「太陽光パネル」を設置していますが、最近“売電の入金”が止まっています…維持費も「年間5000円」かかるし、このまま持ち続ける意味はあるのでしょうか?
本記事では、売電が止まった理由や維持費の実態、撤去・継続それぞれの判断ポイント、自家消費への切り替え方法について解説します。
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目次
なぜ売電が止まった? まずは契約と機器の状況を確認
太陽光パネルを設置してから10年前後で売電が止まった場合、主な原因として「固定価格買取制度(FIT)」の買取期間が満了したことが考えられます。
FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を目的に、出力10キロワット未満の住宅用太陽光発電の場合、発電した電気を電力会社が一定価格で10年間買い取る仕組みです。契約期間が終了しても自動延長されないため、そのままでは電力会社からの入金が止まってしまいます。
FIT期間が終わっても太陽光パネルは発電を続けます。つまり、発電はしているのに、売る仕組みがなくなっただけというケースが多いのです。再び売電するには、新たに電力会社や新電力と契約し直す方法があります。
設備トラブルの可能性も考えられる
もう1つの原因として考えられるのが、機器の不具合や経年劣化です。太陽光発電システムでは、パネルで発電した直流電気を家庭で使える交流電気に変換する「パワーコンディショナー(パワコン)」という装置があります。
このパワコンの寿命は一般的に10~15年程度といわれており、経年劣化で変換効率が低下することも珍しくありません。また、発電していても売電メーターに正しく反映されていない可能性もあります。
維持費は年間5000円前後で売電ゼロなら実質“赤字”に
太陽光発電システムは、設置後も定期点検・清掃・保険料などの維持費が発生します。特に設置から10年を過ぎると、部品の劣化やケーブルの緩みなどのトラブルが起こりやすくなるため、最低限のメンテナンスは欠かせません。
調達価格等算定委員会の「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」によると、住宅用太陽光発電システムの維持費用は、1年あたり5800円/キロワットです。
この金額には、3~5年に1回の定期点検や、20年に1回のパワコン交換費用も含まれています。そのため、実際には維持費がほとんど発生しない年もあります。それでも、売電収入がゼロのままでは、この費用がすべて「持ち出し」になるため注意が必要です。
発電効率の低下もコスト判断のポイントに
太陽光パネルは永続的に使えるわけではなく、年に0.3~0.9%程度劣化するとされています。そのため、設置当初に毎月1万円の売電があったとしても、同じ量を発電できるとは限りません。
つまり、維持費に対してリターンがどの程度残っているかを把握しなければ、気付かないうちに「赤字の設備」を抱え続けていることになります。
撤去にも費用がかかる
「もう使っていないから撤去しよう」と考える人もいますが、撤去にもコストがかかります。屋根上設置の場合、撤去費用は10〜40万円前後が相場です。足場やパネル廃棄費も含まれるため、複数の業者から見積もりを取って比較しましょう。
一方、発電した電気を自宅で使う「自家消費型」にすれば、昼間の電気代を削減できます。例えば、1日に2キロワットアワーを自家消費するケースで考えてみましょう。
電力単価を31円/キロワットアワー(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)とすると年間約2万2600円の節約になります。売電がなくても「使って節約する」という方向で、実質的なメリットを維持できるのです。
修理・契約見直しで「再び収益化」も可能に
売電が完全に終わったわけではなく、新しい契約先を選ぶことで再び売電できるケースもあります。
FIT期間終了後も、再生可能エネルギー電力を買い取る「卒FIT買取サービス」を提供している新電力会社が多数あります。単価は以前のような高額ではありませんが、1キロワットアワーあたり7~10円程度で再契約できることもあります。
また、パワコンを交換すれば発電効率が回復し、売電や自家消費の効果を高められます。加えて、蓄電池を組み合わせることで、発電した電気を夜間に使う「蓄電型自家消費システム」への移行を検討するのもおすすめです。
売電が終わっても太陽光パネルを生かす方法はある
太陽光パネルの「売電が止まった」状態は、制度や機器の寿命によるものと考えられます。撤去・継続のどちらが得かは、残りの寿命・維持費・電気代の節約効果を見比べて判断しましょう。
売電収入がなくても、自家消費や契約見直しで節約・再収益化の道はあるため、まずは契約内容と設備状態を確認し、維持を続けるかどうかを決めることが大切です。
出典
経済産業省 調達価格等算定委員会 令和6年度以降の調達価格等に関する意見
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
