上司に「退職願を出して」と迫られ、混乱しています。会社都合のはずが“自己都合”にしようとしている!? 安易に提出すると失業保険で損をする「退職書類の罠」とは?
退職願は、会社に退職を願い出る書類です。退職届は、退職する意思を会社に正式に届け出る書類です。どちらも似ていますが、意味合いが違います。特に会社都合か自己都合かで争いがある場合は、内容をよく確認してから提出することが大切です。
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退職願は退職をお願いする書類
退職願は、会社に対して「退職したいので認めてください」と願い出る書類です。まだ会社の承諾を前提にしているため、退職の相談や申し出に近い意味合いがあります。
たとえば、自分から転職や家庭の事情で辞めたいと考え、上司に相談したうえで提出する場合は、退職願が使われることがあります。会社が受理し、退職日などについて合意すれば、その内容に沿って退職手続きが進みます。
退職願は、会社が正式に承諾する前であれば撤回できる余地があると考えられる場合もあります。ただし、会社が受理して退職手続きが進んだ後では、撤回が難しくなることがあります。
また、退職願には「一身上の都合により退職いたしたく」と書くことが多いですが、この文言を使うと自己都合退職の意思表示と受け取られやすくなります。会社都合退職や退職勧奨を受けた場合に、この文言をそのまま書いてよいかは慎重に考える必要があります。
退職を「願い出る」ための書類が退職届です。その性質上、会社から認められず却下される可能性もあるということです。
退職届は退職の意思を正式に届ける書類
退職届は、会社に対して「退職します」と正式に届け出る書類です。退職願よりも、退職の意思が確定している印象が強い書類です。
自分の意思で退職することが決まっており、退職日も確定している場合は、退職届を提出することがあります。提出後は撤回が難しくなることが多いため、退職日や理由に間違いがないかを確認してから出しましょう。
民法第627条では、期間の定めのない雇用契約について、原則として解約の申し入れから2週間を経過すると終了するとされています。ただし、会社の就業規則で「退職の1ヶ月前までに申し出る」などと定めていることがあります。円満退職を目指すなら、就業規則の期限も確認したほうがよいでしょう。
退職届も、書き方によっては後で不利になることがあります。特に、会社から退職を迫られているのに、自分から辞めるような文面で退職届を出すと、後から「会社都合ではない」と扱われる可能性があります。退職理由に納得していない場合は、安易に署名押印しないことが大切です。
会社から求められても内容を確認してから提出する
会社から「退職願を出してください」と言われた場合、まず確認すべきなのは、自分が本当に自己都合で辞めるのかどうかです。自分から転職を決めた、家庭の事情で退職する、体調を理由に自分の意思で辞めるなら、退職願を提出しても大きな問題になりにくいでしょう。
一方で、会社から「辞めてほしい」と言われた、退職しないと不利益があると迫られた、実質的には解雇に近いと感じる場合は注意が必要です。この場合に「一身上の都合」と書いた退職願を出すと、自己都合退職として扱われる可能性があります。雇用保険の給付開始時期や給付日数に影響することもあります。
また、退職金の規程でも、自己都合退職と会社都合退職で金額が違う場合があります。賞与、未払い残業代、有給消化、退職日などにも影響することがあります。退職願を出す前に、就業規則、退職金規程、会社からの説明内容を確認しましょう。
不安がある場合は、書類をその場で書かず、「内容を確認してから提出します」と伝えて持ち帰るのが安全です。労働基準監督署の総合労働相談コーナー、労働局、弁護士などに相談してから判断しても遅くありません。
まとめ
退職願は「退職したいので認めてください」と願い出る書類で、退職届は「退職します」と正式に届け出る書類です。どちらも退職に関わる大切な書類ですが、退職届のほうが意思表示として確定的に受け取られやすいと考えられます。
会社から退職願を求められている場合、自分が本当に自己都合で退職するのかを確認しましょう。転職や家庭の事情など、自分の意思で辞めるなら問題になりにくいですが、退職勧奨や解雇に近い状況なら、安易に「一身上の都合」と書くのは避けたほうがよいです。
後で不利にならないためには、退職理由、退職日、有給消化、賞与、退職金の扱いを確認してから提出することが大切です。不安があるなら、その場で書かずに持ち帰り、労働相談窓口や専門家に相談しましょう。退職書類は一度出すと影響が大きいため、納得してから提出することが自分を守ることにつながります。
出典
e-Gov 法令検索 民法
厚生労働省 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準
厚生労働省中央労働委員会 令和5年退職金、年金及び定年制事情調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

