2025年から、年収の壁が「123万円」に!? 年収103万円でパート中だけど、「世帯年収」はどのくらい増える?“106万円の壁”もあるなら変わらない?「配偶者の税負担」についても解説
配信日: 2025.02.24 更新日: 2025.02.25

本記事では年収103万円の壁が引き上げられるとどうなるか、世帯収入にどのような変化があるかを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収の壁が「103万円」から「123万円」に変わると起こること
2025年から、「年収103万円の壁」は「年収123万円の壁」になります。
そもそも年収103万円の壁とは、給与収入が年103万円を超えると所得税負担が生じる年収水準のことを指します。
所得税負担が発生するのを避けるため、基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計103万円以下に年収が収まるよう意図的に働く量をコントロールする人が存在し、その点が「壁」と呼ばれる理由です。
この年収103万円について、2025年以降は基礎控除と給与所得控除に10万円ずつ加算されて、58万円+65万円で「123万円」になります。つまり、給与所得控除は年収が低い層に適用される「最低保障額」が55万円から65万円になる見込みです。
例えば、パート・アルバイトとして働いている主婦の人は、年収123万円になるまで働いても所得税の負担は増えません。壁となる年収ギリギリまで働きたいと考えている人は、2024年までより年間20万円分は多く働けるようになります。
また、所得税が発生する年収基準が引き上げられるのは、正社員の手取りアップにも効果があります。
第一生命経済研究所によると、与党の複数の案のなかで、「基礎控除を10万円」「給与所得控除は最低額のみ10万円引き上げ」というケースでは、年収400万円で年間5000円、年収600万円で年間1万円、年収800万円で年間2万円の減税(=手取り増)になる見込みです。
年収123万円の壁ギリギリまで働いても配偶者の税負担は増えない
これまで年収103万円以下で働いてきた被扶養者の中には、「年収103万円を超えると配偶者控除の適用を受けられなくなるため」という人も多いでしょう。その場合、「新たな基準となった後も、年収123万円ギリギリまで働くと扶養者の年収減にならないか?」と心配する人もいるかもしれません。
しかし、年収150万円までは「配偶者特別控除」が同額で適用されるため、年収123万円まで働いたとしても配偶者の税負担が増えることはありません。
年収106万円を超えると社会保険料の負担が発生する
年収103万円の壁が123万円まで引き上げられることで、人々の「働き控える」という意識が軽減されることが期待できます。
ただ、税金だけでなく、社会保険料に関する「年収106万円」の壁という存在もあります。
年収が106万円になって以下の条件を満たす場合、パートで働く主婦であっても社会保険に加入して厚生年金や健康保険の保険料を負担する必要が生じます。
●被保険者の総数が常時51人以上
●賃金の月額が8万8000円以上
●週の所定労働時間が20時間以上
●継続して2ヶ月を超えて使用される見込み
●学生ではない
なお、年収106万円の壁は2026年10月に撤廃される予定ですが、社会保険に加入する条件として「週20時間以上の勤務」という条件は残ります。税金に関する年収の壁が123万円までに上がっても、社会保険料の負担を抑えるために結局は働き控えが起こる可能性もあるでしょう。
週20時間以内の働きで年収123万円まで働くことを目指し、時給の高い求人に人気が集中する可能性もあります。
まとめ
年収103万円の壁が123万円の壁に引き上げられることで、年間で数千円~1万円程度の減税(=手取り増)になることが期待されています。ただ、社会保険料に関する年収106万円の壁は2026年まで継続され、2026年に廃止後も「週20時間以上」の労働など条件を満たすと社会保険に加入することになります。
年収の壁は本来「178万円」まで引き上げることが議論されていた経緯もあり、今後も政策が変更される可能性はあります。自身の働き方や世帯年収について気になる人は、税制に関して最新のニュースを随時チェックしましょう。
出典
厚生労働省 年収の壁について知ろう
第一生命経済研究所 「年収の壁 103 万円→123 万円」へのコメント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー