夫にパート収入を「100万→110万円に増やす」と伝えたら「手取り減るから損じゃない?」と言われました。年収の壁は「178万円に変わった」なら減りませんよね? 扶養を外れる理由とは
近年は「年収178万円の壁」という言葉も話題になり、「年収100万円や110万円を気にする必要はないのでは?」と思う人もいるでしょう。本記事では、178万円の壁の概要や、年収110万円になった場合の影響、社会保険加入の条件について解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
目次
178万円の壁とは? 所得税の制度改正で変わったもの
2026年に変更になった「178万円の壁」は、所得税に関する基礎控除などの見直しによるものです。これまでよりも所得税がかかり始める水準が引き上げられたことで、パートやアルバイトで働く人が収入を増やしやすくなりました。
この点だけを見ると、「110万円に増やしたら所得税により手取りが減る」という心配は小さいと言えるでしょう。ただし、年収の壁には所得税だけでなく、社会保険に関する壁も別途存在します。
106万円・130万円の社会保険の壁がある
「178万円の壁」が話題になったことで、全ての年収の壁がなくなったように感じる人もいるかもしれません。しかし、社会保険については別のルールが適用されます。
現在、下記の条件を全て満たすと、年収106万円程度から勤務先の社会保険へ加入することになります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・月額所定内賃金が8万8000円以上
・2ヶ月を超えて働く見込みがある
・学生ではない
・従業員数が51名以上の事業所で働いている
また、勤務先の規模に関わらず、年収130万円以上になると、基本的には社会保険に加入しなければなりません。そのため、「178万円までは何も負担が増えない」というのは間違いです。
社会保険に加入するとどれくらい負担が増える?
東京都内で協会けんぽに加入し、40歳以上で介護保険第2号被保険者に該当するケースを考えてみましょう。
年収110万円で社会保険の加入条件に該当する場合、本人負担の目安は、次の通りです。
・健康保険料、介護保険料:約5047円 ※介護保険第2号被保険者に該当する場合
・子ども・子育て支援金:約101円
・厚生年金保険料:約8052円
そのため、収入を少し増やしただけでは手取りの増加額が小さくなったり、逆に以前より手取りが減ってしまったりするケースもあります。夫が「手取りが減るかもしれない」と心配したのは、この社会保険料負担をイメージしていたのかもしれません。
社会保険に加入するメリットもある
社会保険料の負担は小さくありませんが、社会保険料は単なる負担ではありません。例えば、厚生年金に加入すると、将来受け取る年金額の増加が期待できますし、障害厚生年金や遺族厚生年金など、万一の際の保障も手厚くなります。
また、病気やけがで働けなくなった際には傷病手当金を受けられる場合があります。そのため、「社会保険料が引かれる=損」とは必ずしも言えません。短期的な手取りだけでなく、将来受けられる保障も含めて考えることが大切です。
まとめ
178万円の壁は所得税に関する制度であり、年収100万円を110万円に増やしただけで新たな所得税負担が発生するわけではありません。しかし、社会保険については、106万円や130万円といった別の壁が存在します。
そのため、年収110万円になった場合でも、勤務条件によっては社会保険料の負担が発生する可能性があります。一方で、社会保険に加入すると将来の年金額が増えたり、傷病手当金などの保障を受けられたりするメリットもあります。
「手取りが減るから損」と単純に考えるのではなく、収入増加額と社会保険のメリットを含めて判断することが大切だといえるでしょう。
出典
厚生労働省 社会保険加入の要件
全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など

