人件費上昇時代をどう乗り切る? 中小企業の調査でみた成長企業の共通点とは

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人件費上昇時代をどう乗り切る? 中小企業の調査でみた成長企業の共通点とは
賃上げの流れが続くなか、多くの中小企業が人件費の増加に直面しています。人材を確保するためには待遇改善が欠かせませんが、その一方で物価高や景気の先行き不透明感も強まっており、経営環境は決して楽観できる状況ではありません。
 
本記事では、調査結果からみてきた中小企業の現状をもとに、賃上げ時代に求められる経営の方向性について解説します。
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中小企業を取り巻く環境は厳しさを増している

まず注目したいのが、中小企業の景況感です。
 
大同生命保険株式会社が発表している大同生命サーベイ(2026年4月度調査)によると、2026年4月の「現在の業況DI(景気動向指数)」はマイナス12.2ポイントとなり、3ヶ月連続で悪化しました。
 
また、「将来の見通しDI」もマイナス6.6ポイントと悪化しています。なお、DIは企業の景況感を指数化したもので、マイナスが大きいほど景気を悪いと感じる企業が多いことを示します。
 
さらに売上高はわずかに改善したものの、利益や資金繰りは悪化しました。背景には、原材料費や人件費などのコスト上昇が影響している可能性があり、売上増加が必ずしも利益改善につながらない状況がうかがえます。
 
近年は原材料価格の上昇やエネルギーコストの増加に加え、人件費も上昇しています。企業にとっては売上だけでなく利益をどう残すかが大きな課題になっています。特に従業員5人以下の小規模企業では業況DIがマイナス18.4ポイントとなっており、比較的規模の大きな企業よりも厳しい状況が続いています。
 
賃上げの必要性が高まる一方で、経営体力に余裕のない企業も少なくありません。しかし、こうした環境のなかでも売上拡大や販路開拓に取り組み、成果につなげている企業もあります。今後はコスト管理だけでなく、収益力を高める取り組みがより重要になるでしょう。
 

人手不足は依然深刻で人件費上昇時代が続く可能性が高い

賃上げが続く背景には、人手不足があります。大同生命サーベイ(2026年4月度調査)によると、従業員過不足DIがマイナス36.9ポイントとなり、多くの企業が人材不足を感じていることが分かりました。特に建設業はマイナス51.2ポイントと深刻な状況です。
 
従業員過不足DIは、数値がマイナスになるほど人材不足を感じる企業が多いことを示します。今回の結果からも、中小企業の採用環境が依然として厳しいことが分かります。
 
人手不足が続くなか、企業は採用や人材定着のために給与や待遇の改善を求められる場面が増えると考えられるでしょう。そのため、人件費負担は今後も経営上の重要課題の一つになりそうです。
 
また、人材不足は単なる採用の問題ではありません。一般的に、人員不足の状態が続くと従業員一人あたりの業務負担が増えやすくなります。その結果、職場環境の維持や人材定着が課題となるケースも少なくありません。
 
今回の調査結果からは、人材不足への対応が中小企業の重要課題であることがうかがえます。賃上げについても、コスト負担という側面だけでなく、人材確保や定着につながる取り組みとして検討する必要があるでしょう。
 

販路開拓に取り組む企業で売上増加を実感する傾向も

人件費が上昇するなか、企業が収益力を高めるための取り組みとして注目されるのが、新規顧客や販路の開拓です。大同生命サーベイ(2026年4月度調査)によると、新規顧客や販路開拓に「取り組んでいる」と回答した企業は51%でした。
 
さらに販路開拓に取り組んでいる企業では、約半数にあたる48%が顧客数の増加を実感しています。一方、取り組んでいない企業で顧客数の増加を実感した割合は17%にとどまっており、その差は31ポイントとなりました。売上についても同様の傾向がみられ、販路開拓に取り組んでいる企業の47%が売上増加を実感しています。
 
また、新規顧客獲得につながった方法として最も多かったのは「既存顧客や取引先からの紹介」で58%でした。次いで「自社ホームページ」が22%となっています。この結果からは、新規顧客の獲得において、既存顧客や取引先との関係性が重要な役割を果たしていることがうかがえます。
 
実際に調査でも、自社の品質の高さや柔軟な対応力、技術力をPRポイントとして挙げる企業が多くみられました。
 
今回の調査では、販路開拓に取り組んでいる企業で顧客数や売上の増加を実感している割合が高い傾向がみられました。ただし、この調査結果だけで販路開拓が業績向上の要因であると断定することはできません。
 
一方で、既存顧客との信頼関係を生かしながら、新規顧客や販路開拓にも取り組む企業で、売上増加を実感する割合が高いという傾向が確認されています。
 

賃上げ時代を乗り切るには「人材確保」と「売上拡大」の両立が重要

大同生命サーベイ(2026年4月度調査)の結果からは、中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す一方で、人材確保や収益力の向上に向けた取り組みが重要になっていることがうかがえました。人手不足が続くなか、賃上げや待遇改善は避けて通れない課題ですが、それを持続的に実現するためには収益力の向上も欠かせません。
 
また、調査では販路開拓に取り組んでいる企業で、顧客数や売上の増加を実感している割合が高い傾向もみられました。さらに既存顧客との信頼関係を生かした紹介や、自社の強みを発信する取り組みが、新たな成長につながる可能性を示しています。
 
人件費上昇時代は、多くの企業にとって経営環境の変化に対応することが求められる時代でもあります。人材への投資と収益力の向上を両立し、それぞれの企業の強みを生かした経営を続けていくことが、今後ますます重要になるでしょう。
 

出典

大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2026年4月度調査)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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