一人暮らしで「パックご飯」ばかり使っていますが、自炊のほうが節約になるのでしょうか? 電気代を比較するとどちらがお得ですか?
配信日: 2025.04.07

特に、ご飯はほぼ毎日食べるものだからこそ、「パックご飯」を使うか、「自炊」するかで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。忙しいときには便利なパックご飯ですが、月々の食費を見直すなら自炊のほうが得かもしれません。
本記事では、パックご飯と自炊のコストを比較し、電気代を含めてどちらが本当にお得なのかを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次 [非表示]
パックご飯と自炊、それぞれのコスト比較
まずは、パックご飯と自炊それぞれの1食あたりのコストから見ていきましょう。
【パックご飯と白米の価格相場】
パックご飯はスーパーやコンビニで手軽に購入でき、1パック(約200グラム)の価格相場は150円前後と考えられます。まとめ買いで多少安くなることもありますが、1個あたりの価格は大きくは変わらないでしょう。
ただし、昨年夏からの米価高騰の影響により、2025年は多くのメーカーで値上げが実施される可能性が高いです。
これに対し、自炊の場合はお米を炊く手間はありますが、価格面では大きな差があります。最近は米価格が上昇しており、5キログラムの白米はおおよそ3500円強のものが多いでしょう。
今回は5キログラム3500円と仮定して、1グラムあたりに換算すると、1グラムあたり0.7円となります。1合(約150グラム)の米を使うと105円、ご飯を1合炊くと水分を吸収して約2倍(約300グラム)となるため、1食あたりの米代は約52.5円です。
【調理にかかる電気代】
パックご飯を電子レンジで加熱する場合と、お米を炊飯器で炊く場合の電気代は下記のとおりです。なお、1キロワットアワーあたりの電気料金は31円で計算します。
■パックご飯を電子レンジ(1000ワット)で2分加熱した場合
電子レンジの消費電力が1000W(1キロワット)で、2分間使用する場合の電気代は以下のように計算できます。
1キロワット× (2分÷ 60分) × 31円
= 1 × 0.0333 × 31円
= 約1.03円
■炊飯器で1合炊く場合
炊飯器で1合(約150グラム)を炊くのに使う電力量は、以下のように計算できます。
0.19キロワットアワー× 31円=5.89円
1合でおよそ2食分のご飯が炊けるため、1食あたりの電気代は以下のとおりです。
5.89円÷ 2食=約2.95円
ただし、実際の消費電力は電子レンジや炊飯器の製品によって異なるため、あくまでも目安としてください。
■調理にかかる水道代
ご飯1合を炊く際に使用する水の量は、炊飯に必要な水+洗米に使う水を含めて、300〜500ミリリットル程度と考えられます。
炊飯用の水は約200〜230ミリリットルが一般的で、洗米時にはさらに100〜300ミリリットル程度が使用されます。
今回は少し多めに見積もって、500ミリリットル(0.5リットル)を使用する場合で計算します。全国平均の水道料金は、上下水道合わせて1リットルあたり約0.2円とされています。今回は、こちらを用いて計算します。
0.5リットル× 0.2円=約0.1円/1合炊飯あたり
1合で2食分のご飯が炊けるため、1食あたりの水道代は
0.1円÷ 2食=約0.05円
となります。なお、水道料金は地域によって料金が異なるため、こちらも目安にしてください。
【1食あたりの合計コスト】
それでは、パックご飯と自炊にかかる、1食あたりの合計コストを計算してみましょう。
パックご飯:150円+1.03円=156.3円
自炊: 約52.5円+2.95円+0.05円=55.5円
この段階で、1食あたりおよそ100円もの差が出ます。現在も米価格が高騰しているとはいえ、依然として自炊のほうが大幅に安いことが分かります。
電気代の違いは大きくないが、使い方に注意が必要
「炊飯器は電気代が高いのでは?」と心配する声もありますが、上述のとおり1合炊くのにかかる電気代はわずか5円ほどです。
ただし、炊いたご飯を長時間保温し続けると、電気代が増える原因になります。保温モードは意外と消費電力が高く、放置すると1日で12円以上かかることもあります。
そのため、自炊の節約効果を最大限に生かすには、炊いたご飯をすぐに食べきるか、冷凍保存するのがポイントです。冷凍しておけば、レンジで再加熱するだけで簡単に食べられ、忙しいときにも便利です。
忙しいときはパックご飯もアリ。使い分けが大切
ここまで見ると、「じゃあパックご飯は損なの?」と思うかもしれませんが、決してそうではありません。
例えば、仕事やバイトで疲れて帰宅した日や、体調が優れない日など、炊飯の手間すらつらいときには、パックご飯の便利さはとても助かります。無菌包装米飯やレトルト米飯は加圧加熱殺菌されているため保存性が高く、常温で6~12ヶ月程度ストックしておけるのもメリットの一つです。
節約を意識するなら、基本は自炊、ごくたまにパックご飯というスタイルがおすすめです。
また、炊いたご飯を冷凍しておけば、パックご飯に頼る機会も減らせます。冷凍保存したご飯は味や食感が比較的安定しており、再加熱してもおいしく食べられるため、多くの人に支持されています。
節約したいなら基本は自炊、うまく使い分けよう
パックご飯と自炊のどちらが節約になるかの比較としては、自炊したほうが圧倒的に安いという結果となりました。本記事の試算では1食あたりおよそ100円の差で、1日3食の場合は月間で約9000円、年間で約10万9500円以上の差となるので、かなり大きな違いと感じるでしょう。
ただし、パックご飯にも「便利さ」という強みがあります。自炊が難しいときや、時間がないときには無理せずパックご飯を活用するのも一つの方法です。
節約しつつ、無理のない一人暮らしを続けるためにはコストだけでなく、生活リズムや体調とのバランスを取ることが大切です。上手に使い分けて、無理のない節約生活を楽しみましょう。
出典
公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会 よくある質問Q&A
厚生労働省 いま知りたい水道 -日本の水道を考える-
一般社団法人 全国包装米飯協会 包装米飯(パックごはん)について FAQ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー