分からない! 「高校無償化」と「178万へ壁引き上げ」。結局、どちらのほうが手取りは増えるのでしょうか?
配信日: 2025.02.06

特に最近よく聞くのが、「国民の手取りを増やす」「年収の壁の引き上げ」「高校無償化」といったものでしょう。国民に恩恵のあるものではありますが、さまざまな情報が流れており、理解が難しい部分があると思われます。
そこで本記事では、「高校無償化」と「年収の壁を178万円へ引き上げ」、この2点について整理して紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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最低限理解すべき「高校無償化」と「178万円へ壁引き上げ」
高校無償化と年収の壁の引き上げについて、それぞれの内容を見ていきましょう。
高校無償化
高校無償化は高等学校等就学支援金制度が正式名称で、一定要件を満たす家庭の高校生などに授業料が給付される制度です。支給額は公立高校の場合は年間11万8800円、私立高校の場合は年間39万6000円(私立高校等は加算される)を上限として支給されます。
ただし、これは所得制限があり、世帯年収が年間590万円未満の場合は前述の支給上限額まで支給されますが、年収590万以上910万円未満の場合、年間11万8800円は支給されるものの私立高校等の加算はありません。さらに、世帯年収が910万円を超えると支給されなくなります。
178万へ壁の引き上げ
178万への壁の引き上げは、年収の壁における所得税の壁を引き上げることにより、国民の手取り額を増やすというものです。現行では年収103万を超えると所得税の負担が発生しますが、これを178万円まで引き上げるという方策になります。
ただし、この178万という数値は確定されたものではなく、まだ議論されているので、今後、数値は変わることが考えられます。また、社会保険の130万の壁もありますから、年収の壁全体の動向が注目されます。
仮に、年収600万円世帯で夫婦の一方は配偶者の扶養に入っており、中学生と高校生の子ども2人が生活する家庭があったとします。現在叫ばれている高校無償化と年収の壁の引き上げが実現し、中学生の子どもが私立高校へ進学する場合、この家庭は高校無償化と壁の引き上げによる2つの恩恵を受けることができます。
結局、どっちが手取りは増える?
結局、高校無償化と年収の壁の引き上げでは、手取りが増えるのはどちらなのでしょうか。手取りが増えるには、178万円へ壁を引き上げることになります。
前述のように高校無償化は授業料が支給されるため、実質的に授業料の負担がなくなります。これは、「支出」が減少するものであり、直接的な収入増加ではありません。一方、年収の壁を178万円に引き上げることは、より多くの収入を得られるようになるため、「直接手取り」が増えることになります。
まとめ
さまざまな制度の見直しが叫ばれているなかで、高校無償化と年収の壁の引き上げについて紹介しました。「手取りを増やす」、「免除を受けられる」などいろいろなことが耳に入ってきて、混乱してしまうのは仕方ない部分があるでしょう。
実際、各制度について情報量が多く、制度を混同したり、理解が難しかったりすることも多いですが、可能な範囲で適切に理解して最大限有効活用しましょう。
出典
文部科学省 高校生などへの修学支援
文部科学省 高校生の学びを支えます 高等学校等就学支援金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー