パートで「時給1050円×4時間」で“週5日”勤務中。店長に「来月から時給100円アップ」と言われましたが“106万円の壁”を超えないか心配です…手取りが減るなら“シフトを減らすべき”ですか?
本記事では、「106万円の壁」の仕組みを整理しながら、時給アップ後の手取りや、社会保険加入のメリットについて解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
現在の収入はどれくらい?
まず、現在の働き方を整理してみましょう。
・時給1050円
・1日4時間
・週5日勤務
・月4週換算
この場合、月収は次のようになります。
※実際には1年は52週ありますが、便宜上月4週として計算します
1050円×4時間×週5日×4週=8万4000円
年収換算では100万8000円です。そのため、現状では「106万円の壁」を下回っており、勤務先の条件次第では、社会保険の加入対象外となっている可能性があります。
106万円の壁とは?
106万円の壁は、パート・アルバイト労働者が、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)へ加入する基準の1つです。
厚生労働省によると、以下の条件全てを満たすパート・アルバイトは社会保険に加入する必要があるとしています。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用見込み
・学生ではない
・一定規模以上の企業で働いている
※2026年5月時点では51人以上の企業。段階的に企業規模要件の人数が縮小
所定内賃金が月額8万8000円の場合、年収が約106万円になるため、「106万円の壁」と言われています。とはいえ、「年収106万円を超えたら即アウト」というより、これらの条件を満たして社会保険加入対象になるかが重要です。
時給1150円になるとどうなる?
それでは、時給が100円アップして1150円になった場合を見てみましょう。この場合の月収は、次の通りです。
1150円×4時間×週5日×4週=約9万2000円
年収換算では約110万円程度となるため、勤務先の条件などによっては社会保険加入対象となり、保険料負担が発生するケースがあります。
社会保険料はどれくらい引かれる?
例えば、東京の協会けんぽ加入を前提とすると、月収約9万2000円で条件を満たした場合の社会保険料の目安は次の通りです。
・健康保険料・介護保険料:約5047円(40歳以上65歳未満の場合)
・子ども・子育て支援金:約101円
・厚生年金保険料:約8052円
合計すると、約1万3200円です。つまり、月収自体は約8000円増えていますが、その一方で社会保険料も発生するため、「手取りが減った」と感じる可能性があります。
社会保険に加入するメリットもある
社会保険に加入すると、負担が増えるというイメージが先行しがちですが、メリットもあります。代表的なのが、将来の厚生年金が増える点です。
国民年金だけよりも、厚生年金に加入していた期間があるほうが、老後にもらえる年金額は増えやすくなります。また、健康保険にもメリットがあり、例えば傷病手当金や出産手当金などの制度を利用できる場合があります。つまり、単純に損か得かだけではなく、保障を買っている側面もあると考えることが重要です。
まとめ
時給が1050円から1150円に上がると、年収は106万円を超える可能性が高くなり、勤務条件によっては社会保険加入の対象になるかもしれません。その結果、健康保険料や厚生年金保険料が引かれるため、「思ったより手取りが増えない」と感じるケースもあるでしょう。
とはいえ、社会保険への加入には厚生年金の増額や健康保険の保障強化といったメリットもあります。重要なのは、「106万円を超えたら絶対損」と単純に考えるのではなく、将来の保障や働き方全体を踏まえて判断することです。自分に合った働き方を考えながら、無理のない収入設計をしていくことが大切といえるでしょう。
出典
厚生労働省 パート・アルバイトの方への社会保険の適用について
協会けんぽ 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
