パートで「年収106万円」未満ですが、10月から「社会保険」に加入します。会社によっては“手取りが減らない”と聞いたのですが、転職すべきでしょうか…?
配信日: 2024.10.11
しかし、企業によっては社会保険に加入しなくてもよいケースがあります。果たして、社会保険の適用されない会社へ転職したほうがよいのでしょうか。この記事では、社会保険の適用拡大や手取りを減らさないための転職の是非について解説します。
執筆者:石上ユウキ(いしがみ ゆうき)
FP2級、AFP
社会保険の適用拡大についておさらい
2024年10月に、社会保険の適用拡大が行われます。具体的には「従業員51人以上の企業」に勤めており所定の条件を満たす人に、社会保険が適用される予定です。
つまり、これまでは配偶者の扶養に入っており社会保険料を納めてこなかった人も、社会保険に加入する必要が出てくるのです。
社会保険に加入するメリットとしては、厚生年金保険に加入するため将来受け取れる年金が増えること、出産や病気、けがのときなどに充実した保障が受けられることが考えられます。一方、社会保険料を負担する必要があるため、手取り収入額の減少が見込まれます。
10月から社会保険に入らなければいけないのはどんな人?
10月から社会保険に加入しなければならないのは、以下のすべてに当てはまる人です。
・1週間の労働時間が20時間以上30時間未満である人
・月額の給与が8万8000円以上の人
・2ヶ月を超えて雇用される見込みのある人
・学生でない人
例えば、今後長く会社でパートとして勤める予定の人で、毎週平日の午後1時から5時までの4時間働き年間105万6000円以上の給与を受け取っている人は、10月から社会保険の加入対象です。
社会保険の加入義務が発生しないのは前述のうちいずれか1つでも当てはまらないものがある人となります。週4日で午前9時から午後12時まで仕事をしている人や、毎月の給与が7万円の人は、社会保険の加入対象外です。
手取りを減らさないための転職はあり?
給与減少を受け入れてでも「社会保険への加入を避けたい」「家族の扶養に入ったまま働き続けたい」という人は、今の職場での働き方を見直し、職場の担当者と相談するとよいでしょう。
しかし、物価高の現代で手取りを減らす選択は勇気がいるもの。手取りをどうしても減らしたくなく「違う会社で働こうかな」と考えている人もいるでしょう。
例えば、給与や労働時間などが現在と同条件で、従業員50人以下の企業が見つかった場合は、転職すれば手取りを下げることなく、かつ社会保険に加入することなく働き続けられます。
一方、もし転職するとなれば、以下のことを念頭に置きながら新しい職場を探す必要があります。
・給与が下がらない
・10月からもパートやアルバイトに社会保険が適用されない
新しい職場が見つかれば、大きな心配はいりません。しかし、もし社会保険の適用が今後さらに拡大され、転職先にも社会保険の加入義務が課されたときは、再度職場を変えるかどうかを決める必要があります。
社会保険の加入を避けるための転職は決して悪いことではありませんが、新しい職場の条件設定を決めるのに必要以上の時間がかかる可能性があります。また、結局は問題を先送りしていることになってしまうため、数年後に同じ悩みを抱える場合もあるでしょう。
まとめ
10月から社会保険の加入対象となった場合、働き方を見直したり対象外の企業に転職したりしない限りは、家族の扶養から外れて自分で社会保険料を納めなければなりません。手取り収入額が減ってしまうことから、できれば社会保険への加入は避けたいと考えている人も多いでしょう。
前述のように、社会保険への加入はデメリットだけではありません。将来受け取れる年金が増えたり出産や病気、けがのときに手当がもらえたりするため、いざというときの助けになる可能性もあります。社会保険の適用拡大を機に、今一度自分の将来のライフプランを見直してみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP