派遣社員として時給「1600円」で働いています。会社から「正社員登用」を打診されましたが、残業や責任が増えるなら今のままのほうが得なのでしょうか?
本記事では、派遣社員と正社員の待遇や働き方の違いを整理し、正社員登用を検討する際に確認しておきたいポイントを解説します。
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目次
時給1600円の年収はどれくらいになる? 正社員平均と比較
まず、日本における正社員とそれ以外の雇用形態で、実際にどれほどの収入格差があるのかを客観的なデータで確認してみましょう。
国税庁が公表している「令和6年分民間給与実態統計調査」によると、1年間を通して勤務した給与所得者5137万人のうち、正社員の平均給与は545万円となっています。これに対して、正社員以外の平均給与は206万円にとどまっており、両者の間には300万円以上の大きな開きが存在しているといえます。
では、現在時給1600円で働いている人の収入は、このデータのなかでどのような立ち位置になるのでしょうか。例えば、1日8時間、月に20日間フルタイムで勤務した場合、月収は25万6000円となります。これを12ヶ月間の年収に換算すると、およそ307万2000円です。
この金額は、正社員以外の平均である206万円を100万円以上も上回っています。一般的なアルバイトやパートの平均的な給与と比較すると、時給1600円は非正規雇用のなかでも比較的高い水準といえるでしょう。
しかしその一方で、正社員の平均給与である545万円と比較すると、依然として230万円以上の差があることも事実です。現在の時給だけで判断するのではなく、将来の収入も含めて考えると、正社員への登用には経済的なメリットが生じる場合があります。
派遣社員のメリットと「契約3年ルール」の壁
派遣社員という働き方には、正社員にはない特有のメリットがあります。厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」によると、派遣労働者の平均時給は1510円とされており、時給1600円は平均を上回る水準です。
令和7年度の最低賃金の全国加重平均である1121円と比べても、時給1600円で働く派遣社員は、時給水準という点では比較的高い収入を得られているといえるでしょう。
最大のメリットは、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができる点です。一般的に派遣社員は、契約によって勤務時間や業務内容が細かく定められているため、予期せぬ残業や業務内容の突然の変更が少ない傾向にあります。
残業や責任の重さに縛られず、プライベートの時間を大切にしたい人にとっては、今のまま派遣社員として働くほうが「得」だと感じられるかもしれません。さらに、自分のスキルや経験を生かせる職場を選びやすく、幅広い企業で働ける可能性がある点も派遣社員の特徴といえます。
しかし、派遣社員には避けて通れないデメリットがあります。それが「契約期間の制限」です。同じ部署での派遣期間は最長で3年と法律で定められており、この期間を超えて同じ職場で働き続けることは原則できません。
また、契約更新の有無は常に企業の状況に左右されるため、どれだけ時給が良くても、長期的な雇用の安定性という面では不安が残ります。
正社員登用のメリットと、確認しておきたい働き方の変化
一方、正社員に登用された場合のメリットは、雇用の安定と充実した待遇にあります。正社員は企業と直接、期間の定めのない雇用契約を結ぶことが一般的です。そのため、派遣社員のように同じ職場で働ける期間に一定の制限が設けられる場合とは異なり、長期的なキャリアを築きやすい働き方といえます。
また、収入の構造も大きく変わります。派遣社員は働いた時間分だけ給与が支払われる時給制が一般的ですが、正社員は基本的に月給制となります。これにより、祝日や長期休暇が多い月でも収入が減少する心配がありません。
さらに、正社員では昇給や昇格、賞与(ボーナス)の制度が設けられている企業も多く、勤続年数や経験を重ねることで収入が増加する可能性があります。そのため、長期的には前述の「令和6年分民間給与実態統計調査」にある正社員の平均給与545万円に近い水準となるケースも考えられます。
また、退職金制度や各種手当などの福利厚生を利用できる場合があることも、正社員として働くメリットのひとつです。こうした制度は、長期的な家計管理やライフプランを考えるうえでプラスに働く可能性があります。
一方で、正社員になると、業務の責任範囲が広がることがあります。また、業務の状況によっては残業が発生するほか、企業の人事制度に基づき、部署異動や転勤の対象となる場合もあります。
さらに、残業時間や勤務形態によっては、時給換算した場合の収入が派遣社員として働いていた頃を下回るケースも考えられます。そのため、収入だけでなく、働き方やワークライフバランス、将来のキャリア形成なども含めて、自身に合った働き方を検討することが重要です。
目先の負担だけでなく将来の安定と生涯賃金を天秤にかけて判断しよう
派遣社員として時給1600円で働き続けるべきか、それとも打診を受け入れて正社員を目指すべきかは、本人が何を最も重視するかによって異なります。
残業をしたくない、責任の重い仕事を避けたい、今のライフスタイルを維持したいという明確な希望があるならば、派遣社員のままでいることは合理的な選択肢でしょう。
しかし、もし5年後や10年後の未来を見据えたときに、雇用期間に対する不安をなくしたい、あるいは年齢を重ねるごとに収入をしっかりと増やしていきたいと考えているのであれば、正社員登用の打診は絶好のチャンスといえます。
生涯賃金や安定した雇用環境というメリットを視野に入れ、総合的に判断することをおすすめします。
出典
国税庁 統計情報 令和6年分 民間給与実態統計調査
厚生労働省 令和4年派遣労働者実態調査の概況 派遣労働者調査 3 調査期日現在の派遣業務 (5)賃金(3ページ)
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧 令和7年度地域別最低賃金の全国一覧
厚生労働省 派遣で働く皆様へ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

