子どものアルバイトの年収が繁忙期で「130万円」をオーバー!親の扶養から外れてしまうのでしょうか?
配信日: 2025.04.14

そこで今回は、年収の壁の概要や、一時的に年収が130万円よりも増えてしまったときの対応について解説します。近年話題となっている年収の壁の引き上げについてもご紹介しますので、今後の働き方を考えるうえで参考にしてください。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次 [非表示]
年収の壁とは?
一定の年収を超えると、手取りが減るといわれていて、いわゆる「年収の壁」を気にして働き控えをする人がいます。厚生労働省によれば、年収の壁には、大きく以下の3つの種類があります。
・税金にかかわる壁
・社会保険にかかわる壁
・配偶者手当にかかわる壁
税金にかかわる壁には、住民税の支払いが発生する「100万円の壁」や、所得税の支払いが発生する「103万円の壁」があります。「150万円」「201万円」は配偶者の所得控除(配偶者特別控除)に関係する年収の額です。
社会保険にかかわる壁には、「従業員51人以上」など勤め先の企業規模によって健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生する「106万円の壁」があります。これに該当しなくても、「130万円」を超えると国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生します。
配偶者手当は企業独自の制度ですが、おもに「103万円」または「130万円」を超えると、配偶者手当・家族手当・扶養手当などが支給対象外となる場合があるようです。これらの手当が支給されなくなると、世帯の手取りに影響が出てしまいます。
子どものアルバイト年収が130万円をオーバー……扶養から外れてしまう?
親の扶養に入っている子どもの年収が、130万円を超えると親の扶養から外れ、社会保険料の支払いが発生してしまっていました。しかし2023年10月から始まった「年収の壁・支援強化パッケージ」によって、一時的に年収が増えてしまっても、扶養から外れない対策が実現しています。
例えば12月の繁忙期で残業が増えて、子どもの収入が一時的に上がったため年収130万円を超えてしまうケースもあるでしょう。政府広報オンラインによると、その場合は、会社側が「一時的な収入増」である旨を証明する書類を作成して親が加入する健保組合などに提出することで、子どもは扶養に入り続けられます。
ただしこれは一時的な収入増によるもので、原則、連続2回までが上限である点に注意が必要です。毎年1回被扶養者である子どもの収入確認がある場合は、約2年間有効な対策であるといえます。
年収の壁の引き上げについて
近年、政府内では年収の壁の見直しについて議論されています。例えば2025年2月には、閣議決定された税制改正関連法案で、所得税の年収の壁103万円を123万円に引き上げるとされていました。3月4日の衆議院本会議では修正された法案が可決され、所得税の課税最低限は政府案の123万円から160万円に引き上げられるとのことです。
年収の壁の引き上げが議論されている背景には、労働力不足・家計の負担増や女性の社会進出の妨げなど、現在の社会問題が挙げられます。103万円の壁が設定されてから最低賃金は上昇し、現在ではおよそ1.73倍になっていることから、年収の壁を103万円から引き上げるべきという考えが表明されているようです。
103万円の壁が引き上げられると、年収の壁を気にせずに働けるようになると考える人もいるでしょう。しかし、130万円を超えると扶養から外れて、社会保険に加入しなければならないことに変わりはありません。一時的な収入増であれば対策はありますが、そうでなければ130万円の壁は残る点に注意が必要です。
子どものアルバイト年収が130万円を超えても一時的であれば扶養から外れない場合あり
親の扶養に入っている子どもが、アルバイトで年間130万円以上の収入があると、扶養から外れて社会保険料の負担が生じます。
しかし事業者が「一時的な収入増」であることを証明する書類を作成して、親が加入する健保組合などに提出することで、子どもは扶養に入り続けられるようになりました。あくまでも一時的な対策であり、原則上限は連続2回までとなっている点に注意が必要です。
近年では所得税の年収の壁の引き上げについての議論がされていて、課税最低限を103万円から123万円、さらに修正案で160万円に引き上げられるとのことです。これは社会保険にかかわる年収の壁には当てはまりませんが、年収の壁の引き上げについての最新情報を注視しつつ、今後の働き方を検討するとよいでしょう。
出典
厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは? 2 「年収の壁」とは 「年収の壁」に関するまとめ(14ページ)
内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 「年収の壁」対策がスタート!パートやアルバイトはどうなる?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー