「お米」が高くて困っています!「政府備蓄米」の放出も検討されているようですが、「お米の価格」はいくらくらい安くなりそうですか?
配信日: 2025.03.01 更新日: 2025.03.03


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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コメの年産平均価格は「1.5倍超」に高騰
農林水産省のデータによれば、お米の年産平均価格が例年の1.5倍超まで高騰しています。全国農業協同組合連合会などが卸売業者と売買する際の「相対取引価格」は、令和6年12月までの年産平均価格で2万3715円/60キログラムでした。これは、比較可能な平成2年以降で過去最高の価格です。
コメの価格が「高止まり」している理由
お米の価格が高止まりしている理由は、主に2つあります。1つは、農協が農家に前払いする「概算金」が増えたことです。もう1つは、集荷業者間でのお米の確保に向けた競争が激しくなっていることが挙げられます。すなわち、米の生産量そのものは減産しておらず、販売量が減少していると考えられます。
昨年お米がいたるところで品薄になりましたが、農林水産省は備蓄米の放出に慎重な姿勢を示していました。見通しとして、新米が出回ることで一定の価格水準に落ち着くという見解を示していました。
政府は「備蓄米放出」の方針を正式に発表
ちなみに、お米の生産量が大幅に減った場合に備えて、国で米の備蓄を行うことが食糧法で定められています。備蓄量は、10年に1度の深刻な不作や、2年連続の不作にも対応できるよう、100万トン程度を適正な水準としています。
しかし、お米の価格高騰が家計を圧迫し続けていることから、政策を転換して備蓄米の放出に踏み切ることになりました。そして、今年2月に政府の備蓄米21万トンを市場に放出する方針を農林水産大臣が正式に発表しました。
本来はお米の減産を理由とする備蓄米の放出を、価格の高騰を受けて放出することは、異例なことだといえます。将来的に流通した量の米を国が買い戻すことを条件として、今後、集荷業者に売り出す予定です。
備蓄米の放出でお米はどのくらい安くなる?
これまで、農林水産省が備蓄米の放出に慎重だったことから一転して、放出の可能性を示唆したことにより、価格高騰がある程度落ち着くことが期待されます。例えば、農林水産省の「相対取引価格の推移(平成24年産~令和6年産)」によると、ここ5年間のお米の相対取引価格は表1のように推移しているようです。
表1
生産年度 | 相対取引価格の推移 (年産平均価格/玄米60キログラムあたり) |
---|---|
令和元年産 | 1万5716円 |
令和2年産 | 1万4529円 |
令和3年産 | 1万2804円 |
令和4年産 | 1万3844円 |
令和5年産 | 1万5315円 |
平均 | 約1万4442円 |
出典:農林水産省「相対取引価格の推移(平成24年産~令和6年産)」を基に筆者作成
一方、令和6年産米の相対取引価格は「2万3715円」ですので、例年より6割以上高い取引価格となっています。相対取引価格は小売価格の変動にも影響を及ぼすため、備蓄米の放出によって相対取引価格が下がれば、小売価格も例年並みに下がる可能性もあるでしょう。
では「政府備蓄米の放出」により、お米は実際にどのくらい安くなるのでしょうか。残念ながら、お米の生産に関わる人件費や肥料などのコストが上がっているため、価格がすぐに大きく下がることはないと推測されています。しかし、備蓄米や令和6年産の新米の流通によって、少しずつ値段は落ち着くことが予想されます。
まとめ
日本人の生活になくてはならないお米。しばらくは、高値に耐えなくてはいけない日々が続きそうです。食事のたびに食べていたお米を、1食は麺類やパン類に変更するなど、お米の登場頻度を調整するのもよいかもしれません。
出典
農林水産省 相対取引価格の推移(平成24年産~令和6年産)
農林水産省 大臣等記者会見 江藤農林水産大臣記者会見概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー