貯金額が「1000万円」を超える人はどのくらいいる? 平均年収を紹介
配信日: 2025.03.05

近年、若いうちからの資産形成の重要性が高まっています。今回は、30代の収入と貯蓄の実態をデータを基に解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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貯金額とその割合
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」の調査結果から、金融資産保有世帯の数字を基にまとめたのが表1です。なお、無回答の割合があるため、100%にはならない点はご留意ください。
表1
貯金額 | 割合 |
---|---|
300万円未満 | 41.9% |
300万~700万円未満 | 23.5% |
700万~1000万円未満 | 6.6% |
1000万円以上 | 22.3% |
金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和5年)『金融資産保有額(金融資産保有世帯)』」より筆者作成
40%ほどの人が、貯金は300万円未満と回答しており、700万円未満までの範囲で65%と過半数を大きく超えています。
年収別に見る金融資産保有の特徴
続いて、年齢別では区切られていませんが、表2で年収別の金融商品保有状況を見てみましょう。預貯金はどの年収層でも95%以上と高い保有率を示しています。一方で、株式や投資信託の保有率は年収によって大きく異なり、年収750万円以上では株式保有率が41.1%、投資信託が35.2%と、より積極的な投資姿勢が見られます。
続く表3の金融資産保有額を見ると、年収による格差が顕著です。年収750万円以上の層では平均金融資産保有額が2066万円で、約6割が1000万円以上の金融資産を持っています。一方で300万円未満の層では、平均金融資産保有額が1063万円、1000万円以上の保有者は34.6%となっています。
このように、年収が高くなるにつれて金融資産保有額も増加する傾向にあり、年収750万円を超えると、1000万円以上の金融資産を持つ割合が大きく上昇することが分かります。
表2
年収 | 預貯金 | 株式 | 投資信託 |
---|---|---|---|
300万円未満 | 95.3% | 21.8% | 19.6% |
300万~500万円 | 96.4% | 31.3% | 28.7% |
500万~750万円 | 97.4% | 34.8% | 30.9% |
750万~1000万円 | 97.0% | 41.1% | 35.2% |
金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和5年)『預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品』より筆者作成
表3
年収 | 平均金融資産保有額 | 1000万円以上の割合 |
---|---|---|
300万円未満 | 1063万円 | 34.6% |
300万~500万円 | 1428万円 | 44.2% |
500万~750万円 | 1617万円 | 48.7% |
750万~1000万円 | 2066万円 | 60.2% |
金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和5年)『金融資産保有額(金融資産保有世帯)』より筆者作成
30代における資産形成の実態と特徴
30代の金融資産保有の特徴を詳しく見ていきましょう。先に挙げた金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融商品の保有状況を示しています。表4から、若年層の資産形成における重要なトレンドが見えてきます。
表4
金融商品 | 保有率 | 備考 |
---|---|---|
預貯金 | 95.3% | 平均157万円 |
株式 | 27.6% | – |
投資信託 | 29.5% | – |
個人年金保険 | 19.9% | – |
金融広報中央委員会「(参考)家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]各種分類別データ(令和5年)『預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品』」より筆者作成
特筆すべきは、金融商品の多様化です。預貯金中心だった若年層の資産形成が、投資信託や株式など、より幅広い金融商品へと広がっています。この変化は、若い世代の間で資産運用に対する関心や知識が高まっていることを示唆しています。
資産形成を成功に導く重要なポイント
調査データから、高額な金融資産を持つ世帯に共通する特徴が見えてきました。まずは複数の収入源を確保していることです。給与所得に加えて、投資収入や副業収入などを組み合わせることで、収入の安定化と増加を図っています。この多角的な収入構造が、安定的な資産形成を支える基盤となっているのです。
世帯収入を増やすことで、投資や貯蓄に回せる金額も自然と増加します。さらに、二人で資産形成に取り組むことで、より計画的で効率的な運用が可能になるでしょう。
金融商品を分散して保有している点も重要です。預貯金、株式、投資信託など、複数の金融商品を組み合わせることでリスク分散を図っています。この分散投資の考え方は、長期的な資産形成において重要な戦略となります。
これからの資産形成戦略と展望
今回の調査データから年収が上がるにつれて投資の幅が広がることが分かります。割合的には、年収が1000万円を超えている人は20%ほどです。
共働き世帯では、パートナーとの協力体制も重要なポイントといえるでしょう。まずは自分の収入に合わせて無理のない範囲で始め、徐々に投資の幅を広げていくことがカギとなります。そして、定期的な見直しと調整を行いながら、長期的視点で資産形成を進めることが成功への近道となるはずです。
出典
金融広報中央委員会「知るぽると」各種分類別データ(令和5年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー