父に「仕事は最低3年続けろ」と言われたけど、毎日ミスばかりでつらい! 短期離職は悪印象? 仕事を「続ける・辞める」の見極め方とは
配信日: 2025.04.05

就職してから短期間での転職・退職が一般的になりつつある現在、「今の仕事を続けるか、辞めるか」の見極め方はどのようにすべきなのでしょうか。

執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「短期で仕事を辞めること」について、現在の一般的評価は?
レバレジーズ株式会社が運営する「ハタラクティブ」の調査によると、2019年~2023年に大学を卒業し、新卒として会社に入社した男女のうち約3割(26.2%)が新卒で入社した会社を2023年9月までに退職していることが分かりました。
そのうち、4.2%は入社してから半年未満で退職しています。また、半年未満の短期離職後の転職活動について聞いたところ、半数以上(53.9%)が「苦戦した」と回答しています。
キャリアコンサルタントである筆者の感覚では、現代日本においては「短期で仕事を辞めること」、特に1年未満程度で仕事を辞めている履歴が複数回あることは、一般的な企業における人事採用の場面で評価に悪影響を及ぼすことが多いです。
これは人事採用の場面において評価を行う社員の多くが中高年であり、「仕事は最低3年間以上続けるべき」という価値観の持ち主である可能性が高いことも影響していますが、自分の会社においても短期間で転職をされると採用に関連する各種のコストが無駄になってしまうという危機意識が主な理由です。
一方、「就職した会社が非常にブラックな働き方・違法まがいの業務を強制してきた」などの明確な理由があれば、短期での退職がマイナス評価にならないことも多いです。面接などで就業期間の短さを問われた場合に、きちんと前向きな理由を述べられるようにしておきましょう。
現代は若年者のうちでも転職・起業をすることが一般的になりつつあり、特に最近起業した中小企業では「石の上にも3年」のような価値観を持たない場合が増えていると思われます。
そのため、転職を希望する企業の「人事採用」担当社員がどのような価値観を持っているか、採用方針はどのようなものであるかなどを事前に知ることができれば、自分のキャリア経歴がどのように評価されそうかを推測することも可能でしょう。
現在の仕事からの転職を希望している場合は、転職希望先の企業がどのような経歴の人を好んで採用しているのか、可能な限り情報を集めておきましょう。
現在の仕事を続けて、得られるものと失うものを多くの切り口から考えよう
現在就職している企業で仕事を続けていくのか、別の会社に移るのかをできる限り正しく見極めるには、非常に複雑な判断をしていくことが求められます。少なくとも、以下の4つの判断軸が必要になっていくのではないでしょうか、
1.現在の仕事内容と、自分の価値観・キャリア感が一致しているか(自分の軸)
→いわゆる「やりがい」を今の職場で感じられるか。自分が描く将来像が、今勤務している企業で働いている自分の延長線上にあるか。
2.現在の職場環境、特に社内・顧客との人間関係は良好か(人間関係の軸)
→「仕事の悩み」の大部分はここから発生する。就いている仕事が高給であっても、人間関係が大きなストレスになっている場合は退職を決断する人が多い。
3.現在の仕事が、自分の成長や収入増につながるか(成長の軸)
→仕事を通じて人間的な成長や出世をしたい場合は、ここを重視する必要がある。取り組んでいる仕事によって成長できている実感があるか。
4.現在就職している業界に、将来性はあるか。需要はなくならないか(業界の軸)
→技術の発展や社会情勢の変化で、現在所属している「業界」自体が衰退・消滅してしまう事も考えられる。その場合、業界ナンバーワンの実力者であっても仕事がないという状況に陥る。
ほかにも、会社勤めをしていることによって得られる社会的信用や収入も大きな要因です。転職を決断する場合は、一時的な感情に任せるのではなく、意識して客観的な視点を取り入れ、自分の生き方・キャリアパスについてじっくりと時間をかけて振り返り、考えてから行うことをおすすめします。
まとめ
大卒者の3割程度は「新卒就職後3年以内」に離職を経験しています。特に半年未満で離職をした場合は、再就職の際に苦戦をすることが多いようです。
転職を決意するにあたっては、自分の人生・キャリアパスについて多くの切り口で考え、自分の家族や職場の同僚以外の第三者の意見を聞いてみるなど、客観的な視点を持って自己分析・業界分析を行っていくとよいでしょう。
出典
レバレジーズ株式会社 短期離職に関する実態調査
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント