更新日: 2024.10.10 働き方

飲食店でパートをしていますが、「お客さんが少ないから」と早退になることが多いです。その分“お給料”が減ってしまうのですが、働いてない分は「休業手当」がもらえるって本当ですか?

飲食店でパートをしていますが、「お客さんが少ないから」と早退になることが多いです。その分“お給料”が減ってしまうのですが、働いてない分は「休業手当」がもらえるって本当ですか?
アルバイトやパート勤務をしたことがある人の中には、「お店が暇だから人を減らしたい、でも正社員のシフトは減らせないから……」という理由で、早上がりや急な欠勤を指示された経験がある人もいるでしょう。
 
「ノーワーク・ノーペイの原則」により、使用者は労働者に対して、働いていない時間の給与を払う必要はないとされています。とはいえ、働く時間が減ってしまうと生活に影響が出てしまう人も多いはず。
 
しかし、シフトを一方的に減らされたときに労働者が保護される、「休業手当」という仕組みが用意されています。どんなときに手当を受け取れるのでしょうか?
 
本記事では、シフトカットされたときの休業手当について解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

会社都合によるシフトカットは休業手当の対象

会社都合によるシフトカットで勤務時間が減ったとき、労働者は休業手当を受け取れます。労働基準法第26条「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」というのが根拠です。
 
したがって、急な早退指示や欠勤指示といったシフトカットを受けたときは、休業手当として働いていない分の賃金がもらえることがあるのです。
 

使用者の責に帰すべき事由とは?

では、休業手当の支給条件「使用者の責に帰すべき事由」とはどのような場合でしょうか? 「お客さんが来ないのは、会社の都合ではないので仕方ないんだ」と言われたら少し悩んでしまうかもしれません。
 
しかし、「天災事変のような不可抗力の場合を除くすべての場合」が「使用者の責に帰すべき事由」に該当するとされています。具体例として、親会社の経営難に伴う休業や業務量減少に伴う休業が挙げられており、「お客さんが少ないから」も十分当てはまるわけです。
 
なお、台風や大雪など自然災害の場合も、「天災で店舗が被害を受けたとき」「停電で正常な営業・業務ができないとき」は不可抗力とされるものの、「営業はできそうだけれど、従業員の安全を考慮して欠勤を命じたとき」は不可抗力とされず、休業手当の対象となるとされています。
 

早上がりしたときの具体的な休業手当は?

1日あたりの休業手当は、休業が発生した日以前の3ヶ月間に支払われた平均賃金の60%以上とされています。日給制または時給制のアルバイトやパートであるときの平均賃金の計算方法は次の通りです。
 
平均賃金=算定期間中(直前3ヶ月間)の賃金総額÷算定期間中(直前3ヶ月間)に労働した総日数
 
賃金総額には通勤手当など定期的にもらえる手当も含まれます。一方で、結婚手当などの臨時手当、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賞与などは含まれません。
 
例えば、算定期間中の賃金が23万4000円、通勤手当として1万9500円支給され、労働日数が39日だったとき、休日手当算定の根拠となる平均賃金は6500円となります。つまり、1日あたりの休業手当は最低でも6500円の60%である3900円です。
 
早退を命じられたケースでは、実際の賃金が1日あたりの休業手当3900円に満たないときのみ、差額分が休業手当として支払われます。例えば、時給1200円の人が2時間で早退を命じられたケースでは、2時間分の賃金2400円と1日あたりの休業手当3900円の差額1500円が休業手当として支給されるのです。
 
一方で、本来5時間働く予定で1時間早い4時間で早退を命じられたケースでは、1日あたりの休業手当3900円より多い4800円の賃金が発生しているため、休業手当はもらえません。
 

休業手当を正しくもらおう!

会社の都合で早退や欠勤を命じられたケースでは、平均賃金の60%以上に当たる休業手当を請求できます。また、これは実際に労働できた日数が、労働契約で定める日数に満たない場合も同様です。
 
不足分はしっかりと休業手当を受け取りましょう。ただし、休業手当が正しく支払われたとしても、頻繁なシフトカットは収入に大きな影響を与えるものであり、労働環境が良いとは言えません。
 
労働契約上の勤務日数を減らしてダブルワークの検討や、パート・アルバイト先を変えるきっかけにしても良いでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 労働基準法第26条で定められた休業手当の計算について
厚生労働省 休業手当について
厚生労働省 労働基準法 素朴な疑問 Q&A
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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