住んでいる賃貸マンションの「プロパンガス」料金がまた値上がり……。都市ガスと比べてプロパンガスはなぜ高いのでしょうか?
配信日: 2025.04.11

しかし、昨今の値上げラッシュでプロパンガス料金も値上がりし、もともと割高だったのにますます高くなったというケースもあるでしょう。今回はプロパンガスがどういうものなのか解説します。

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
プロパンガスとは? 都市ガスとの違い
まず、プロパンガス(LPガス)とはどのようなものなのか、都市ガスとの違いを確認しましょう。
■プロパンガス(LPガス)
液化石油ガス(LPG)を、各家庭や建物ごとに設置されたボンベに供給します。料金は供給会社ごとに異なり自由価格制です。
■都市ガス
供給管を通じて天然ガスを配管されますが、供給エリアは限定されます。料金は公共料金として規制があり、安定しています。
■料金の違い
プロパンガスは、地域や供給会社により差はありますが、1立方メートルあたり約500~700円です。一方、都市ガスは自治体のガス会社によりますが、おおむね1立方メートルあたり約150~300円です。比較すると、プロパンガスは、都市ガスに比べて約2~3倍の料金になることが一般的です。
プロパンガス料金の算出方法
プロパンガス料金の算出方法を確認しましょう。プロパンガス料金は、一般的に基本料金(固定費)と従量料金で構成されます。基本料金は固定費で、ガス設備の維持管理費およびガスメーターの設置費用が含まれ、月額1500円~3000円が相場です。
従量料金は、ガスの使用量に応じた変動費で1立方メートルあたり500~700円程度です。例えば、1月の使用量が10立方メートルの場合、
基本料金 2500円 + (10立方メートル × 600円)= 8500円
という計算になります。都市ガスなら同じ使用量でも3000~4000円程度なので、約2倍の差があります。
なぜプロパンガスが高いのか
改めて、なぜプロパンガスが高いのかを整理しましょう。
(1) ボンベ配送や保管が必要で、輸送コストがかかるため
(2) 事業者ごとに料金設定が異なり、自由価格制であること
さらに、集合住宅の場合、入居者が業者を選べず、家主が契約を決めるという事情もあります。
プロパンガス料金を節約する方法
このように、プロパンガス料金は都市ガスよりも割高になってしまう環境ですが、料金節約の方法をあげてみましょう。
1つ目は、使用量を減らす工夫をすることです。
例えば、シャワーの時間を短縮することです。1分短縮で月500円節約できるといわれています。また、給湯温度を1~2℃下げることによって、ガス消費量の10%削減が可能になるとされています。
また、電気調理器を併用することで、ガスコンロを使う時間を短縮するという方法もあります。
2つ目は、 料金の交渉です。他社の見積もりを提示して、契約ガス会社に値下げ交渉をしてみる方法もあるでしょう。複数のプロパンガス会社を比較し、より安い会社に変更するのは比較的取り組みやすいかもしれません。
ただし賃貸の場合、一般的には家主の許可が必要になります。
3つ目は、都市ガスへの切り替えが可能か確認してみましょう。周辺に都市ガスの供給があるか調査し、集合住宅の管理会社や家主に相談してみましょう。建物の設備しだいでは変更が可能なケースもあります。
家計への影響とバランスの取り方
プロパンガスの高騰が続く中で、日ごろの心がけで実現できる家計のバランスを取る方法として、ガス代以外の固定費や変動費を見直すことが重要です。
通信費:格安SIMに変更することで月5000円以上の節約
サブスク:不要なサービスを解約し、月2000円~5000円カット
電気代:電力会社のプランを見直し、月1000円~3000円節約
食費:まとめ買いや自炊の工夫で月5000円以上の節約
外食費:回数を減らし、月1万円程度削減
レジャー費:無料イベントや公共施設の活用
これらを組み合わせていけば、例えば
通信費 -5000円 + 食費-3000円 + 電気代-2000円=1万円の節約になります。
(※金額は一例としてあげています)
まとめ
プロパンガスは都市ガスに比べて高額ですが、使用量の管理や料金交渉、固定費の見直しによって家計の負担を抑えられるかもしれません。特に、固定費を削減する習慣をつければ、長期的な節約効果が期待できます。
まずは、自身のガス料金を確認し、無理のない範囲で節約を実践してみてはいかがでしょうか。
出典
一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者