更新日: 2024.10.09 働き方

台風で自宅周辺が「水没」して出勤できませんでした。私の職場は“欠勤扱い”でしたが、近所の友人は「特別休暇」になったそうです。給与が出るのはどんな場合なのでしょうか…?

台風で自宅周辺が「水没」して出勤できませんでした。私の職場は“欠勤扱い”でしたが、近所の友人は「特別休暇」になったそうです。給与が出るのはどんな場合なのでしょうか…?
近年は大型の台風が日本各地を襲っています。例えば、2024年は8月に台風10号(サンサン)が各地に大きな被害をもたらしました。
 
会社員の場合、台風によって道路が水没したり公共交通機関がストップしたりして、通勤できないことが考えられます。反対に、会社側の判断で休みになることもあるでしょう。
 
気になるのは、「台風で会社が休みになっても給与を受け取れるのか」ということです。
 
本記事では台風などの自然災害で会社を休んだ場合、会社の判断で休みになった場合に給与を受け取れるのか、考え方の基本を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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台風などの自然災害時に特別休暇になるかは会社の判断による

会社によっては、台風をはじめとした災害が発生したときに特別休暇になり、通常の勤務分の賃金を支払ってくれることがあります。
 
ただ、上記の対応は法律で定められているわけではなく、会社は台風だからといって必ずしも労働者に特別休暇を与える義務はありません。
 
給与支払いの基本的な考え方は「ノーワーク・ノーペイ」です。民法では「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」と定められており、働いていないなら賃金の支払いを請求できないのが基本的な考え方です。仮に休業したとしても、会社に責任がない事情による休業で仕事をしない場合は、給料を受け取れません。
 

会社が賃金を支払う必要がないケース

ここでは、台風の影響で労働者が会社に出勤できなかった場合や、会社が休業になった場合に、会社から労働者に給与を支払う必要がないケースを紹介します。
 

交通機関がストップすることで出勤ができない場合

台風の影響で多くの会社員に影響があるのが、公共交通機関が止まってしまうことでしょう。通勤に利用できる公共交通機関が全てストップすると、ほとんどの場合は通勤することが不可能になります。
 
この場合、労働者が働けない責任は会社に帰属するわけではありません。労働基準法26条の休業手当の支給要件である「使用者の責めに帰すべき理由」が存在しないため、給与は受け取れないと考えられます。
 

出勤できるが労働者の判断で出勤しない場合

台風の被害が出ていても、公共交通機関が止まっておらず出勤が可能だったが、労働者が身の安全を確保するために自分の判断で出勤しないケースもあるでしょう。この場合も会社に責任があるとはいえず、会社が労働者に給与を支払う義務はありません。
 

台風による不可抗力で休業する場合

台風による暴風雨や災害によって、会社の施設や機械設備に被害を受けたり停電したりして業務ができず、会社を休業にすることもあるでしょう。このように、台風などの自然災害による不可抗力が原因で休業する場合、会社は従業員に賃金を支払う義務がありません。
 

会社が賃金を支払う必要があるケース

会社が休業になった場合に、労働者に賃金を支払うべきケースもあります。
 

会社の判断で休業する場合

公共交通機関が動いていて台風の勢いも生命が危険にさらされるようなものでない場合、就業規則で定められた通りに出勤して働くのが原則です。
 
このような場合に会社が休業の判断をしたときは、従業員に休業手当として少なくとも給与の6割(平均賃金の100分の60以上)を支払う必要があります。
 

有給休暇を使用する場合

会社の責に帰さない不可抗力で休業するとき、労働者は給料を受け取れませんが、有給休暇を申請すれば話は別です。普段利用している交通機関が完全にストップして通勤ができない場合や、学校が休校になって子どもの世話が必要になった場合などは、有給休暇を取得できれば給与を受け取りつつ休暇を得ることができます。
 

まとめ

台風によって交通機関がストップして通勤できず休んだとしても、会社に責任がない事情なら給与を受け取ることはできません。また、台風の影響など会社の責任がない事情で休業した場合も同様です。
 
一方、労働者の権利である有給休暇を取得することで、休業手当を受け取れないときでも給与を受け取って休暇を取得できます。
 
会社から特別休暇が与えられたり、休業手当が支払われたりする状況は決して多くないため、有給休暇を取得するのが台風被害時の休み方の基本になるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 休業手当について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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