子育てが落ち着き、念願の再就職をした矢先に体調を崩しました…。「傷病手当金」は入社1年未満でももらえるのでしょうか? 支給要件を詳しく解説
本記事では、老後資金確保のために再就職するも生活リズムの変化から体調を崩した妻(50歳)を例に、「傷病手当金」は入社1年未満でももらえるのか、制度の仕組みとともに見ていきます。
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「傷病手当金」の支給要件とは?
傷病手当金とは、病気やけがで働けなくなった際に生活を保障するため、健康保険から手当金が支給される制度です。
全国健康保険協会によると、支給には以下4つの条件を満たす必要があります。
1.業務外の病気やけがによる療養であること
2.仕事に就けない状態であること
3.連続する3日間の待期後、4日以上仕事を休んでいること
4.休業期間中に十分な給与が支払われていないこと
「仕事に就けない状態であること」を判断するのは、かかりつけの医師です。医師の証明(〇〇のため、〇ヶ月間労務不可など)が必要ですが、自宅療養でも支給対象になる場合があります。
傷病手当金の1日当たりの支給額は、以下の手順で計算が可能です。
1.過去1年間の標準報酬月額の合計を12で割って、標準報酬月額平均を求める
2.標準報酬月額平均を30で割り、3分の2を掛ける
例えば、過去1年間の標準報酬月額の平均が30万円で、待期期間後に60日分が支給対象となる場合、
・(30万円÷30)×2/3×60日=約40万円
となり、休業中の生活費を一定程度補える可能性があります。
入社1年未満でも傷病手当金はもらえる
傷病手当金は「1年働かないともらえない」と誤解されやすい制度ですが、加入期間の長さだけで対象外になるわけではありません。
ただし、支給開始日の前日時点で被保険者期間が12ヶ月未満の場合、計算方法に特例が適用されます。前記で紹介した通常の計算基準と異なり、「直近の標準報酬月額の平均」または「協会けんぽに加入する全被保険者の標準報酬月額の平均」のうち、低い方を基準にします。
そのため、再就職直後で給与水準が低い場合などは、想定より支給額が少なくなるケースもあります。
ほかにも、体調が良くならず退職になった場合でも、退職後に傷病手当金を継続して受給するには、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があることなどの条件を満たす必要があります。入社1年未満の場合は、退職後の継続給付を受けられない可能性が高いため注意が必要です。
欠勤・有給・休職で変わるお金の扱い
再就職して間もない時期に体調を崩すと、「欠勤になるのか」「有給は使えるのか」で収入が大きく変わります。続いて、労働者が選択できる「休み」の種類について理解し、整理しておきましょう。
表1
| 定義 | 給料の有無 | どのようなときに選ぶべきか | |
|---|---|---|---|
| 欠勤 | 所定労働日に休むこと (労務提供義務を果たせない状態) |
原則無給 | 「有給」がなく、体調不良が短期的なとき (2~3日で治るなど) |
| 有給 | 給与が支払われる休暇 (6ヶ月以上継続勤務し、出勤率8割以上で付与) |
給料が支払われる | 短期的な体調不良の際の第一選択肢 |
| 休職 | 病気やけが、自己都合で長期的に休む際の制度 (労働義務が免除される社内制度である) |
原則無給 | 体調不良が長期的なとき (1ヶ月以上の静養が必要など) |
※筆者作成
今回の例では再就職して何ヶ月後に体調を崩したのかは不明なものの、6ヶ月以上勤務かつ出勤率8割以上であれば、「有給」が第一選択肢です。もし一定期間働けない状態が続く場合は「休職」を選択肢に入れ、「傷病手当金」の申請を検討するのがよいでしょう。
まとめ
子育てを終えて念願の再就職を果たしたものの、体調を崩してしまった場合、入社1年未満であっても条件を満たせば「傷病手当金」を受給できる可能性があります。「仕事に就けない状態であること」を証明する必要があるため、事前に医師へ相談するとよいでしょう。
ただし、過去に同一傷病で傷病手当金を受給していた場合など、条件によっては支給されない可能性もあるため注意が必要です。無理せず制度を活用して療養に専念しましょう。
出典
全国健康保険協会
e-Govポータル法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号) 第三十九条(年次有給休暇)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
