更新日: 2024.12.05 働き方
時給アップで月収が「9万円」を超えてしまった! 扶養内で働いてたけど、もう戻れない? 1ヶ月だけなら大丈夫なの? 仕組みを解説
特に、配偶者控除や社会保険の扶養の基準を一時的に超えた場合、どうすればよいのか悩む人は多いです。社会保険の仕組みを正しく理解して、自分に合った働き方を考えるきっかけにしてください。
執筆者:西村りえ(にしむら りえ)
2級ファイナンシャルプランナー、AFP
扶養内で働く条件と仕組み
扶養内で働く場合、収入には2つの基準があります。1つ目は「配偶者控除」の基準で、もう1つは「社会保険扶養」の基準です。
配偶者控除は、所得税の控除対象となる条件で、年間の給与収入が103万円以下の人が対象です。一方、社会保険の扶養に入るのは、年間収入130万円未満が対象です。月収ベースでは約10万8000円以下が社会保険扶養の目安となります。
社会保険の扶養は、年間収入の見込み額が判断基準となります。そのため、一時的に収入が増えただけで扶養から外れるわけではありません。ただし、収入が継続的に増える場合や見込み額が扶養基準を超える場合には、扶養から外れる可能性が出てきます。
1ヶ月だけ収入が増えた場合、扶養は外れるのか
時給アップや残業の増加などで、1ヶ月だけ月収が増えてしまうことはあります。社会保険の扶養基準では、「年間収入の見込み」が扶養から外れるかどうかのポイントです。一時的に月収が基準を超えたとしても、年間を通じて基準内に収まる見込みであれば、扶養を維持できる可能性があります。
具体的には、月収が一時的に10万8000円を超えた場合でも、その後の月で収入が減り、年間見込み収入が130万円未満になる場合には扶養を外れる必要はありません。ただし、継続的に収入が増えると判断される場合には、社会保険への加入が求められる可能性があります。
社会保険に加入する場合のメリットとデメリット
社会保険に加入にすることになった場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。見ていきましょう。
●扶養基準を意識せずに働ける
扶養基準を気にせず自由に働けるため、収入アップやキャリア形成につながる。
●健康保険給付が手厚くなる
傷病手当金や出産手当金など、自分名義の健康保険で利用できる制度が充実する。
●社会保険料の自己負担が増える
厚生年金や健康保険の保険料を自己負担するため、手取り収入が減少する可能性がある。
●配偶者控除が適用外になる
年間収入が基準を超えると、配偶者控除が適用されなくなり、世帯全体での税負担が増えることがある。
これらのメリット・デメリットを理解したうえで、短期間だけ収入が増えた場合でも加入するかを判断しましょう。
扶養と収入の仕組みを理解して働き方を考えましょう
扶養内で働く場合、収入基準や社会保険制度の仕組みを正しく理解することが大切です。一時的な収入増加で扶養を外れるリスクを回避するには、年間収入の見込みが基準内に収まるよう管理することが重要です。
扶養から外れても、収入が基準内に戻れば再び扶養に入ることは可能です。ただし、その際には保険組合への手続きが必要です。扶養を出入りする際の手続きが頻繁になると、勤務先や保険組合に負担をかけることがあります。
時給アップやシフト増加など、収入が増えるタイミングでは不安になることもあるでしょう。社会保険制度の仕組みを理解して、家計やキャリアにとってベストな選択をしましょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま
執筆者:西村りえ
2級ファイナンシャルプランナー、AFP