更新日: 2024.10.10 ライフプラン

アラサーで彼女から「結婚」を急かされていますが、自分が「年収400万円」で不安です。「結婚すれば支出も減るから」と言われていますが、本当に大丈夫でしょうか…?

アラサーで彼女から「結婚」を急かされていますが、自分が「年収400万円」で不安です。「結婚すれば支出も減るから」と言われていますが、本当に大丈夫でしょうか…?
結婚にお金の悩みはつきものです。年収が少ない状態で結婚しても生活していけるのか、不安に感じる人も多いでしょう。
 
「一人口は食えぬが二人口は食える」ということわざがある通り、結婚すると経済的なメリットがあるのは事実です。本記事では、結婚することで得られる家計と税制上のメリットについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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結婚で得られる家計のメリット

まずは、結婚で得られる家計のメリットについて解説します。2023年の「家計調査」によると、2人世帯と単身世帯の支出はそれぞれ図表1、図表2の通りです。
 
図表1 2人世帯の支出

図表1

総務省統計局 2023年家計調査より筆者作成
 
図表2 単身世帯の支出
図表2

総務省統計局 2023年家計調査より筆者作成
 
2人世帯の支出合計が26万4238円、単身世帯の支出合計が16万7620円となっています。2人世帯のほうが合計金額だけ見ると高いのですが、1人あたりの支出は13万2119円となっており、2人世帯のほうが少ないと分かります。
 

1人当たりの支出が減っている用途分類

2人世帯になることで1人あたりの支出が減っている項目は、以下の通りです。


食料
光熱・水道
家具・家事用品
被服及び履物
交通・通信
教養娯楽
その他の消費支出

住居費については持ち家の有無などで変動が大きいため、ここには挙げていません。これらの項目の多くは、世帯単位でかかるお金です。例えば、光熱・水道費や交通・通信費、家具・家事用品などは、結婚すれば1世帯分の料金で済みます。
 
食料費は2人で食べれば食材を余らせることが少なくなりますし、光熱費も節約できます。教養娯楽費についても、2人で楽しめる娯楽があれば費用を節約できるでしょう。
 
その他の消費支出については、たばこ費と交際費が特に減っています。結婚することでたばこをやめる人が多かったり、家族との時間が増えたりするため、出費が抑えられるものと考えられます。
 

3人世帯になると出費が大幅に増える

子どもが生まれ3人世帯になると、出費は大幅に増えます。3人世帯の支出は図表3の通りです。
 
図表3(3人世帯の支出)

図表3

総務省統計局 2023年家計調査より筆者作成
 
支出合計は31万2567円となっており、2人世帯よりも5万円近く高くなっています。もちろん1人あたりの支出で見れば金額は減っていますが、子どもにかかるお金は当然大人が全て稼がなくてはならないため、負担感は強まるでしょう。
 
子どもを持つ際は、結婚を決めるとき以上にお金についてパートナーとじっくり考える必要があります。
 

結婚で得られる制度上のメリット

結婚で得られるメリットは、家計の節約だけではありません。制度上のメリットもあります。結婚することで次のような制度上のメリットが受けられます。


・配偶者控除
・配偶者特別控除
・社会保険の被扶養者制度

配偶者控除

配偶者控除とは、配偶者の所得が48万円以下(給与所得のみなら年収103万円以下)である場合、納税者の所得から最高38万円が控除される、という制度です。課税所得の金額が少なくなるため、所得税を減らすことができます。
 
例えば、夫が会社員として働き妻がパートで働いている世帯で、夫の年収が400万円の場合、妻が受け取る給料が年間103万円以下であれば、配偶者控除を受けられます。そのときの課税所得は以下のようになり、190万円という金額から所得税の額が計算されます(社会保険料控除等その他の控除はここでは考えていません)。
 
400万円-給与所得控除124万円-配偶者控除38万円-基礎控除48万円=190万円
 
課税所得が190万円の場合、所得税率は5%ですので、以下のように9万5000円で済む計算です。
 
190万円×5%=9万5000円
 
38万円の配偶者控除がなければ所得税率は10%となり、所得税の額は約13万円となります。配偶者控除のおかげで3万円強の税金が節約できた計算です。なお、配偶者控除を受けるには、納税者の所得が1000万円以下である必要があります。収入によって控除額が変わるので注意が必要です。
 

配偶者特別控除

配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円超133万円以下(給与所得のみなら103万円超から約201万円以下)である場合、最高38万円の所得控除が受けられるという制度です。配偶者控除を受けられない世帯でも、配偶者特別控除であれば受けられる場合があります。
 
配偶者特別控除の金額は配偶者の所得に応じて、段階的に変わります。例えば、夫の年収が400万円で、妻の年収が150万円の場合、配偶者特別控除の額は38万円となります。妻の年収が200万円だと、控除額は3万円に減ります。
 
配偶者特別控除も所得が1000万円を越えると受けられません。また、配偶者の収入が増えるほど控除額が少なくなるため注意が必要です。
 

社会保険の被扶養者制度

配偶者の年間収入が130万円未満の場合、社会保険の扶養に入ることができます。扶養に入ることで社会保険料を支払うことなく健康保険や厚生年金に加入できるようになります。
 
配偶者の社会保険料がまるまる節約できるため、これも大きな経済的メリットです。ただし、被扶養者制度があるのは健康保険のみで、国民健康保険には扶養という考え方はないので注意してください。
 

結婚を決める前にお金についてパートナーとよく話し合おう

これまで解説してきた通り、結婚することで経済的なメリットがあるのは確かです。しかし、だからといってお金についての不安がすべて解消できるとは限りません。
 
結婚後のお金の不安に対処するには、結婚する前にパートナーとお金についてよく話し合うことが大切です。お金に対する考え方が異なると、いくら経済的メリットがあってもパートナーへの不満や不安が生まれてしまうかもしれません。
 
経済的メリットももちろん重要ですが、お金に対する価値観をすり合わせることの方が結婚生活ではより大切です。パートナーとお金についてよく話し合ってください。
 

出典

総務省統計局 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 2023年
総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 2023年
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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