貯金が「50万円」しかない40代…。老後までにどのくらい貯めれば安心ですか?
配信日: 2025.04.16

しかし、40代からでもしっかり計画を立てれば、老後に向けた資金づくりは十分に可能です。本記事では、40代の平均貯金額や老後に必要な金額、そして今からでもできる具体的な貯蓄方法について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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40代の平均貯金額はどれくらい?
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)」によると、40代の貯金額の中央値は以下のようになっています。
単身世帯:47万円
2人以上世帯:220万円
平均値はもっと高いですが、これは一部の高額貯蓄者が引き上げているためで、中央値のほうが実態に近いといわれています。この中央値から見ると、単身世帯で貯金50万円というのは決して特別に少ないわけではなく、むしろよくある状況だといえます。
「貯金がない」と焦る必要はありません。大切なのは、今後どう備えていくかです。これからの貯蓄計画次第で、将来の安心度は大きく変わるでしょう。
老後に必要な資金はいくら?
では、実際に老後を安心して暮らすには、どれくらいの資金が必要なのでしょうか。ここでは、老後にかかる生活費とその他の費用について見ていきましょう。
【生活費】
老後に必要な資金を考える際、多くの人がまず気にするのは生活費でしょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編)2023年」によると、65歳以上の高齢夫婦世帯の平均的な消費支出は月額25万959円、単身世帯では14万5430円となっています。
一方、年金収入(社会保障給付)の平均は65歳以上の高齢夫婦世帯で月21万8441万円、単身世帯で11万8230円です。
この差額を30年間補うと考えると、夫婦世帯では毎月3万2518円、30年で約1170万円が不足します。単身世帯では毎月2万7200円の不足となり、30年間で約980万円の追加資金が必要になります。
【医療費】
前述の「家計調査年報」によると、夫婦世帯では毎月1万6879円、単身世帯では7981円となっています。
しかし、医療費がかかるのは70歳を過ぎからで、当然個人の健康状態によって異なります。一般的には、老後の通院や入院などでかかる自己負担分として200~400万円程度かかるといわれています。
【介護費】
生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、平均介護期間は約4年7ヶ月、月々の費用は9万円とされており、一時的な設備購入費用の47万円を含めると、総額で540万円程度が必要です。
ただし単身者の場合、在宅介護が難しく施設利用に頼るケースも多いため、もう少し多めに見積もって600万円程度になる可能性があります。
【住居費】
住居費は、老後も継続的にかかります。前述の「家計調査(2023年)」によると、住居費の平均は夫婦世帯で月1万6827円、単身世帯で1万2564円です。30年間で計算すると、夫婦は約600万円、単身は約450万円の支出になります。
ただし、持ち家の場合は修繕費や固定資産税、賃貸の場合は家賃や更新料が必要となるため、自身の住まいに応じた備えが重要です。
【老後に必要なおおよその資金額】
生活費の不足分に医療費(400万円)、介護費(600万円)、修繕費を加えた総額は、夫婦世帯では約2770万円、単身世帯では約2400万円が必要になる計算となります。
ただし、これはざっくりとした試算であり、すべての人に当てはまる正解の数字ではありません。具体的な必要額は持ち家か賃貸か、地方か都市部か、健康状態や家族のサポート体制などによって変わってきます。
それでも、老後の資金をざっくりと「1000万円くらいかな?」と考えるより、具体的に「このくらいは必要そうだ」と見通しを立てておくことが、安心な老後への第一歩となります。
今からでも間に合う! 老後資金の貯め方
「貯金が少ない自分に老後資金の準備なんて無理」と諦めるのはまだ早いです。40代からでも、老後資金はしっかり準備できます。以下に、現実的かつ効果的な方法を紹介します。
1. 支出の見直しと固定費の削減
まず取り組みたいのが、毎月の支出の見直しです。スマホ料金や保険料、サブスクなどの固定費を見直すことで、意外と大きな節約が可能になります。
例えば、通信費を月3000円下げるだけでも、年間3万6000円、10年で36万円の差になります。また、保険料やサブスク料金など、他の固定費も見直すことでさらなる節約が可能です。
2. 毎月一定額を積み立てる
収入の一部を自動で積み立てる習慣をつけると、無理なく貯金ができます。仮に月3万円を積み立てた場合、10年間で360万円、20年間なら720万円にもなります。利息や投資のリターンを考慮すれば、それ以上になる可能性もあります。
3. iDeCoやつみたてNISAの活用
税制優遇のある制度を使えば、老後資金を効率よく増やすことが可能です。例えばiDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除され、NISA(少額投資非課税制度)は運用益が非課税のため節税効果があります。どちらも少額から始められ、長期投資に向いています。
少ない貯金からでも安心な老後を目指すために
40代で貯金が50万円しかないという状況でも、悲観する必要はありません。平均と比べて特別少ないわけではなく、むしろ多くの人が同じような悩みを抱えています。老後に必要な資金の目安を知り、今から計画的に備えることで、将来への不安を減らすことができます。
大切なのは生活費を見直し、積み立ての習慣を持つこと。そしてiDeCoやつみたてNISAなどの制度も上手に活用して、少しずつでも着実に貯めていくことです。
「どうせもう遅い」と諦めるのではなく、「今からできることを始めよう」と考えることが、安心できる老後への第一歩になります。未来の自分のために、今日から行動を始めましょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年 (令和5年)家計の概要
公益社団法人 生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
金融庁 NISA特設ウェブサイト NISAを知る
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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