パート先の時給は「950円」です。週20時間以上働いても月給が「8万8000円以下」なら、社会保険に加入しなくて大丈夫ですか?
配信日: 2024.12.07 更新日: 2024.12.09
本記事では、社会保険の加入要件や扶養内でなるべく稼ぐ方法、また社会保険上の扶養に関する基準など、社会保険の扶養内での働き方について解説します。
執筆者:梅井沙也香(うめい さやか)
FP2級
月8万8000円以下なら社会保険に加入しなくていい?
月の稼ぎが8万8000円以下なら社会保険に加入する必要はありません。
次の5項目を全て満たしている人については社会保険に加入する必要があります。
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●週の所定労働時間が20時間以上
●2ヶ月を超える雇用の見込みがある
●学生ではない
●従業員数が51人以上の企業で働いている
所定内賃金とは、労働契約で定めた所定労働時間内の労働に対して支払われる賃金です。賞与などの臨時的な賃金や通勤手当などの最低賃金に算入しないことが定められている賃金、残業代などの所定外賃金は含まれません。
社会保険に関しては「年収106万円の壁」と言われることがありますが、年収106万円は基準となる月8万8000円を年収に換算したものです。所定内賃金が月8万8000円未満、または所定労働時間が週20時間未満であれば社会保険への加入は必要ありません。
また、社会保険の加入要件は1つの勤務先に係る基準で、パート先を掛け持ちしている場合は勤務先ごとに要件が適用されます。
社会保険に加入せずになるべく稼ぎを増やしたい場合は、1つの勤務先で基準を満たさないように複数の勤務先を掛け持ちするのも手でしょう。
扶養内で働くために社会保険への加入を避けたい場合は、働き方を工夫して要件全てに該当しないようにしてください。
社会保険上の扶養にも注意
加入要件に該当せず社会保険への加入をしない場合でも、月の稼ぎが多い場合は社会保険の扶養から外れてしまう可能性があります。
社会保険の加入要件は1つの勤務先で月額8万8000円未満なので、年収106万円以上を稼ぎたい場合は掛け持ちなどで調整することが可能です。
しかし、社会保険上の扶養は掛け持ちしている勤務先も全て含めた収入の合計が基準で、合計年収が130万円を超えてしまうと扶養からは外れてしまいます。
社会保険に加入せず扶養から外れてしまった場合には、自分で国民健康保険や勤務先の社会保険へ加入する必要があるため注意してください。
勤務先で社会保険に加入せず扶養内で働きたい場合には、社会保険の加入要件だけでなく年収130万円を超えないように気をつけましょう。
まとめ
社会保険への加入は、「週20時間以上の労働」に加え「賃金が月8万8000円以上」で「2ヶ月を超える雇用の見込みがある」など要件を全て満たしている必要があるため、週20時間以上働いていても稼ぎが月8万8000円以下であれば社会保険に加入する必要はありません。
社会保険の加入要件は1つの勤務先に係る基準で、掛け持ちしている場合は勤務先ごとに要件が適用されるため、稼ぎを増やしたい場合は基準内で働ける勤務先を掛け持ちするのも手でしょう。
ただし、年収130万円を超えると社会保険上の扶養から外れて国民健康保険や勤務先の社会保険に加入する必要が出てきてしまうため注意してください。
社会保険に加入せずに扶養内で働く場合は、1つの勤務先で「月8万8000円未満」または「週20時間未満」とし、勤務先の合計年収が130万円未満となるように意識して働きましょう。
出典
政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。
厚生労働省 社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について
執筆者:梅井沙也香
FP2級