扶養内のはずの妻が「151万円」稼いでいたことが発覚!「扶養から外れるし、会社に迷惑がかかる」とのことですが、黙っていると“ペナルティ”の可能性もあるのでしょうか?

配信日: 2025.02.14

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扶養内のはずの妻が「151万円」稼いでいたことが発覚!「扶養から外れるし、会社に迷惑がかかる」とのことですが、黙っていると“ペナルティ”の可能性もあるのでしょうか?
扶養の範囲内で働いていたと思っていた妻の年収が「実は150万円を超えていた」と聞くと、驚きや戸惑いを感じる人も多いでしょう。扶養であった配偶者の年収が、「103万円」「130万円」「150万円」それぞれの年収の壁を一気に超えてしまうと、社会保険料や税金の負担額が変わり、家計への影響も決して小さくありません。
 
そのため、妻が「このまま黙っておこう」といった提案をしてくると心が揺れるかもしれませんが、それは避けるべき行為です。
 
本記事では、年収600万円の夫と、扶養内パート勤務(会社の規模が小さく、社会保険加入義務を満たしていない会社に勤務)のつもりが実は年収151万円だった妻のケースを例に、影響と正しい対処法を解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年収150万円を超えたらどうなる?

扶養内で働いていた妻の年収が150万円を超えると、健康保険や国民年金などの社会保険、そして夫婦の税負担に大きな影響が出ます。まず、年収が130万円を超えると、夫の社会保険の被扶養者から外れ、自身で保険に加入しなければなりません。
 
年収150万円の場合、国民健康保険の保険料として年間約6万5000円(岡山県岡山市の場合で自治体によって異なる)と国民年金の保険料として年間約20万円の負担が発生します。
 
さらに、配偶者特別控除の縮小による影響も考えなければいけません。年収が150万円を超えてしまうと、配偶者特別控除が減額となるため、夫の配偶者特別控除が減り、税負担が大きくなります。
 
年末調整の修正、間に合わない場合は3月15日までに確定申告をしなければ、過少申告となってしまうのです。なお、2025年からは給与所得控除の最低金額が10万円引き上げられたのに伴い、この基準も160万円となっています。
 
また、妻の年収が100万円を超えると住民税が、103万円を超えると所得税がそれぞれ課税されます。ただし、これに関してはパート先が正しく源泉徴収や年末調整を行っているはずなので、追加の対応は不要です。
 

150万円の年収を超えたことを黙っていると妻はどうなる?

では実際に、年収が150万円を超えているにもかかわらず、適切な手続きをしないとどうなるのでしょうか? 具体的には2つの影響が考えられます。
 
なお、130万円を超えたからといって必ずしも、社会保険上の扶養から抜けるわけではありません。一時的と認められ扶養に残り続けられる場合もあるので、夫が加入する保険組合に問い合わせ、判断を仰ぎましょう。
 

将来の年金が少なくなる可能性がある

年収が130万円以下であれば、妻は国民年金の3号被保険者となるため、国民年金の保険料負担はありません。しかし、年収が150万円超となり、夫の社会保険上の扶養から外れると、3号被保険者の資格を消失します。
 
資格がないにもかかわらず、3号被保険者となっている期間を3号不整合期間と呼び、未納期間として扱われます。1号被保険者としてこの期間の保険料を納めなければなりませんが、2年を経過した期間の保険料は時効により納められません。
 
結果として、将来の年金額が減る可能性があるため、適切な手続きが必要です。
 

さかのぼって医療費全額が自己負担になる可能性がある

健康保険法58条では、扶養要件がないにもかかわらず被扶養者認定を受けていた場合の罰則を定めています。具体的には、扶養資格がなくなった時点までさかのぼって資格が取り消され、これまで受けていた給付金の返還を求められるかもしれません。
 
病院を受診したときに窓口負担が3割で済むのは、7割が保険給付によって賄われているからです。つまり、この7割分の返金を求められる可能性があります。
 

夫にも影響が出るため対応が必要

妻の年収が150万円(2025年分からは160万円)を超えると、夫の税金にも影響が出るため、適切な処理が必要です。具体的には、年末調整や確定申告で妻の実際の年収を記載し、正しい税金を納める必要があります。
 
税務署から指摘され、延滞税や過少申告加算税の支払いを求められる結果とならないためにも、正しい申告を行いましょう。
 
また、会社から扶養手当や家族手当をもらっている場合にも注意が必要です。例えば、「配偶者手当の条件は年収103万円以内」といった条件がある中で手当を受け続けると、社内規則違反として返還を求められたり、懲戒処分を受けたりする場合があります。
 

「黙っておけばいい」は危険! 正しい手続きを

各種控除や扶養制度における恩恵は、「年収が少ないからこそ」受けられるものです。
 
基準の年収を超えた場合は、夫婦それぞれ正しい手続きが求められます。妻は夫の扶養を抜けて社会保険に加入し、夫は妻の年収に応じた控除を申告し、正しく税金を納める必要があるのです。
 
「バレないかも」「いつかやればいい」「家計の負担を増やしたくない」と考えて放置してしまうと、影響はどんどん大きくなってしまいます。気がついたタイミングで、そして少しでも早く適切な手続きを行いましょう。
 

出典

厚生労働省 年収の壁について知ろう
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
e-Gov法令検索 健康保険法
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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