難しいでしょう。
どこまで息子の面倒をみるのかは家庭によって異なりますが、長期的に考えた場合、息子が就職して独り立ちすることは不可欠だと考えられます。無職のままだとお金を工面するのは難しいことを伝え、転職活動をしてほしい旨を伝えることをおすすめします。
月20万円の年金だけで3人の生活費を賄うと、約7年で貯金1000万円はなくなる見込み
無職の状態で親子3人が生活した場合、総務省統計局の平均値を参考にすると、年間の支出は380万9052円程度となる可能性があります。
それに対し、今回のケースにおいては受け取れる年金が年間240万円と、支出に対して収入が140万9052円足りない状態となります。貯金1000万円があったとしても、約7年で底をついてしまうでしょう。
息子の面倒をみるかどうかの判断は各家庭が決めることではありますが、年金と貯金で親子3人が長期的に生活していくとなると息子が就職して独り立ちしてもらう必要があることは頭に入れておきましょう。
出典
e-Stat政府統計の総合窓口 総務省統計局 家計調査(家計収支編) 二人以上の世帯 詳細結果表 年次 2023年 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 表番号3-1 世帯人員別 二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編] 2023年(令和5年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2023年-(18ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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