「残り湯で洗濯すれば節約できる」という妻。個人的に“雑菌リスク”が気になるのですが、本当に大丈夫でしょうか?「節約・衛生」のバランスとは

配信日: 2025.11.08
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「残り湯で洗濯すれば節約できる」という妻。個人的に“雑菌リスク”が気になるのですが、本当に大丈夫でしょうか?「節約・衛生」のバランスとは
お風呂の残り湯を使えば、確かに水道代を節約できますが、衛生面の不安を感じる人も少なくありません。洗濯機の構造や温度管理によっては、雑菌の繁殖リスクを高めてしまうケースもあります。本記事では、家庭で意見が分かれがちな「残り湯洗濯」を、節約と衛生の両面から解説します。
諸岡拓也

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

残り湯の節約効果

独立行政法人水資源機構によると、洗濯にお風呂の残り湯を利用すると1回あたり約50リットルの節水になります。
 
使用状態によって若干異なりますが、一般家庭のお風呂の浴槽サイズでは、多くが約200リットルの量を自動で貯める設定になっています。
 
この目安から、お風呂1回分は約4回分の洗濯水量に相当します。仮に1日1回お風呂の水を洗濯に使ったとしても、50リットル×30日=1500リットルです。
 
東京都水道局によると、上水道と下水道を合わせた料金単価は、1リットルあたり約0.24円(1ヶ月30立方メートル使用、口径20ミリメートルの場合)とされています。
 
これを基に計算すると、1500リットル×0.24円=月約360円、年間約4300円前後の節約になります。お風呂の水200リットルを毎日洗濯に利用できる家庭では、年間1万7000円以上の節約になります。ただし、節約効果はあくまで「水道代のみ」であり、電気代や洗剤の使用量は変わりません。
 

雑菌のリスクは?

一方、衛生面では注意が必要です。浴槽の残り湯には皮脂や汗などの有機物が含まれており、温かい状態が続くことで雑菌が繁殖しやすくなります。
 
株式会社衛生微生物研究センターによれば、図表1のとおり、入浴前の水には1ミリリットルあたり40~80個程度の細菌しか存在しませんが、入浴直後には110~2700個へと増加します。
 
図表1

図表1

株式会社衛生微生物研究センター お風呂の残り湯は使ってもよい?
 
さらに一晩放置すると、その数は25万~120万個にまで急増します。つまり、人が入った直後からわずか数時間のうちに、細菌数が数千倍以上に増える可能性があるということです。
 
特に気温が高い季節や追いだきを頻繁に行う家庭では、菌の繁殖スピードが速まる傾向にあります。
 

清潔に使うための工夫

残り湯をムダなくかつ衛生的に使うには、次のポイントを意識しましょう。
 

・入浴後できるだけ早めに使う
・翌日以降に使う場合は、抗菌機能付きの柔軟剤などを活用して衛生面を補う
・最初の洗い工程のみにとどめ、すすぎは水道水を使う
・フィルターやネットで髪の毛・皮脂を除去してから使用する
・洗濯槽は湿度が高く雑菌が残りやすいため、定期的に槽洗浄をする
・できれば残り湯は温度が下がる前にくみ上げると衛生的で省エネ

 
家庭によっては「1日おきに使用」「冬場のみ活用」など、使い方のルールを決めることで、衛生面と節約のバランスを取りやすくなります。
 

節約と衛生のバランスを意識

残り湯洗濯は、上手に活用すれば節約になりますが、使い方を誤ると雑菌繁殖の原因にもなります。家庭ごとの入浴タイミングや洗濯頻度を踏まえ、清潔に使える範囲を見極めることが大切です。
 
特に、乳幼児や肌が敏感な家族がいる場合は、無理に残り湯を使わないほうが安心です。節約だけを重視するのではなく、「健康面とのバランス」を意識することが、長期的に家計にもプラスになるでしょう。
 

出典

株式会社衛生微生物研究センター お風呂の残り湯は使ってもよい?
 
執筆者 : 諸岡拓也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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