「冷蔵庫の設定温度を『強』から『中』にすれば電気代が下がる」とネットで見て変えたところ、食品が傷みやすくなりました。光熱費と食材のロス、どちらを優先するのが正解なのでしょうか?
節約は大事ですが、食材を捨てる回数が増えたり、体調を崩したりしたら本末転倒です。ポイントは設定ではなく、実際の「庫内温度」を基準に判断することです。
本記事では、冷蔵庫の温度設定で得られる節約効果の目安と、食品が傷みにくい温度の考え方、光熱費と食材ロスを両立する具体策について解説します。
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「強→中」で電気代はいくら下がる?
まず、ネット情報が完全なウソというわけではありません。資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」では、冷蔵庫の設定温度を「強」から「中」にすると(周囲温度22度の条件)年間 61.72キロワットアワーの省エネで年間約1910円の電気代が節約できる例が示されています。
月に直すと、約160円です。ここが最初の重要点で、効果はゼロではない一方、劇的でもないということです。冷蔵庫は使い方や機種、季節で変わるので、金額はあくまで目安として捉えましょう。
節約できる金額の目安を知ると、電気代の節約と食材ロスのどちらを優先するか判断しやすくなります。もし温度を下げた影響で、500~1000円の食材を月に1回でも無駄にすると、節電分を大きく上回ってしまいます。
さらに、体調不良や買い直しの手間が発生すると、家計へのダメージは見えにくい形でじわじわ増えていきます。
食材が傷むのはなぜ?
食品が傷みやすくなったのは、設定を下げたことで庫内温度が上がり、細菌が増えやすい状態になった可能性があります。厚生労働省では、家庭での目安として「冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は−15度以下」を挙げており、温度計で時々測ることも勧めています。
多くの細菌は温度が低いほど増えにくくなるため、冷えが弱い状態が続くと、特に肉・魚・作り置き・カット野菜などが影響を受けやすくなります。
ただし、ここで注意したいのは、「中にした=必ず危険」ではないことです。問題は“表示”より“実温度”で、同じ「中」でも機種や環境で庫内温度は変わります。夏場や扉の開閉が多い家庭、冷蔵庫の中が詰め込みすぎの状態では、想像以上に温度が上がることがあります。
光熱費より食材ロスを優先すべき場面と、両立する現実的な節電策
迷ったときの優先順位は「食品の安全とロス対策」です。理由はシンプルで、冷蔵庫の温度設定で得られる節約が月数百円規模になりやすいのに対し、食材ロスは一度で数百~数千円になりやすいからです。さらに食中毒のリスクまで考えると、下げすぎは割に合いません。
ただし、「強に戻す」だけが解決策ではありません。両立のコツは、次の順番です。
第一に、庫内温度計を入れて、冷蔵室が10度以下になっているか確認します。10度を超えるようなら、設定を上げる(=冷やす方向に寄せる)価値があります。
第二に、温度を上げずに電気代を下げる行動を優先します。「省エネポータルサイト」の例では、設定以外でも「庫内の詰め込みを減らす」「扉の開閉回数を減らす」「扉を開けている時間を短くする」だけで、年間数百~千円台の節約が示されています。
第三に、傷みやすいものは“置き場所”を変えます。冷蔵室でも温度ムラがあるので、肉・魚・作り置きは奥や低い位置など比較的冷えやすい場所に置き、早めに使う習慣を作るとロスが減ります。
この順で対策すると、「中でも大丈夫な温度を維持できるか」を現実的に見極められるようになるでしょう。
冷蔵庫内の温度を測って最適化しよう
「強→中で節電」は、条件が合えば確かに効果があります。ただし、節約額は年2000円前後が目安で、食材を1回でも無駄にすると簡単に逆転します。光熱費と食材ロスのバランスで迷ったときの答えは、設定表示ではなく“庫内温度”で決めることです。
冷蔵庫が10度以下を維持できているかを温度計で確認しつつ、詰め込みや開閉などの“温度を上げない節電”を組み合わせましょう。そうすれば、光熱費も食材ロスも、どちらも無理なく減らしていけます。
出典
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト 無理のない省エネ節約 冷蔵庫
厚生労働省 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
