ひさびさに回転ずしに行ったら「一皿120円~」になっていてビックリ! 以前は「100円皿」が当たり前だったけど、もう回転ずしは“ファストフード”ではなくなった?「価格上昇の背景」とは
配信日: 2025.04.16

本記事では、ファストフードとしての回転ずしの立ち位置から、価格上昇の背景や業界変化を解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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回転ずし誕生のきっかけ
回転ずしは今や日本食文化の代表格といえますが、その誕生には興味深いストーリーがあります。単なる便利なシステムというより、経営上の切実な悩みから生まれた発明でした。
どのような背景から回転ずしが生まれたのか
回転ずしは、人手不足という問題から生まれました。1947年、大阪府布施市(現東大阪市)の小料理屋「元禄」では氷の天ぷらが評判を呼び、後に始めた「元禄寿司」も大人気になりました。
ただ、お客が増えるほど人手が足りなくなるという状況に陥りました。そんなある日、ビール工場で使われているベルトコンベアをヒントに思いついたのが、ベルトコンベアですしを運ぶ方法なのです。
回転ずしの広がり
回転ずしが全国区になったきっかけは、1970年の大阪万博です。「廻る元禄寿司」が出店したことで、全国からの来場者の目に触れ、知名度が上がりました。
回転ずしの本来の魅力は、明朗会計と手頃な価格にあります。それまで「特別な日にしか行けない高級店」だったすし屋が、「気軽に立ち寄れる食事処」へと変わったのです。
誕生から60年以上経った今、すしだけでなく、うどんなどの麺類やデザートも提供し、タッチパネル注文や高速レーンといった新しい仕掛けも登場しています。それでも「手軽にすしを楽しむ」という基本コンセプトは変わっていません。
回転ずしの進化
回転ずしは、誕生から現在までにずいぶんと姿を変えてきました。最初はただすしを回すだけのシンプルな仕組みが、最新技術を駆使したシステムになった背景にはどんな事情があるのでしょうか。
回転ずしの発展
最初は「すしが回る」めずらしさが話題になりましたが、その後の時代に合わせた戦略によってさまざまに広がっていきました。
例えば、高度経済成長期は安さ、バブル期は高級ネタを取り入れるなど、その時代に合った工夫が功を奏したようです。
実際に、1980年代に登場した100円均一の回転ずしは一大ブームとなり、1990年代には郊外の大型店舗が増えています。
新しいシステムや技術の導入
近年の回転ずし店は、技術導入に積極的です。自動皿会計システムやスマホ予約など、次々と新しい仕組みを取り入れています。これらのシステムは単なる新技術ではなく、多くは人手不足を補うため、人件費削減のために導入されたものです。
例えば、テーブルにカメラを設置して皿を自動カウントするシステムは、会計の待ち時間を短くし、スタッフの数え間違いも防ぎます。スマホアプリを使えば、席の予約や持ち帰り注文、店内での個別注文まで、全てスムーズにできます。
こういった画期的なシステムは、客側にとっても楽しみの1つになっているといえるでしょう。
初期の価格と現在の価格比較
創業期から今日までの価格変化を見ると、回転ずしが時代に合わせて戦略を変えてきた背景が浮かび上がります。価格帯の変遷を調査しました。
最初の回転ずしの価格帯
現在の価格帯からすると驚きですが、回転ずしの当初の価格は1皿50円でした。1984年に「くら寿司」が参入したときも均一価格を採用しました。この頃から「100円ずし」という言葉が定着し始めました。
現代の回転ずしでの価格設定
長い間「1皿100円(税込110円)」が当たり前でしたが、今では多くのチェーンで姿を消しています。2023年から2024年にかけて大手チェーンが相次いで値上げし、最安価格は115円~120円が増えてきました。
ただし、かっぱ寿司やはま寿司では今も110円メニューがあり、一部では手頃な価格が続いています。
値上がりの主な理由は、魚の価格高騰です。世界的に漁獲量が減少し、主要ネタの仕入れ価格が上昇しました。さらに、人件費や物流費、電気代の高騰も重なり、もはや100円では採算が取れなくなっているのです。
それでも、従来のすし店と比べれば依然として手頃な価格で楽しめるため、多くの人に親しまれ続けています。
まとめ
回転ずしは、人手不足を解決する発明から始まり、100円均一で「庶民の味方」として親しまれてきました。
しかし、近年は価格上昇で、回転ずしは「ファストフード」の枠を出つつあります。
原材料費や人件費の高騰が背景ですが、「誰でも気軽に楽しめる100円ずし」の姿は確かに変わりました。それでも、提供の速さや入店のしやすさは今も残っており、タッチパネル注文や高速レーンといった新技術も加わり、日本独自のファストフード文化は形を変えながら続いています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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