「夫の年収850万円」でも“教育費と住宅ローン”で貯金ゼロ…これって普通?
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目次
まず知っておきたい:年収850万円で「無理なく」返せる住宅ローンと相場感
年収850万円の世帯が住宅ローンを組む場合、一般的な目安として「年収の5~7倍」程度が理想的な借入額の目安とされています。
返済負担率(年収に対する年間返済額の比率)は20~25%以下に抑えるのが望ましいとされており、たとえば月の収入が70万円程度だった場合、毎月15万円の返済額とすると返済負担率は約21%です。
住宅金融支援機構が公表した「2024年度【フラット35】利用者調査結果」によると、フラット35利用者の借り入れ倍率は5.3~7.5倍、つまり約4505万~6375万円の借り入れ事例が多いことが分かります。
ただし、「借りられる額」=「返せる額」ではありません。将来の教育費や老後資金を考慮するなら、返済負担率20%前後に抑えるのが安心でしょう。
教育費のリアル:一人あたりにかかる平均の目安とは?
教育費は進学先の選択によって大きく変わります。文部科学省が公表した「令和5年度 子供の学習費調査」の調査結果によると、公立にすべて通った場合、小学校から高校まででも約600万円の学習費が必要であり、大学まで通うとさらに数百万円が必要になります。私立中心であれば、倍以上の金額になることもあり得るでしょう。
つまり、子ども一人あたり1000万円以上ものお金を準備する必要があり、教育費は家計の大きな負担であることは間違いないでしょう。
「貯金ゼロ」は普通? 世帯貯蓄の実態と我が家の位置付け
「教育費と住宅ローンで貯金ができない……」という状況、実は珍しくないようです。
金融広報中央委員会が公表している「家計の記入行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、世帯主が40歳代の二人以上世帯の金融資産保有額は約889万円、中央値は220万円ということです。また、年収別にみると、年収750~1000万円未満の二人以上世帯では、平均値が1016万円、中央値が630万円でした。
一方、金融資産を保有していない世帯も11.8%おり、支出の多さや貯蓄習慣の有無によって大きく差が出ることが示されています。
貯金を少しでも生むには? 今できる見直しポイント
・固定費の見直し
住居費だけでなく、保険料、携帯・通信費やサブスクリプションなどの固定費を削ることで、毎月の貯蓄余力を増やすことができるかもしれません。例えば、月1万円の削減でも1年で12万円、5年で60万円の節約につながります。
・貯蓄習慣の定着
まずは毎月1万円からでも貯蓄先取りを行うことで、支出より貯蓄を優先する意識が定着するでしょう。とある調査でも「少額でも長く続けた家庭は堅実に貯められていた」との声があったようです。
・ライフプランの再確認
教育費や住宅ローンの負担が大きい場合、全体のライフプラン(老後資金、進路変更、収入見通し)を見直し、無理のない計画を立て直すことが重要です。
まとめ:現状は珍しくない。でも先を見据えた工夫は大切
年収850万円でも、住宅ローンと教育費の組み合わせによっては貯金ゼロという状況もあるでしょう。ただし、将来への備えや安心を生むために、固定費の見直しや少額でも貯蓄習慣を続けることは非常に効果的です。いまの家計が負担のどこにあるのかを見極めて、できる範囲の改善を積み重ねることで、将来への備えを少しずつ築いていけるはずです。
出典
住宅金融支援機構 2024年度 フラット35利用者調査(12ぺージ)
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯](令和3年以降) 各種分類データ(令和5年)表番号4、設問間クロス集計(令和5年)表番号1
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
