80歳の父が「3000万円」を1つの口座に預金! でも銀行が破綻すると「1000万円」しか返ってこないって本当ですか? 分けて預けさせるべきでしょうか…?
配信日: 2025.04.06 更新日: 2025.04.07

本記事では、銀行や信用金庫などの金融機関に1000万円を超えてお金を預ける人に、金融機関の破綻に備える対策法を紹介します。

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
金融機関が破綻してしまった場合、原則返金されるのは1000万円とその利息のみ
金融機関が万が一破綻した場合には、「預金保険制度」が発動され、預金者1人あたり、1金融機関ごとに普通預金や定期預金などの合計元本1000万円までと、その利息などが保護されます。
裏を返すと、それを超えた金額については「返ってこない」可能性があるということです。預金保険制度の保護対象外の金額については、破綻した金融機関の残余財産から支払い可能な部分のみが返金されます。
そのため、1つの金融機関の普通預金に1000万円超の多額を入れておくことには、一定のリスクがあるといえるでしょう。
実際に、2010年、日本振興銀行が破綻し「預金保険制度」が発動されました。万が一のリスクに備え、取れる行動は事前に取っておいたほうがよいでしょう。
金融機関の破綻への備え方
前項では、金融機関が破綻した場合のリスクについて解説しました。ここからは、金融機関の破綻へ備える方法の一例を紹介します。
決済用預金口座の開設
預金保険制度では、「当座預金や利息の付かない決済用預金(無利息型普通預金)は、全額保護される」という取り決めがあります(決済用預金は一般的に作成される「(有利息型)普通預金」とは異なるので注意が必要です)。
決済用預金口座は、金融機関で申し込めば開設可能です。しかし、一般的には金融機関から開設を勧められることはありません。開設希望の場合は自主的に申し出て手続きをしましょう。
国債の購入
先ほど紹介した決済用預金は、利息が付かないためうまみがありません。そのため、少しでも金利を求める人は、国債が有力な選択肢となります。国債は、元本割れすることのない金融商品です。ただし、預金とは異なり、保有開始から1年間は原則引き出すことができない点に注意が必要です。
当面使う予定のないお金であれば、国債の購入に充てるとよいでしょう。基本的には、銀行預金より多くの金利を受け取ることができます。また、国債は購入時のキャッシュバックキャンペーンが各金融機関で不定期に行われているため、キャンペーンのタイミングでの利用をおすすめします。
別の金融機関での預金口座開設
預金保険制度は、1金融機関ごとに保障枠が存在するため、金融機関を複数持つことによっても金融機関破綻リスクを軽減することが可能です。金融機関ごとに1000万円ずつ預けている、という人もいるのではないでしょうか。
ただし、金融機関が複数あると、個人にとっては口座管理が煩雑になるというデメリットは存在します。また、避けて通れないのは、金融機関からのセールスです。各金融機関からセールスの電話がかかり、セールスマンへの応対が必要になる面倒さは受け入れなければいけません。
また、全く考えてもいなかったハイリスクな投資信託を購入させられるリスクもあり、特に高齢の人にはすすめづらい選択肢といえます。
まとめ
金融機関の破綻はめったにないことですが、実際に起こった例もあります。大事な資産を不意なことから失わないよう、リスクを考慮する必要があります。帰省のタイミングなどで、親の資産管理についても話す機会を設けられるとよいですね。
出典
金融庁 預金保険制度
※2025/4/7 執筆者に誤りがあったため、修正いたしました。
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート