更新日: 2024.10.15 その他家計
家計管理のために家計簿をつけています。株や投資信託などの金融資産も情報をまとめたいと考えているのですが、金融資産を簡単に管理する方法はありますか?
今回は、金融資産を自分で管理する必要性と、エクセル使用の簡単な金融資産管理の方法をご紹介します。
ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
家計管理と金融資産管理
家計簿ソフトや家計簿アプリと呼ばれるソフトウエアは数多くあり、多くの人に名が知られ、広く使用されているものもあります。金融資産管理は家計管理のなかに含まれるものなので、家計簿アプリには金融資産管理ツールも含まれています。
まずは、家計管理と金融資産管理について、目的や概要を見てみましょう。
家計管理
家計管理は、月間や年間の家計(世帯全体)の収支状況を把握して、計画的に収支をコントロールすることが目的です。
家計の収入と支出を項目ごとに管理して、支出する家計資産の残高を現金・預金・その他金融資産に分けて一覧にするのが一般的です。
金融資産管理
一方、金融資産管理は、手持ちの金融資産の種類(現金・定期預金・外貨預金・株式・投資信託・債券など)ごとの、残高・月末などの評価額・配当分配金・資産の入れ替えなどを一覧して見ることです。その経緯を見て目標管理することが目的です。
これらの月間の動きは、預金通帳や証券会社等から提供される取引結果報告や月次取引報告書で見ることは可能です。
また、同一金融機関に預けて保有している金融資産は、一覧表として見ることも可能です。
しかし、金融資産を2つ以上の金融機関で保有している場合、それらをまとめて管理する必要があるほか、単月の月末時点の残高だけではなく、時系列(1月~12月または年ごと)で推移を見ることも大切です。
さらに、金融資産は、世帯全体分を世帯の個人がそれぞれ管理している場合も多くあると思いますが、世帯全体で金融資産がどのようになっているのか、まとめて把握することも必要です。
そこで今回は、よりシンプルな形で、エクセル等を使ってひとつの表で金融資産管理をする方法をご紹介します。以下で、その場合のポイントとフォーマットのサンプル表を見ていきましょう。
金融資産管理のサンプル表
図表1
図表1で記載されているのは、以下の金融資産の移動です。
1)A銀行定期預金からBネット銀行外貨預金へ100万円を振り替えた。
2)C証券のA不動産投資法人のREITを売却してZ自動車株を買い増した。
3)A銀行普通預金から家計費30万円を引き出した。
複数の金融機関の資産が一目で把握できるうえ、時系列での残高の動きが確認しやすいでしょう。
金融資産管理表のポイント
次に、具体的にどのように金融資産管理を表にしていくかについて、ポイントを説明します。
1)金融機関別にリストする
エクセルで表を作成する際、スマホまたはパソコンから元データを転記することができるので、金融機関別に項目を作って作表するのがよいでしょう。
2)金融資産別に分類する
金融機関ごとの資産は、以下の項目に分類して記載します。
預金:普通預金・定期預金・外貨預金
株式:個別銘柄別
投資信託:ファンドごと
債券:債券銘柄(内外公債、内外社債)
3)横軸(行)に年月を取って、時系列に残高の推移が見える形にする
左上から右に年月を設定して時系列の表を作ります。例では2023年12月がスタートとなっていますが、管理を始めた時期からで大丈夫です。
4)1ヶ月に3セル(3枠)を使用する
左から振替枠、損益枠、月末残高枠を作り、前月残→振替枠→損益枠→月末残高と記入していきます。
「振替」は、銘柄の入れ替え(預金から投資信託へ、A株からB株へ、家計への支出受入)などの資金移動が発生した際に使用する欄になります。「損益」は、値上がりや値下がり(含み益・含み損)や分配金などの受け取り、再投資の際に記入する欄です。
5)毎月末に1ヶ月を振り返ることがポイント
資産運用は下がったときは見たくないことが多いものですが、毎月結果を見て振り返ることが、運用の成功のポイントです。
6)時系列表の「振替」「損益」欄のセルを非表示にするか、振替や損益欄のないシートを別途作成すると、時系列を見る場合はシンプルで見やすい表となります。
7)リスク資産(株・投資信託・債券・外貨預金)とノーリスク資産(預金・保険・国債・MRF)を分類して、比率を半年に一度程度確認してリバランスをすることも大切です。
まとめ
金融資産管理のツールは、家計簿アプリや金融機関ごとの帳票などさまざまな形で提供されています。そのような提供データを上手に活用すれば、手間はかかりません。
しかし、少し手間をかけて自分だけの金融資産管理票を作ってみると、確認がしやすいというメリットのほか、作成の過程で気付きがあったり、手間以上の成果が得られたりすることもあります。エクセルなどで簡単に作成することができるので、ぜひ自分なりの金融資産管理票を作ってみてください。
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP