年収の壁が「123万円」になると聞き、年収「100万→120万円」くらいにしようと夫に相談したら、「社会保険の負担が増える」と言われました。壁って123万円ではないのでしょうか?

配信日: 2025.05.10

この記事は約 3 分で読めます。
年収の壁が「123万円」になると聞き、年収「100万→120万円」くらいにしようと夫に相談したら、「社会保険の負担が増える」と言われました。壁って123万円ではないのでしょうか?
パートなどの収入を調整して働いている人にとって、「年収の壁」はよく耳にするテーマではないでしょうか。最近、「103万円の壁」が「123万円の壁」に変更されるという話題が注目されています。
 
そのため「今まで103万円以内で働いていたけど、今年からは123万円以内にしよう」と考える人も多いかもしれませんが、実は年収の壁とは別に、社会保険料の負担に関する「壁」も存在します。
 
本記事では、「123万円の壁」の概要と、年収を120万円くらいにすると社会保険料の負担がどうなるのか解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年収の壁とは?

まず、「年収の壁」とは何かを整理しましょう。パートやアルバイトで働く場合、年間103万円以下の収入であれば所得税は課されません。この境のことが、一般的に「103万円の壁」と表現されています。
 
2025年度からは、給与所得控除の最低額と基礎控除金額が引き上げられるため、「103万円の壁」は「123万円の壁」になることが決定しました。これにより、パートとして扶養内で働ける収入の上限が、これまでより20万円増えることになります。
 

社会保険料の壁とは?

「年収の壁」の中には、「社会保険の壁」という壁も存在します。これは、年収が一定以上になると、パートタイマーであっても社会保険に加入し、自分で保険料を負担する必要が生じるというものです。
 
「社会保険の壁」ですが、パートで働く際は以下の(1)~(5)の全てに該当する場合、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入対象となります。
 

(1)1週間の労働時間が週20時間以上
(2)賃金が月8万8000円以上
(3)雇用期間が2ヶ月を越えて見込まれる
(4)学生ではない
(5)勤務する企業の従業員数が51人以上

 
(2)は月額ですので、年間にすると105万6000円となります。そのため、「社会保険の壁」の1つとしては「106万円の壁」が知られています。
 

120万円くらいに収入を増やすとどうなる?

仮に年収を120万円程度に引き上げた場合でも、2025年度からは所得税の支払い対象とはなりません。一方、前記した社会保険の加入要件を満たす場合、106万円の壁を超えると社会保険料を負担することになります。
 
年収が120万円の場合、健康保険料は月4890円、厚生年金保険料は月8967円、合計で約1万4000円の負担が発生します(全国健康保険協会 東京都)。
 
年間では約17万円の手取りが社会保険料として減りますので、場合によっては年収を100万円から120万円に上げたところで、手元に残るお金はあまり変わらないということもあるでしょう。
 

社会保険料を負担するメリット

社会保険料の負担は、デメリットのように感じられますが、長期的に見るとメリットもあります。
 
例えば、社会保険料を負担することで将来受け取る年金額が増加します。扶養内で働いている場合は国民年金のみの加入ですが、社会保険の壁を越えて厚生年金へも加入することで、受給額の増加が期待できるでしょう。
 
また、健康保険に加入すると、傷病手当金や出産手当金などの手厚い保障を受けられるようになります。これらは国民健康保険にはないメリットです。
 

まとめ

「123万円の壁」への変更により、扶養内で働ける収入の上限が引き上げられましたが、社会保険の壁は別物である点に注意が必要です。収入を増やす際は、税金や保険料の負担も含めてシミュレーションを行い、自分にとって最適な働き方を選びましょう。
 
また、社会保険料を負担することで得られるメリットについても理解を深めることが大切です。短期的な負担にとらわれず、将来を見据えた選択をしてみても良いでしょう。
 

出典

財務省 令和7年度税制改正の大綱の概要
全国健康保険協会 令和6年分3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集