わが家のお風呂は「追い焚き」を活用。最近「足し湯」のほうがガス代が安いと聞いたのですが、実際どちらがお得ですか? それぞれのコストを検証
配信日: 2025.01.12
そんなとき、冷めたお湯を温め直す方法として「追い炊き」や「足し湯」が一般的ですが、それぞれどのくらいのコストがかかるのか、気になる人もいるのではないでしょうか。
さらに、2日間同じお湯を使う場合も考えると、どの方法で温め直すのが経済的かは特に知っておきたいポイントです。
本記事では、追い炊きと足し湯の特徴やコストを比較し、それぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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追い炊き・足し湯のコスト比較
では、さっそく結論です。30℃にまで冷めたお湯を温め直す場合、追い炊きと足し湯では追い炊きのほうがガス代は安いです。
具体的にみていきましょう。
追い炊きの場合のガス代
水1キログラムの温度を1℃上げるために必要なエネルギー量は、比熱容量という値で表されます。20~30℃のお湯の比熱容量は、4.18キロジュールパー キログラム セルシウス(以下、キロジュール)です。ここで、浴槽に200リットル(=200キログラム)の水が入っていると仮定し、30℃から40℃に温め直す場合を考えてみましょう。この場合、温度差は10℃なので、必要なエネルギー量を計算すると
4.18 キロジュール×200 キログラム×10 ℃=8360キロジュール
つまり、30℃のお湯を40℃に温めるためには8360キロジュールのエネルギーが必要です。なお、この試算では、熱損失などのロス分は考慮していません。
次に、このエネルギーをガス代に換算します。一般的なガスの熱量単価(1立方メートルあたりのエネルギー量)は約4万5000キロジュールで、1立方メートルあたりのガス代は約178円とした場合、ガス代は
8360キロジュール÷4万5000キロジュール=0.186
178円×0.186=33円
つまり、追い炊きで200リットルのお湯を10℃温め直す場合、約33円のガス代がかかると試算できます。
足し湯の場合
足し湯の条件として、もともと100リットル入っている浴槽に新たに100リットル追加し、200リットルのお湯を40度まで温める場合として試算します。
そのほかの条件は以下の通りです。
●元のお湯の温度 30℃
●足し湯の温度 60℃
●室温 20℃(足し湯の温度を上げる際の基準と仮定)
※ガス代などの基準は、追い炊きと同じとして計算します。
・足し湯のエネルギー量
4.18キロジュール×100キログラム×(60-20)=1万6720キロジュール
・ガス代
1万6720キロジュール÷4万5000キロジュール=0.372
178円×0.372=66円
足し湯にかかるガス代は、約66円と試算できました。加えて、足し湯の場合は、水道代もかかることには注意が必要です。
追い炊きのメリット・デメリット
ガス代が安い追い炊き。ここでは、追い炊きのメリットとデメリットをみていきましょう。
追い焚きのメリット
お湯を再利用しながら適温に温め直すことができます。新たにお湯を足す必要がないため、水道代の節約にもなります。
追い焚きのデメリット
追い焚き機能付きの給湯器は初期コストが高く、メンテナンスも必要な点がデメリットです。特に配管内には皮脂汚れや入浴剤の成分がたまりやすく、定期的な掃除が推奨されます。また、一晩残り湯を放置すると細菌が増殖し、衛生面での問題が生じる恐れがあります。さらに、使用できない入浴剤もあるため、購入の際は気を付ける必要があります。
追い炊きのデメリットである「衛生面」や「配管汚れ」については健康被害の恐れがあります。その点を十分に理解した上で、利用することをおすすめします。
足し湯のメリット・デメリット
ガス代は高いものの、足し湯にもメリットがあります。足し湯のメリットとデメリットについても確認していきましょう。
足し湯のメリット
浴槽内に新しいお湯を追加するため、追い焚きと比べて衛生的です。また、初期コストがかからずシンプルに使用でき、さらに、少量の水温調整であれば効果的で、手軽に使えるのが利点です。
足し湯のデメリット
足し湯を繰り返すと浴槽内の水量が増えすぎてしまい、結果としてお湯の温度が下がりやすくなります。特に、冷めきったお湯を温め直す場合には、ある程度のお湯を捨ててから新しいお湯を追加する必要があり、水道代がかさむ可能性があります。また、適切な量と温度の調整が難しく、熱湯を足しても熱すぎる・ぬるすぎるなど満足のいく温度にならないこともあります。
まとめ
30℃程度に冷めたお湯を温め直す場合、追い炊きのほうがガス代は安くなることが分かりました。とはいえ、追い炊きのデメリットについては見過ごすわけにもいきません。コスト比較はもちろん、それぞれのメリットとデメリットもしっかり理解した上で最適な選択ができたらいいですね。
出典
TOKYO GAS ガス料金の算定方法について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー