株価が上昇を続けるのに生活が楽にならないのはどうして?

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株価が上昇を続けるのに生活が楽にならないのはどうして?
ニュースでは「日経平均株価が最高値圏」「米国株が上昇」といった話題をよく目にします。しかし、「株価は上がっているというけれど、生活は楽になっていない」と感じている人も少なからずいるのではないでしょうか。この違和感を探ってみたいと思います。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

株価が上がるのは「企業の価値」が上がるから

まず理解したいのは、株価は「家計」ではなく「企業の価値」を反映する指標だということです。
 
株価は将来の企業利益への期待によって動きます。例えば、企業が海外で多くの商品を販売して利益を増やしたり、新しい技術開発に成功したりすると、その企業の株を買いたい人が増え、株価が上昇します。
 
日本では2023年以降、円安や企業の収益改善、東京証券取引所による資本効率向上の要請などを背景に株価が上昇しました。一方で、その利益がすぐにすべての働く人の給与や家計に反映されるわけではありません。
 
つまり、「株価上昇=企業価値の上昇」であって、「株価上昇=国民全員の生活向上」ではないのです。
 

図表1

 

物価上昇が家計を圧迫している

生活が楽にならない最大の理由の一つが物価上昇です。総務省の消費者物価指数(CPI)を見ると、近年は食品やエネルギーを中心に価格上昇が続いています。スーパーで買う食料品や外食費、電気代などが上がれば、同じ収入でも使えるお金は減ります。
 
仮に給与が3%増えても、物価が4%上昇していれば実質的な購買力は低下します。この考え方を「実質賃金」といいます。厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査では、近年、名目賃金は上昇しているものの、物価上昇の影響で実質賃金がマイナスになる月も見られました。
 
家計にとって重要なのは給与額そのものではなく、「物価を差し引いた後の購買力」です。
 

図表2

出典:総務省 消費者物価指数より
 

株価上昇の恩恵を受ける人と受けない人がいる

株価上昇の恩恵は、株式や投資信託を保有している人ほど大きくなります。例えば、新NISAで投資信託を積み立てている人や、企業の株を保有している人は、株価上昇によって資産が増える可能性があります。
 
しかし、日本銀行の「資金循環統計」(末尾参照)などを見ると、日本の家計金融資産には依然として預貯金の割合が大きく、株式や投資信託を保有していない世帯も少なくありません。
 
そのため、投資をしている人 は 資産が増加するが、投資をしていない人 は恩恵が限定的であるという差が生まれます。ニュースで「株価最高値」と報じられても、自分の資産が増えていなければ生活実感につながりにくいのです。
 

円安や海外要因で株価だけが上がることもある

日本株は国内景気だけでなく海外要因にも大きく影響されます。例えば円安になると、海外で稼ぐ大企業は円換算の利益が増えやすくなります。その結果、自動車や機械など輸出企業の株価が上昇することがあります。
 
しかし、家計にとっては円安によって、輸入食品・ガソリン・電気・ガス料金などが値上がりしやすくなります。つまり、企業には追い風でも家計には逆風という状況が起こり得ます。これが、株価が上がっているからといって、必ずしも家計環境が改善しているとは限らない理由です。
 

本当に生活を楽にするために必要なこと

株価を見ることは大切ですが、それだけで家計の状態を判断するのは適切ではありません。家計にとって重要なのは、


・実質賃金が増えているか
・貯蓄ができているか
・将来に向けた資産形成ができているか

です。例えば、長期的にNISAなどを活用し、少額からでも世界経済や企業成長の恩恵を受けられる仕組みを持つことなどが有効でしょう。
 
株価上昇のニュースを「他人事」として眺めるのではなく、自分の資産形成と結び付けて考えることが、家計改善のカギといえるでしょう。
 

出典

総務省統計局 消費者物価指数
日本銀行 2025年第4四半期の資金循環 参考図表 P4 家計の金融資産
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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