「3月〜5月は残業しない方がよい」って聞いたけど、どういうことですか?なにか”損”をするのでしょうか…?

配信日: 2025.03.01 更新日: 2025.03.04

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「3月〜5月は残業しない方がよい」って聞いたけど、どういうことですか?なにか”損”をするのでしょうか…?
「3月~5月は残業を控えた方がいい」と聞いて、疑問に思う方もいるでしょう。
 
この時期の給与は、社会保険料に関係します。そのため、残業しすぎると将来的に損する可能性があります。しかし、必ずしも損するわけではなく、得するケースもあるようです。
 
本記事では、3月~5月に残業をしない方がよい理由や損をしないケースなどを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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3月~5月に残業しない方がよい理由は?

3月~5月に残業しない方がよいといわれる理由は、社会保険料が高くなる可能性があるからです。健康保険や厚生年金保険といった社会保険料は、毎年4月~6月の給与を基に標準報酬月額が算出され、その年の9月から翌年8月までの1年間の保険料に影響を及ぼします。
 
そのため、3月~5月にたくさん残業するとその分4月~6月の給与が多くなり、標準報酬月額も上がり社会保険料が高くなるのです。
 
例えば、全国健康保険協会に加入している東京都在住で30歳の方が、4月~6月の給与の平均が20万円だとします。その場合、健康保険料は月額9980円、厚生年金保険料は月額1万8300円です。
 
一方で、平均が25万円にアップすると、健康保険料は月額1万2974円、厚生年金保険料は2万3790円にアップします。5万円給与が増えると、社会保険料が8484円高くなる場合があるのです。
 
このように4月~6月の給与が増えると社会保険料が高くなるため、3月~5月は残業しない方がよいといわれています。
 

3月~5月の残業のしすぎは損するだけではない

3月~5月に残業をしすぎると社会保険料が高くなる点は損になりますが、社会保険の給付を受ける可能性がある方にとっては、必ずしも損になるとは限りません。給付をもらう際は、原則として標準報酬月額が高い方が給付が多くなるからです。
 
例えば、全国健康保険協会によると、出産のため産前産後に会社を休み給料の支払いがない場合、申請すると出産手当金がもらえます。出産手当金の1日あたりの支給額は、「支給開始日より前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」で求められ、標準報酬月額が高いほど支給額も多くなるようです。
 
また、傷病手当金も出産手当金と同様、「支給開始日より前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」が1日あたりの支給額となります。傷病手当金は、病気やけがで4日以上仕事を休んでおり、かつ会社から給料がもらえていない場合に受け取れます。
 
このように、やむをえない事情で働けず給料ももらえない状態のときは、社会保険の給付を受けられるのです。働けず収入がなくなってしまうと生活が厳しくなるため、少しでも多く給付金をもらいたい場合は、標準報酬月額が高くなるように働いた方がよいでしょう。
 

3月~5月にたくさん残業をしなければいけないときの救済措置

社会保険の給付を受け取る予定がないから社会保険料の負担を少なくするために4月~6月の給与をおさえたいものの、繁忙期で残業をしなければいけないという方もいるでしょう。日本年金機構によれば、4月~6月の給与の平均で標準報酬月額を算出することが著しく不当である場合には、年間報酬の平均で標準報酬月額を算定できます。
 
年間報酬の平均で算定が認められるのは、以下の要件を満たしている場合のみです。

●通常の方法で算出した標準報酬月額(4月~6月の給与の平均)と年間平均で算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差がある
●上記2等級以上の差が、業務の性質上例年発生すると見込まれる
●被保険者が同意している

年間報酬の平均で算定したい場合は、厚生年金基金または健康保険組合に書類を提出しなければいけません。これは個人ではなく、事業所が出すのが基本です。
 

3月~5月に残業した場合、社会保険料が高くなる可能性がある

3月~5月に残業を控えた方がよい理由は、社会保険料の決定時期と関係しています。この期間に残業をして4月~6月の給与が増えると、年間の社会保険料が高くなるため、注意が必要です。しかし、出産手当金や傷病手当金などの給付を考慮すると、必ずしも残業しない方が得とは言い切れません。
 
また、業務の性質上どうしても3月~5月の残業を避けられない場合には、年間報酬の平均で算定する救済措置を活用できるかもしれません。自分の状況に合わせて、適切な働き方を選びましょう。
 

出典

全国健康保険協会
日本年金機構 4-2:定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行う際、年間報酬の平均で算定するとき
日本年金機構 【保険者算定(年間平均)の手続きについて】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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