「同一労働同一賃金」ってどんな制度? 正社員の給料や賞与に影響はある?

配信日: 2025.02.12

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「同一労働同一賃金」ってどんな制度? 正社員の給料や賞与に影響はある?
2021年4月より、すべての企業で同一労働同一賃金が始まりました。2025年4月で4年が経ちますが「どのような制度なのか、まだよく分からない」という人もいるでしょう。
 
同一労働同一賃金は、簡単に言うと「正規」と「非正規」の間の不合理な待遇差をなくすための制度だとされています。そこで今回は、同一労働同一賃金とは何か、また正社員の給料が下がる可能性はあるのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、企業内における正規雇用労働者(正社員など)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者やパートなど)の「不合理な待遇差」をなくすための制度です。
 
個々が望む雇用形態で、納得のいく待遇を得られるようになり、多様な働き方が可能になることを目指しています。具体的なポイントはおもに次の2点です。
 

4つの待遇差の解消

企業は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差をなくすために、次の4つについて対応が求められます。


・基本給:能力や経験・業績・勤続年数などに違いがなければ同一、違いがある場合はその差に応じた支給をしなければならない。

・賞与:同一の貢献をした場合は同一、違いがある場合はその差に応じて支給しなければならない。

・各種手当:通勤手当や出張手当などは同一の支給を行わなければならない。役職手当は、同一の役職には同一の、違いがあればそれに応じた手当を支給しなければならない。

・福利厚生・教育訓練:病気による休職や有給休暇などは、同一条件であれば同一の付与を行わなければならない。職務を遂行するうえで必要な教育訓練は、同一の職務内容の場合は同一の、違いがある場合はそれに応じた訓練を実施しなければならない。

自社が同一労働同一賃金を守っているかを確認する際は、上記の4点を意識するとよいでしょう。
 

待遇に関する説明義務

企業側は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」の第14条第2項に基づき、短時間・有期雇用労働者に対し待遇差に関する説明責任があります。
 
短時間・有期雇用労働者は、待遇差に関しての内容や理由、待遇決定にあたる考慮事項などを企業側に質問することが可能です。この際、企業は、その労働者を解雇・減給など不利益な扱いをすることは禁止されています。
 
また、新規で雇用した際も、企業は賃金や教育訓練・福利厚生などについて、説明しなければなりません。待遇差の解消や説明義務に関して法律上罰則があるわけではないようですが、行政による指導が入る可能性があるとされています。
 

正社員の給料が下がる可能性はある?

正社員と非正規雇用労働者との収入の格差をなくすためには、非正規雇用労働者の給与を増やすか、正社員の給与を減らす方法が考えられます。
 
本来は、非正規雇用労働者の給与を増やすことが一般的だとされているようですが、その結果企業の支出が増加し、経営に影響が出てしまうおそれもあります。そのような場合、正社員の基本給や賞与がカットされる可能性もあるでしょう。
 
ただし、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」には、次のことが書かれています。


・不合理な待遇差をなくすために、就業規則を変更し労働者の労働条件を不利益に変更する場合は、労働者との合意が必要
・合意せずに不利益に変更する場合は、合理的でなければならない

また、合意なしに変更することは、望ましい対応ではないとも書かれています。これらのことから、正社員の給料が下がる可能性はゼロではないものの、いきなり下がってしまうことは、少ないと考えられるでしょう。
 

同一労働同一賃金は正規・非正規間の待遇差をなくすための制度|正社員の給料を下げる場合は、社員の合意が必要となる

同一労働同一賃金は、多様な働き方を可能にするために、企業内の正規雇用労働者と非正規雇用労働者間の不合理な待遇差を改善するための制度とされています。基本給や賞与、手当などに関する待遇差を解消することが1つの目的となっており、場合によっては正社員の給料が下がるなど、不利益となることも考えられます。
 
ただし、厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは、不利益になるような変更をする場合は労働者の合意を得ることを求めているようです。もしも気になる点があれば、各都道府県の労働局にある雇用環境・均等部(室)などに相談してみるのもよいでしょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)
厚生労働省 同一労働同一賃金ガイドライン
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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