〈大人のための夏休みホームワーク〉②お金の整理をすると節約にもつながります。
配信日: 2017.08.12 更新日: 2024.10.10
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
資産を整理する目的は相続対策だけではない
エンディングノートにおける「資産の整理」は、相続財産を明確にする上でとても重要です。不動産・現預金以外にも宝石や骨とう品などもあるでしょう。誰に遺したいかも決まっているなら記載します。公的には遺言書の役目は果たしませんが、相続財産を託す思いも書いておけば、遺された相手に気持ちを伝えることが出来ます。資産には負の資産もありますので、借入金があれば忘れず記入が必要です。「資産<負債」なら、遺族は相続を放棄することも検討する必要があるからです。
今回のホームワーク②は若年層の方にもおすすめです。実際に自分はどれほどの資産を持っているのかがわかれば、①で考えたやりたいことを実現するために、あといくら必要なのかが分かります。3年後にペットを飼いたいとします。ペットフードや予防接種などの医療費の他に、ペットと暮らせるマンションへの引っ越し費用も必要となると、捻出を計算しなくてはなりません。この方法は3回目の〈収支状況の洗い出しと夢をかたちにする方法〉で詳しくお伝えします。
〈現状の資産把握〉今の資産価値を調べてみる
自分の資産を書き出します。
①預貯金(銀行・証券会社など)
②保険(死亡保険・医療保険・損害保険)
③年金(公的年金・個人年金)
④不動産
⑤その他
借入れについても同様に表にします。
①住宅ローン
②自動車ローン
③教育ローン
④クレジットカード
⑤その他
全て、現在の価値を調べて記入します。
〈資産〉
①作成日時点の残高で記入しますが、投資信託や株価も「今いくらか」を調べます。
②解約返戻金のある場合は、「今解約したらいくらになるか」も問い合わせてみます。
医療保険は、保障内容を詳細に記入します。死亡保険を契約して、入院保障を特約として加入したことを忘れている場合も多いです。主契約以外の特約部分も記入してください。
複数の保険に加入して「掛け過ぎ」の場合は、保険の見直しをすることで節約になります。保険は契約が長期間になります。加入した時点でベストなものを選んでも、今の状況に合っていない場合も多いです。書き出すことで、保険の見直しに繋がります。無駄な保険料を解約し、今必要な保険に入り直したり、貯蓄に回すといったお金の整理が出来ます。
保険で特に気を付けたいのは、保険料の支払いが「一時払い」や「支払い期間が終了している」場合です。保険証券を紛失してしまって、加入していることを忘れてしまうことがあります。もしもの場合、残された家族が生命保険の存在を知らなくて、受取れないことも多いのです。終身払いなら銀行引落の履歴が残りますので、加入していることを知る手がかりになりますが、支払が終了していたら分からないままです。存在を伝えるためにもノートは必要です。
③毎年お誕生日近くに「年金定期便」が届きます。これは必ず開封して、内容を確認してください。65才からいくら受給出来るのかを知ることが出来ます。生命保険会社等で加入する個人年金保険は、この公的年金を補う形で加入するものです。「何歳から何歳までいくら貰えるか」と併せて、現在保険料を支払っている場合は「何歳までいくら払うのか」も記入します。
④最近は不動産の査定が出来るインターネットのサイトがあります。価格を知っておくことで、将来の選択肢が増える場合もあります。一般的に不動産は相続の大きな部分を占めます。将来、不動産を誰に相続させるのかを考える上で重要です。
⑤宝石や骨とう品など資産価値のあるもの以外でも、大事にしているものも記入します。そのものに対する思いも書いておきます。
実家の片づけをして母娘でケンカをすることがあります。娘にとってはガラクタでも、母は捨てられない場合です。大切にしている理由が分かれば、残された者も思い出の品として扱うと思います。
〈借入れ〉①
①〜③について、資産と同様に記入します。現時点の残高・返済期間・毎月の返済額を記入します。
④上記と同様に記入します。借入れのない場合でも、カード名・カード番号・紛失時連絡先を書いておくと盗難や紛失の場合に役立ちます。
書類は全部取っておくのではなく、不要なものを処分することも大切
生命保険に加入していると毎年「ご契約内容のお知らせ」が、証券会社等と取引していると定期的に運用報告書や残高報告書が届きます。これらは、最新のものだけを冒頭のファイルに保管します。溜まってくると煩雑になり、一番大切な通帳や証券が紛れてしまいます。保険の見直しの相談に来られたお客様が「書類を全部持ってきました」と言って、キャリーバッグに詰めて一式を持参されたことがあります。書類が増えてくると要不要が分からなくなって、とりあえず全部とっておいた末路です。
一方、最近はペーパーレス化が進みました。パソコンで口座の管理をしている場合は、口座一覧の横にパスワードもメモしておきましょう。この場合はノートの管理は厳重にして下さい。