あなたも大谷選手になれるかも? 書けば道筋が見えてくる“人生設計シート”
配信日: 2024.11.26
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
自分の理想の人生とは?
今シーズン、大谷翔平選手の驚異的な活躍ぶりを紹介する報道が続きました。そして、ついにはワールドシリーズ制覇。うれしいニュースに日本中が明るい気持ちに包まれました。
高校時代のエピソードも多く報道されましたが、そのなかで筆者が個人的に気になったのが「人生設計シート」です。これは、18歳から70歳までの自分の人生設計をシートに書くという課題の授業だったようです。
いわば、将来の年表作り。高校3年生にとって、70歳の自分の姿を想像するのは難しいでしょう。インタビューに応じた同級生は、「1時間程度の時間制限もあり、自分はあまり埋めることができず、60代で交通事故死することにしました」と答え、何ともウイットにとんだコメントに感心しました。
大谷選手のシートはというと、野球人生における各年の目標記入だけでなく、「次男誕生」「ハワイ旅行」などの記載も見られました。
もちろん先のことは分からないし、半分以上は妄想の世界かもしれません。しっかりと野球の目標設定をする一方で、「自分はどのような人生を送りたいのか」という夢をシートに記入することは重要です。
「こんな人生を送りたい」というのは夢物語かもしれませんが、人それぞれに違います。自分にとって何が重要なのか、優先順位はどうなっているのか、これは書き出すことで整理できます。
希望を可視化することで「実現は無理かも」と思われる内容も、「できそうな気がしてきた」に一歩近づく可能性が高くなるでしょう。シートを作っても大谷選手になることはできませんが、自分の人生の道筋を考える手助けには有効です。
“人生設計シート”から夢を見える化する
FP(ファイナンシャル・プランナー)の仕事は「夢をかたちにするお手伝い」といわれています。相談の入り口は保険や資産運用など現在直面している内容であっても、それらを考えるうえでも、どのような将来を希望しているのかは大事なことです。
日本FP協会のホームページにもライフイベント表を作成するシートが用意されています。ダウンロードできますので、よろしければご活用ください(※)。
「将来のことは未定なので記入できない」という場合も、まずはシートの年齢欄を埋めてみましょう。自分や家族の年齢だけでなく、子どもの入学式や両親の銀婚式などのイベントを書き込むと、少し将来のイメージが湧いてくるかもしれません。
FPとしては、それぞれのライフイベントにかかるお金の目安を考えます。「イベントの予算を見積もりキャッシュフロー表に落とし込む作業をすれば、イベント間近に費用が足りなくて困ることなく人生を送ることができる」という筋書きです。
うまくいくことばかりではありませんので、度々の見直しは必須ですが不安は軽減されます。ライフイベント表と同様に、キャッシュフロー表も日本FP協会のホームページでダウンロードできます。作成方法も詳しく説明していますのでご参照ください(※)。
さて今回は「人生設計シート」にフォーカスしていますので、大谷選手になぞらえて家族で書いてみることを提案していきます。将来に向けて子どもの気持ち、パートナーの考え方等を確認するきっかけになるでしょう。「家族は○○を望んでいるに違いない」と思っても、意外と独りよがりなことがあります。方向性を共有することで、資金計画もスムーズに運びます。
例えば、親が「子どもには大学に行ってもらいたい」と思っていても、子どもは「○○になりたいから専門学校に行きたい」と言うかもしれません。子どもの希望によっては用意する教育費が異なってきます。
「思った以上に教育費がかさみ、老後資金がなくなってしまった!」などとならないよう、家族の希望を聞き、それを踏まえて“人生にかかるお金の計画”を立てていくことが理想的です。
皆さんもお気づきでしょうが、このシートは若者だけではなくシニアになっても効力を発するものです。「やりたいこと」を書き出し、「いつやるの?」の箇所に埋めていくのです。将来が楽しくなるかもしれません。
「定年まであと3年、リタイアしたその年から年に1回、妻と旅行に行きたい」「孫が大学に入る時に100万円援助したい」など、お金にまつわる内容とその時期をシートに反映していくと、セカンドライフの家計運営もうまくのではないでしょうか。
出典
(※)日本FP協会 便利ツールで家計をチェック
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士