「非正規雇用」が増加傾向にあるらしいけど、割合ってどれくらい?非正規雇用の増加がもたらす経済的影響も解説

配信日: 2025.04.07

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「非正規雇用」が増加傾向にあるらしいけど、割合ってどれくらい?非正規雇用の増加がもたらす経済的影響も解説
かつては正社員として働くのが当たり前だった日本。
 
しかし、いまでは約3人に1人が非正規雇用であるとされています。終身雇用の崩壊や働き方の多様化の中で、雇用の形はどう変わってきたのでしょうか。本記事ではデータとともに解説します。
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非正規雇用者の割合と推移

総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約」によれば、役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は36.8%と報告されています。
 
これは前年に比べ0.2ポイントの低下を示していますが、依然として高い水準です。過去30年間で見ると、平成元年(1989年)には約20%だった非正規雇用者の割合が、令和元年(2019年)には約40%にまで増加しており、長期的な増加傾向が見られます。
 

非正規雇用増加の背景とその要因

非正規雇用の増加には、以下のような複数の要因が影響していると考えられます。


・働き方の多様化
・家庭の事情との両立
・企業側の人件費削減

終身雇用制度の信頼性が低下し、自由な働き方を求める人々が増加しています。非正規雇用は、一般的に柔軟な労働時間や複数の仕事の掛け持ちが可能であり、自分らしさを追求する人々に受け入れられました。
 
また、子育てや介護などで正規雇用が難しい人、特に結婚・出産後の女性や介護を担う人が非正規雇用を選ぶケースが増えているとされています。
 
企業は人件費の節約を目的に、非正規雇用者の採用を増やしている場合があるようです。これは、非正規雇用者の賃金は正規雇用者より低い傾向にあり、ボーナスや退職金の支払いもない場合が多いため、コスト削減につながるからです。
 

非正規雇用の増加がもたらす経済的影響

非正規雇用の増加は、個人の収入や社会全体の経済活動に影響を及ぼします。
 
非正規雇用者は、正規雇用者と比較して賃金水準が低い傾向があり、国税庁長官官房企画課の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、正規雇用者の平均給与が約530万円であるのに対し、非正規雇用者は約202万円と、約328万円の差があります。
 
この賃金格差は、非正規雇用者の消費余力を制限し、国内消費の低迷を招くかもしれません。消費の停滞は、企業の売上減少や経済成長の鈍化といった負の連鎖を引き起こす要因となり得ます。
 
また、非正規雇用者は、有期契約やパートタイムといった形態が多く、雇用の安定性に欠ける場合が少なくありません。この不安定な雇用状況は、労働者の生活基盤を脆弱(ぜいじゃく)にし、将来的な所得不安をもたらします。
 
さらに、非正規雇用者は正規雇用者と比べて社会保険への加入率が低い傾向があり、老後の年金受給額が少なくなるリスクがあります。これにより、高齢期の生活困窮者が増加し、社会保障制度への負担が増大するかもしれません。
 

まとめ

非正規雇用者の割合は増加傾向にあり、2024年時点で36.8%を占めています。働き方の多様化や企業の人件費削減が背景にある一方、賃金格差や雇用の不安定さが課題となっています。
 
低賃金による消費の抑制や将来の生活不安、社会保障制度への負担増などの影響も懸念されるところです。今後は、非正規雇用者の待遇改善や雇用の安定化に向けた対策が求められます。
 

出典

総務省統計局 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の要約(2ページ)
国税庁長官官房企画課 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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