銀行口座を開設して「10年」使わなかったら、「休眠扱い」で銀行側に勝手に使われる!? 意外と多い「放置口座のトラブル」と対処法を解説

配信日: 2025.04.11

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銀行口座を開設して「10年」使わなかったら、「休眠扱い」で銀行側に勝手に使われる!? 意外と多い「放置口座のトラブル」と対処法を解説
銀行の預金口座はいくつ持っていますか? 学生時代に親が開設してくれた口座、就職後に作った口座、さらにアルバイト先で指定された口座など、振り返ると複数の口座を持っていることに気付く人もいるかもしれません。
 
その中に、10年以上使っていない口座はありませんか? 実は、使われないまま放置された口座が「休眠預金」に分類され、行政では対応できないような社会課題を解決するための資金として使われることがあるのです。
 
本記事では、休眠預金の概要や手続きの方法、放置口座のよくあるトラブル、また、休眠預金がどのように活用されているかについて詳しく紹介します。
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「休眠預金」の概要と手続き方法

10年以上、入出金などの取引がない口座の預金は、「休眠預金」として扱われます。休眠預金は、各金融機関から預金保険機構に移管され、毎年度、必要な額が「指定活用団体」に交付されます。
 
そのため、休眠預金になってしまうとATMでの入出金ができなくなりますが、二度と引き出せなくなるわけではありません。自身の預金が指定活用団体に活用されていたとしても、取り戻すことは可能なので安心してください。
 
ただし、そのためには取引のあった金融機関にて休眠預金を復活させる手続きをしなくてはなりません。
 
手続きに必要なものとしては、通帳や取引印、本人確認書類などがあります。金融機関側でも休眠預金を確認する必要があるため、手続きのために金融機関へ行く前に連絡をしておくとスムーズに進みます。
 
注意点は、名前が変わっている場合(結婚など)は、旧姓が確認できる書類が求められることです。
 
また、長期間取引がないことで通帳を紛失したり、印鑑が見つからなかったりするケースもあるかもしれません。自身の状況を踏まえて、事前に金融機関に確認・問い合わせしておくと、余計な手間を避けることができます。
 

「放置口座」のよくあるトラブルとは?

長期間利用していない預金口座は、「放置口座」と呼ばれることがあります。放置口座は休眠預金になるだけでなく、さまざまなリスクを伴います。その中でも特に深刻なのは、犯罪に利用される可能性があることです。
 
例えば、2020年に発覚した「ドコモ口座」を通じて銀行口座から不正に現金が引きだされた事件は、記憶に新しいかもしれません。これは、第三者が銀行口座番号やキャッシュカードの暗証番号を不正に取得し、それらを利用してドコモ口座に銀行口座を新規に登録することで発生しました。被害額は、総額2885万円にのぼると報道されています。
 
このような犯罪に利用されてしまったとき、口座を放置している状態だと気づくのが遅くなるので注意が必要です。
 

「休眠預金」の現状は?

休眠預金を社会の役に立てるための仕組みを、「休眠預金活用法」と呼びます。指定活用団体に交付された資金は、社会課題を解決するため、民間の団体が行う以下の3つの分野で活用されています。

1.子どもや若者への支援
2.生活を営む上で困難を有する者への支援
3.地域活性化への支援

内閣府の発表によると、2024年4月末までに約290億円が助成金として利用されているとのことです。また、休眠預金活用法は、施行から5年が経過したタイミングで制度の見直しが行われ、2023年に改正されました。この改正により、新たに「活動支援団体」や「出資」などの支援手法が導入され、助成事業の範囲が広がりました。
 
支援は、資金だけでなく、専門的な知識やノウハウの提供も行われており、これにより自立した団体もあります。さらに、出資による支援では、資金が不足しているスタートアップ企業をサポートすることに活用されています。
 

まとめ

10年以上取引がなかった預金口座は休眠預金となりますが、どれだけ経過していようと引き出せなくなるわけではありません。ただし、長期間取引がない場合のよくあるトラブルとして、犯罪などの不正利用のリスクがあるため、十分注意することが必要です。
 
休眠預金となった口座は、社会課題の解決のために活用されていますが、口座を放置し続けることで、預金者が気づかないうちにその存在を忘れてしまい、手続きをしなければ取り戻せなくなる可能性があります。思い当たる人は、早めに口座を整理しておくことをおすすめします。
 

出典

内閣府 休眠預金等活用制度について
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
一般社団法人全国銀行協会 休眠預金ってご存知ですか?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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