「年収600万円」の中間管理職。家族のために働いていますが、正直「宝くじ」を当てて仕事をリタイアしたいです。現実的にいくら当たれば可能でしょうか?
配信日: 2024.09.28 更新日: 2024.10.10
本記事では、家庭を持つ会社員が、宝くじがいくら当たれば仕事を辞めても生活できるのか、具体的に計算してみます。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
家族の生活費は40万円ほど
総務省統計局の家計調査によると、2023年における1ヶ月当たりの生活費の平均額は、29万3997円(2人以上の世帯)となっています。
ただし、この約29万円に含まれている住居費は、約1万8000円である点に注意しなければなりません。あくまでも「平均」であるため、持ち家の人、家賃や住宅ローンがない人も含まれているからでしょう。
中間管理職の現役世代であれば、住宅ローンを抱えている人も多いと考えられることから、月々の生活費としてプラス10万円は必要と見ておくべきでしょう。本記事では月の生活費を約40万円として計算を進めます。
40歳から90歳まで生活するためには約1億7700万円必要
家族がいる年収600万円の中間管理職ということなので、現在40歳であると仮定し、配偶者は専業主婦(夫)、子どもは2人(10歳と7歳)の4人家族とします。
本人が90歳で死亡する(便宜上、配偶者も同時期に死亡と仮定)とした場合の生活費を計算してみましょう。なお、子どもが22歳で独立するまでの15年間と、子どもが独立した後の夫婦2人で過ごす35年間の2ステージに分けて計算します。
子どもが独立するまでに約7200万円必要
第2子が22歳で大学を卒業・独立するまでの15年間は月々の生活費を40万円と仮定すると、「40万円×12ヶ月×15年」で総額7200万円必要になります。
90歳で死亡するまでに約1億500円必要
子どもが独立した後、90歳で死亡するまでの35年間の生活費を計算します。総務省統計局によると、65歳以上の無職世帯の生活費の平均額は25万959円となっていることから、「約25万円×12ヶ月×35年」で約1億500万円必要です。
よって、40歳から90歳までに必要な生活費は、「7200万円+1億500万円」で約1億7700万円となりました。
年金受給額は約7500万円
90歳までにかかる生活費は約1億7700万円なので、単純計算では宝くじが2億円当たればよいことになりますが、その前に65歳から90歳までの25年の間もらえる老齢年金も考慮しておきましょう。
日本年金機構によると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金の受給額は、約23万円(2024年度)となっています。
ただし、本記事の場合では、40歳で退職している点に注意しなければなりません。65歳で退職した人の半額以下と思っておきましょう。夫婦2人分の基礎年金に半額程度の厚生年金が上乗せされて18万円程度と考えられることから、25年間では「18万円×12ヶ月×25年」で約5400万円受け取れます。
「今!」仕事を辞めるために必要な宝くじ当選金額は約1億円
40歳から90歳までに必要な生活費は約1億7700万円、65歳から90歳までに受け取れる年金受給額は約5400万円ということは、宝くじで補填しなければならない金額は約1億2300万円ということになります。
ただし、1億円2300万円用意できたとして、この金額では生活費しか捻出できない点には注意しなければなりません。旅行などの娯楽費や、家の修繕などの臨時の支出は考慮していません。
また人間とは不思議なもので、収入に合わせて生活してしまいがちです。億という大きなお金が苦労なく入ってくると、気が大きくなり、平均的な生活費以上の出費をしてしまう可能性も否めません。そこまで考慮すると、最低でも2億円は当選したいところでしょうか。
まとめ
40歳でリタイアするために必要な宝くじ当選金額は、最低1億2300万円は必要です。ただこれは生活費のみの金額のため、生活費以外の臨時の支出も考慮すれば、2億円は用意したいところです。
宝くじで2億円当選すれば、40歳で家族持ちの会社員が退職してもまずまず安心だといえるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年―
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士