採用だけでは人材不足は解決しない? 中小企業調査で見えた「育てる人材戦略」の重要性

配信日:
この記事は約 3 分で読めます。
採用だけでは人材不足は解決しない? 中小企業調査で見えた「育てる人材戦略」の重要性
人手不足が多くの企業で経営課題となるなか、中小企業では「採用したいのに人が集まらない」という状況が続いています。
 
採用活動を強化する企業が増える一方で、それだけでは人材不足の解消につながらないケースも少なくありません。近年は、既存社員の育成や能力向上など、「人を育てる」ことにも注目が集まっています。
 
本記事では、中小企業を対象とした調査結果をもとに、人手不足の現状と、これからの人材戦略について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

約半数の企業が採用活動を実施、それでも約7割は「人数が足りない」

大同生命保険株式会社「大同生命サーベイ(2026年5月度調査)」によると、2025年度に採用活動を行った企業は全体の49%でした。採用活動を行った企業のうち「予定人数を採用できた」と回答した企業は32%にとどまり、「採用できたが人数は不足している」が40%、「採用できなかった」が28%となっています。
 
つまり、採用活動を実施した企業の約68%が、必要な人材を十分に確保できていない状況でした。
 
特に従業員21人以上の企業では約9割が採用活動を行っている一方で、6割以上が「採用できたが不足している」または「採用できなかった」と回答しており、企業の規模が大きくなっても採用の難しさは続いていることがうかがえます。
 
この結果からは、多くの中小企業が採用に積極的である一方、人材確保のハードルは依然として高い状況にあることが読み取れます。
 

注目されるのは「今いる人材」の力を高める取り組み

人材確保が難しいなか、企業が重視し始めているのが「既存社員の能力を高める」という考え方です。
 
調査では、人手不足への対応策として、

・採用条件(賃金・待遇など)の改善
・従業員のリスキリング(新しい知識や技能の習得)
・従業員のマルチタスク化(複数業務を担当できる体制づくり)

などを挙げる企業が多く見られました。
 
特に「従業員のリスキリング」は、人材が充足していない企業で32%、充足している企業でも27%が取り組みとして挙げています。リスキリングは、デジタルスキルだけでなく、資格取得や専門知識の習得、業務改善のための教育など幅広い取り組みを含みます。
 
採用が難しいからこそ、社員一人ひとりの成長を支え、生産性向上につなげようとする企業が増えていると考えられます。
 

人手不足への対応は「採る」と「育てる」の両立へ

今回の調査では、経営者からの自由回答にもさまざまな工夫が寄せられています。
 
例えば、

・国家資格取得を支援している
・地元の工業高校や職業訓練校と連携している
・就業条件を柔軟に見直している
・障がい者雇用を進めている

といった取り組みが紹介されています。
 
これらは必ずしも短期間で成果が出るものではありませんが、採用活動に加えて、従業員が長く活躍できる環境づくりや人材育成に取り組む企業もあることがうかがえます。
 

人材戦略は企業の競争力にもつながる可能性

調査では、人材戦略とあわせて物価上昇への影響についても質問しています。
 
その結果、約87%の企業が経営への影響に不安を感じており、「非常に不安」「かなり不安」と回答した企業は約49%に上りました。さらに、自社の業況を「悪い」と回答した企業では、強い不安を感じる割合が約66%となっています。
 
コスト上昇や人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況です。そのようななか、今回の調査からは、採用活動だけでなく、人材育成や生産性向上に取り組むことの重要性が改めて示されたといえるでしょう。
 

人を「採る」と「育てる」の両立がこれからの鍵

今回の調査からは、多くの中小企業が採用活動を続けながらも、人材確保に苦戦している現状が明らかになりました。
 
一方で、リスキリングやマルチタスク化、働きやすい職場づくりなど、「今いる人材の力を引き出す」取り組みにも注目が集まっています。
 
人口減少が続くなか、人材獲得競争は今後も続くことが予想されます。そのような時代だからこそ、「採用」と「育成」の両方に目を向けることが、これからの中小企業の人材戦略を考えるうえで重要な視点といえるのではないでしょうか。今回の調査は、その方向性を考えるヒントを示す結果となっています。
 

出典

大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2026年5月度調査)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE