息子が名門大学に合格し「時給2900円」の塾講師バイトをすることに! 夫は「税金が高くなる」と反対気味だけど、“親の税負担”は収入いくらから増える? 特定扶養控除について解説
配信日: 2025.03.30 更新日: 2025.04.01

本記事では、特定扶養控除を受けるための収入目安や、対象外になった場合の親の税負担について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
特定扶養控除とは
特定扶養控除は、19歳以上23歳未満の扶養親族がいる場合に適用される所得控除制度です。大学生や専門学校生が主な対象で、教育費の負担が大きい家庭を支援する目的で設けられています。
この控除の特徴は、一般の扶養控除より控除額が大きい点です。一般の控除対象扶養親族の控除額は38万円ですが、特定扶養親族の場合は控除額が63万円と、25万円多くなります。
また、「納税者と生計を一にしていること」が条件となるため、親元を離れて暮らしていても、仕送りを受けるなど生計を共にしていると判断されれば、特定扶養控除の対象になります。ただし、控除を受けるには所得制限があり、給与所得のみの場合、学生が年収103万円を超えると対象外です。
特定扶養控除を受けるなら月収8万6000円以下
特定扶養控除を受けるには、学生の年収を103万円以下に抑える必要があります。目安として、月収は8万6000円以下に収めることがポイントです。
2024年に実施された「第60回学生生活実態調査」によると、大学生の1週間の平均労働時間は約12時間でした。
この働き方で、仮に時給2900円の塾講師アルバイトをしたとすると、月収は約13万9200円、年間では約167万円となり、扶養控除の適用条件を超えてしまいます。扶養控除を受けるためには、時給2900円の場合、労働時間を週7.5時間以内に調整する必要があるでしょう。
特定扶養控除が外れると親の税負担はいくら増える?
例えば、親の年収が800万円の場合、子どもが特定扶養控除の対象外になると、年間の税負担は大体18.7万円ほど増えることになります。月単位では、おおよそ1.6万円の負担増となります。
この額の算出方法は以下の通りです。
1. 課税所得の計算
課税所得は「年収 - 給与所得控除 - 各種控除」で求めます。例えば、親の年収が800万円の場合、給与所得控除(約143万円)や基礎控除(48万円)を差し引きます。
2. 所得税の計算
課税所得が確定した後、税率を適用して所得税を計算します。税率は累進課税で、課税所得が増えるほど税率も上がります。
3. 住民税の計算
住民税は約10%が課せられ、増加分に応じて計算されます。
扶養控除が外れることで、所得税および住民税が増加し、年間で約18.7万円、月々で約1.6万円の負担が増えることになります。なお、あくまで目安としての数字であり、実際の税額は家庭の状況によって異なる可能性がありますので、参考程度にご確認ください。
まとめ
税負担を抑えたい場合、子どものアルバイト収入を年間103万円以下に抑えたほうがよさそうです。しかし、子どもにやる気があり、高時給のアルバイトでしっかり稼ぎたい場合は、扶養控除を外れる選択肢も考えられるでしょう。
親としては税負担の増加が気になるかもしれませんが、「月1.6万円程度の負担増であれば、大きな影響はない」という場合もあるかと思います。どのラインまで収入を増やすかを家族で話し合い、最適な選択をすることが大切です。
出典
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1199 基礎控除
総務省 個人住民税
全国大学生活協同組合連合会 第60回学生生活実態調査 概要報告
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー