今までギリギリ抑えていたのに2024年10月からの最低賃金アップで扶養から外れてしまいそう。時給アップが決まった時点で「即・扶養外」なのでしょうか? それとも「新年度」などの切りのいい時期からですか?

配信日: 2024.12.23

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今までギリギリ抑えていたのに2024年10月からの最低賃金アップで扶養から外れてしまいそう。時給アップが決まった時点で「即・扶養外」なのでしょうか? それとも「新年度」などの切りのいい時期からですか?
2024年10月から最低賃金が改正され、今までの働き方では扶養から外れてしまいそうだ、どのように働けば良いのかと悩んでいる人は少なくありません。今回は、時給アップが決まったら、即座に扶養から外れてしまうのか? それとも区切りの良いタイミングで扶養から外れるのか? という質問について考えてみたいと思います。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

最低賃金は毎年10月頃に行われる

まず、時給で働いている人にとって気になるのは、どのようなタイミングで時給は上がるのかということでしょう。
 
もちろん、対企業との契約や本人の能力によって定期的に昇給することはあると思いますが、時給の最低賃金は、国によって定められており、毎年7~8月に最低時給の改定案が出され、10月から施行されるのが一般的です。
 
また、最低時給は都道府県別に違いがあります。今回の改正によって、50円以上の時給がアップされることになりました。
 

扶養から外れるタイミングはいつ?

さて、ここからはいよいよ本題です。最低賃金が上昇した場合、いつのタイミングで扶養から外れてしまうのか? ということです。
 
まず、単純に時給がアップしたからといって、その時点ですぐに扶養から外れるわけではないという点です。しかしながら、働き方によっては、外れなければならないケースも生じてしまうことがありますので注意が必要です。そのポイントとなるのが、「年収の壁」です。
 
まず、思い浮かぶのが103万円の壁とともに、106万円の壁と130万円の壁ですが、これらについても考えてみましょう。
 
103万円の壁とは、年収が103万円を超えると所得税が課されてしまいますので、税金を支払わなくてもすむ境界となる金額です。
 
103万円に壁の場合、103万円を超えなければ扶養控除の対象のままです。つまり、いくら最低賃金が上がったとしても、実際に受け取っている賃金が103万円を超えなければ扶養控除の対象から外れることはありません。言い換えれば、103万円を超えた時点で扶養控除の対象から外れます。
 
106万円の壁とは、従業員が51人以上の企業に週20時間以上働くパートやアルバイトが年収106万円を超えてしまった場合には、健康保険と厚生年金保険に加入する義務が発生するというものです。この場合、働く時間が決まっているため、賃金が上昇すると、この時点で扶養から外れます。
 

~参考:加入義務の要件~

• 週の労働時間が20時間以上である
• 月額賃金が8万8000円以上である
• 年間所得が106万円以上である
• 従業員数が51人の企業に勤務している
• 雇用期間が2ヶ月以上であると見込まれている
• 学生ではない

 
130万円の壁とは、年収が130万円を超えた場合には、健康保険と厚生年金の扶養から外れることになるため、自身で国民健康保険と国民年金に加入しなければならなくなります。そのため、保険料や税負担が増えてしまいます。
 
ただし、従業員数や勤務状況によっては、106万円の壁が適用される場合もあります。「事業主の証明による被扶養者認定」を受けられないか検討してみてください。
 

勤務先と働き方を相談してみるのも手

どうしても103万円、106万円を超えたくないという場合は、勤務先の担当者と相談してみてはいかがでしょうか。
 
103万円の壁の場合、自ら調整がしやすい勤務先も多いことが考えられますので、自分自身で勤務時間と、現在、受け取っている賃金を管理して働き方を調整することも可能な企業も少なくありません。どのように働きたいのかを、勤務先の担当者に伝えてみるとよいでしょう。
 
106万円の壁の場合、雇用形態を変えてもらう、働き方を変えることで扶養から外れなくてもすみます。
 
いずれの場合も、一定の金額以内に納めればメリットがあるように思われがちですが、長い目で見れば扶養から外れて社会保険に加入することで得られるメリットも生じてきます。
 
扶養から外れるタイミングは働き方や雇用形態によって違いは出てきますが、いくら収入がほしいのか、扶養でいる場合、夫の勤務先から得られるメリットはどのようなものがあるのか等を総合的に考えて、働くことが大切です。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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